あけぼの 薄みがかる霧の空に
レースのカーテン たなびく風
冷風顔にあたり
浴びる光は朝日だけ
沈黙
情報が溢れる現代で
ヒトという貴方への
朝からの
沈黙 静寂の贈り物
オランダの風車が回りだして
スイスの鶏が鳴く頃
私が服を着る頃に
君はベットの中
白砂の砂時計は残り僅か
君の白いパールのオペラチェーンで
私の脚を締め上げて
砂時計にも灰皿にもなんにも残らないで
ガラスに夜明けが反射する
私の切実な願い
君の芸術に花が開くのは遠い未来
けれど、どうか好きに生きてほしい
それだけで、私の考えもつかない
大きな華を開花させて、人を魅了できるだろう
私についてこなかった君よ
手を差し伸べたのについてこない君は
これから、私の用意した道と外れて
長い、獣道が続くだろう
何処へ進んだら良いのか分からない
そんな景色が広がる
けれど、止まっていては何にも出会えないのだよ
足元の青い小さな花に満足していては
いつかその花が枯れた時に
何を信じていいか分からなくなるだろう
旅を続けて
様々な御人と出逢い、己を育み
自分自身が華となれ
私はそんな君とまた出会えることを夢見て
地平線の先に出る
また一周して出逢おう
このホールループに
この星で
22時12分。
RingRingRing...
向こうの国では
アフタヌーンティーを楽しんでいる時間。
私にとっては一生の時間だ。
きっとかの国の彼女は
細長い指先で、桃色の指先。
まつ毛もあの幼少の頃見かけた人形のように長く。
白くてシルクのフリルのブラウスを着て。
電話先で鈴のようにコロリと笑うのだ。
こんな言葉がある。
国は船 政府は舵 国民は風。
僕は風。この青くて広い地球を飛び回る風。
木の葉が揺れて、心地よくて。
それでいて力強い。
水みたいな、川の流れみたいな風に。
世界地図が当たり前にスマホで見られるようになって
一気に世界が縮まって
国も覚えられないほど生まれた。
それでもこの国は続いていく。
今までの僕たちの先祖も、みんなが知っている、漫画家や、お笑い芸人や、軍人だって、
みんな、風だったのだ。