ヨルガオ(短編小説)

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7/30/2023, 10:31:33 AM

「…あいつ……一体何処まで……」

「…うっ……風が……」

「きゃあああっっ」

「……いっ…た……」

「…あんな上から落ちたんだ……」

「どうしよ…と、とりあえず、そこの洞穴に……」

「いった、い………これじゃあ嵐が止んでも集落まで歩けない…」

「……暗いし…どうしたら……うぅ…」

「………………」

「…………あ…れ」

「私…眠って……。ここは……」

『あ、起きたか?』

「えっ!?…な、なん……いっ!…………」

『おいおい、あんまり動くなって!怪我してんだから』

「……なんで分かったの…嵐は…!?」

『嵐はさっき止んだ。もうすぐで着くから大人しくしてろって』

「……………」

(ずっと私の事探してくれていたんだ)

(冷たいけどあったかい……)

「ありがとう」


ー澄んだ瞳ー

7/29/2023, 1:52:51 PM

「…嵐が来る」

『…お前何言ってんだ。こんな良い天気なのに』

「だからだよ。嵐の前の静けさっていうでしょ」

「それに…匂いがする。雨と風の匂い」

『はいはい。お前の鼻がいいのはわかったからさ』

『さっさとウサギ採りに行こうぜ。俺腹が減ってよ』

「あ、まって。今日はもう帰ろう」

『危ないってか?俺は狼だぜ?』

『嵐が来たって、この爪と牙があるから大丈夫だ』

『お前だって、俺が集落一強いって事はわかるだろ?』

「そうだけど……」

『心配すんなって。夜までには帰るからさ』

『お前は早く家に帰って俺を待ってな』

「あ…………」


ー嵐が来ようともー

7/28/2023, 11:34:14 AM

ピピピピッ ピピピピッ

ん…?なんでこんな時間に目覚ましかけたんだ…。

…あ、そうか。今日の夜、祭りあるんだった。

重い身体を無理矢理起こして、準備をする。

徐々に賑やかになっている通り。

楽しそうに金魚すくいをする子供。

ほのかに香る焼きそばとカステラの匂い。

友達に誘われて来たけど、来なきゃよかったか。

そう思いながら、友達について行く。

「あ、あれ。かえでじゃね?」

指差す方向を向く。

赤い光に包まれた彼女がそこにはいた。

水色の浴衣を着て、いつもとは違う髪型で。

あいつ…教室ではいつもおとなしいのに…。

彼女以外、僕には見えなくなった。


ーお祭りー

7/27/2023, 1:45:00 PM

白日のような髪の神様がそこにはいた。

「僕を旅に連れて行ってくれ」

目を輝かせながら私に言うその姿は、

神だとは思えないぐらいに小さく、幼かった。

『あれが一等星。そしてあれが月』

「……すごいな」

神様なのに、こんな事も知らないのか。

「人間の見る世界が見たかったのだ」

「少年のお陰でこんなにも素晴らしい世界を知れた。感謝する」

言葉遣いだけは、一丁前だな。

「少年よ。僕は次の世界を見たくなった」

「私欲と好奇心で私自身を満たしたいのだ」

『…神様ってのは、気まぐれだな』

次の日、神様は消えた。


ー神様が舞い降りてきて、こう言った。ー

7/26/2023, 11:07:15 AM

昔、『最大多数の最大幸福』という考え方があった。

最も多くの人に最大の幸福をもたらすのが善と考える事だ。

聞いてみると良いものと捉えられる。

じゃあ、こういう状況はどうだ?

5人の子供がいる。

その子達はそれぞれ体に悪いところがあり、移植してもらう事を望んでいる。

そんな時、貴方の臓器が適切だと判断された。

つまり、貴方が5人分の臓器を提供し、死ねば

5人の子供が助かる。

その逆に、提供しなければ5人の子供が死ぬ。

…君は1人の幸せと5人の幸せ、

どっちを重くみるかな。


ー誰かのためになるならばー

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