愛しのレヴィ
実は貴方を見ている暇なんて人生には無くて、
自分に希望を見出しているだけで、
本当は貴方を抱いているのは、
私が過信しているだけで、
私が誰かを模倣しようとしているってことの証明、
そういうことに気がついて、
貴方を捨てようとしている私がいる、
ずっとあったのに、
ずっと付いていたのに気が付かなかった翼、
取り戻そうと思う、
ありがとうレヴィ、
貴方の、嫉妬のお陰で、
大きくなれたところも沢山ある、
また、貴方が帰ってきたら、
私はまた貴方を切り捨てたいと思う
黒い海に揺られ、
氷のような風に吹かれ、
厳しいが、
目的地が分かっていれば流れ着くだろう。
「君、よーく、その舵を握っていてくれたまえ。」
オレンジのぼんやりとしたランプに顔が照らされている船長の、覚悟の決まった顔といったら。
私はこの人の為に舵を二度と離さないと決めるほど、頼もしく、勇ましくみえた。
「見失うな。自分で舵を握って舵を切るんだ。その結果沈没しても後悔はない。ただ、あまりにも強大な自然に、逆らえない時もあるがね」
書類を束ね机の端に寄せ、珈琲を淹れ香りを嗅ぐ
休憩と称して彼女とティータイムするのが
近頃の楽しみである
小鳥は巣立ち、巣には我々だけ
ただ、いつ帰ってきても良いように部屋はそのままで
埃だけ払っておいてやる
彼女が毎年楽しそうに作る手袋とオーナメントに
私が育てた草花を縄で括ったリースを、窓辺にかける
小鳥たちがこうすると、毎年喜んでいたものだ
習慣はなくならないものだ、なかなか
あちらがたてばこちらがたたず
時にまどい歯車がくるい
歪を愛せず歪をしのぶ
それを忘れさせるようにかの人は
懐に金木犀の香りを忍ばせてやってきた
歪をこよなく愛すあの人に
私は恋い焦がれてしまった
ならば歪な私も愛してもらえるか
そんな甘えから来たのだろうか
その懐にしのび、ただただ彼の言葉を享受したい
欲が漏れ、自身での調和への努力は
彼の雅で慎ましい香りに
押し流された
捨てないといけないと思っても捨てられない
鴉片のように鉛として身体にのしかかり
私の手を止める
意義のあることと思わせて
終われば何も覚えていない
生産性のない行為を
残された少ない時間で
ただ、繰り返している
死んだ時、果たして「生きた!」
と心から叫べるほどの
歓喜や苦しみを
私は味わっただろうか?