びいどろ

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3/28/2026, 2:44:09 PM

#見つめられると

貴方に見つめられるたび、心臓が嫌に騒ぐ。
それは、あの瞳の中に自分だけが映っているという事実に、どうしようもなく満たされるからか。

――それとも、この醜く歪んだ独占欲を、貴方に見抜かれてしまう気がしているからか。

その瞳の奥を、塗り潰してしまいたい。
他の何も、誰も、入り込む余地なんてないくらいに。
そうしてしまえたなら、きっと安心できるのに。

それなのに、貴方に見つめられるほど、逃げ場がなくなる。
この感情の輪郭を、指先でなぞられるような錯覚に襲われて、
今すぐ目を逸らしたくなる。

欲しくて堪らないくせに、知られるのが怖い。
満たしたいくせに、壊れてしまいそうで手が出せない。

こんな矛盾を抱えたまま、
それでもなお、貴方の視線を求めてしまう自分が――
どうしようもない程救いようがなく。狂っていると思う。

3/27/2026, 10:02:18 PM

#My Heart

貴方の笑顔ひとつで、世界の輪郭が少しだけ歪む。
どうしてそんなふうに、何でもない顔で乱してくるの。

ねえ、今、何を考えているの。
その沈黙の奥にあるものを、全部知りたい。
触れてはいけないところまで、静かに手を伸ばしてしまいそうで怖い。

優しくしてくれるたびに、
少しずつ壊れていく。
それでもいいと思ってしまう自分が、いちばん恐ろしい。

貴方の言葉ひとつ、視線ひとつ、
そのすべてが、内側を支配していく。

心の支配者(ruler of my heart)。
こんな名前を与えてしまえば、もう戻れないのに。

逃げたいはずなのに、
本当は、もっと深く沈んでいきたい。

だからどうか、気づかないで。
この歪んだ願いも、
どうしようもなく、貴方に囚われていることも。

3/26/2026, 10:42:27 AM

#ないものねだり

貴方は、ないものねだりが上手すぎる。

ショッピングに行けば、決まって期間限定や、値札の重たいアクセサリーに目を奪われる。
手に入りにくいものほど価値があると、疑いもせず信じているみたいに。

そして、強請る。

拒まれないと知っている声音で。
壊れない関係を前提にした、甘えきった手つきで。

今日は服を見繕ってくれると言っていた。
その言葉ひとつで、どれだけ期待を持たせたかも知らないで。

視線はずっと商品に向いたまま。
隣にいる存在など、最初から必要とされていないかのように。

それでも金を出す。
望まれる形でしか、ここに居られないから。

ほら、また笑っている。
手に入れた“物”に満足して。

それでも、
貴方の口から零れる「愛してる」を求めてしまう。

滑稽だ。

手に入らないものばかり欲しがるのは、どちらなんだろうか。

貴方か。
——それとも。

3/25/2026, 12:12:16 PM

#好きじゃなのに

昔から、人を信じるという事がよく分からなかった。
温い水みたいに、
触れた端から形を失っていくものだと思っていたから。

最後まで残るのは、いつも自分だけだった。
それを寂しいと感じる前に、そういうものだと覚えてしまった。

それでも、人の幸せを祈る自分は、嫌いじゃなかった。
むしろ、そういう自分でいられることに、どこか安堵していた。

滑稽だと思う。
他人から見れば、過剰な自己愛に過ぎないのだろう。
けれど、それは削ぎ落とすことのできない本質だった。

自分のことしか愛せない。
だから、貴方を好きになることは、きっとない。

――なのに。

貴方に想われているこの状態が、
どうしようもなく、甘くて、やめられない。

貴方が好いてくれる限り、
まだ、正常な人間でいられる気がする。

どうか、このまま。
触れれば壊れてしまう本当の形に、気づかないままで。

この歪さに、名前が与えられてしまう前の時間が、
静かに、永遠に続けばいい。

3/24/2026, 11:50:20 AM

#ところにより雨

どうしてか、この一帯だけ雨が降っていた。

さっきまでの空が嘘みたいに、静かに、確かに濡れていく。
予報にはなかったはずなのに、傘なんて持ってきていないのに。

濡れること自体は、嫌いじゃない。
けれど今日に限って、それが妙に心に触れた。

肩を叩かれる。

振り返るより先に、澄んだ声が届く。
雨音のノイズに紛れることなく、まっすぐに耳の奥へと落ちてくる。

「ところにより雨、だって」

翳された傘の内側で、
悴んだ指先に、ゆっくりと血が巡る。

ところにより、なんて。
こんな曖昧な線引きでは足りない。

いっそ、このまま強く降り続けばいい。
境界なんて消してしまうくらいに。

そうしたら、きっと貴方は
今みたいに、理由もなく隣にいてくれる。

――それだけでいい、と言えたらよかったのに。

もし許されるのなら、
この雨ごと、貴方を引き留めたい。

濡れてしまえばいい。
戻れなくなるくらいに。

そのまま静かに、
ふたりで、同じ深さまで沈んでいけたなら。

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