私、人間剥き出しで恋をしたい
全部、プライドも脱ぎ捨てて、あなたと向き合いたいと心から思う。たとえ火に焼かれても、私はあなたにこの姿を見せたい。
熱い、熟れたこの果実が、焦げて真っ黒になってボロボロ零れ落ちても、一欠片でも、あなたに届いたらとっても嬉しいことだと思う。
まっかでどろどろ。
ぜんぶほんと。
夜空より黒い海原に二人グラグラと
軍服のお兄さんといいお着物のお兄さん
二人は深く信頼し合っていて、小さい頃から一緒であった。二人して軍艦に乗り込んで、他の仲間達と敵国へと進んでいった。
その黒い髪がサラサラと、着物のバタつきより幾分もおとなしく、海藻のように穏やかに揺らめいた。
それが流行り病でみんな死んで、お兄さんたち2人だけになった。
嵐が来ちゃっても、二人じゃどうにもならない。しかも、お着物がびしょ濡れのお兄さんは箱入りの息子であるときた。
軍服のお兄さんが頑張るのを、びしょ濡れお着物のお兄さんは、柱に必死につかまって、寒さに震えてそれをみていた。
ただ、柱は鉄で、目の前の障害物にドスンとぶつかって、大きく傾いて、ズルリと滑った。傾いた船は、2人連れて一度深く沈んだ。真っ黒で、2人はお互いを咄嗟に探そうとしただろう。幸いなことにすぐに船は起き上がった。
こりゃ、一人じゃたまらないと思った軍服お兄さんら、着物のお兄さんの腕を今までになく強く引いて、舵を握らせて、雨音に負けないように叫んだ。
「いいかい、耕造!お前が、今からこの舵を切るんだよ。俺はお前が生きて帰れるように、中を見てきてやるからね」
また強く揺れて、耕造の手が舵から離れようとすると、軍服のお兄さんは自分は吹き飛ばされもせず、耕造の手首と舵を、縫いつけるように押さえた。
その瞳はギラギラとして、耕造を見つめていた。さっきまでぼうっと光っていた唯一の夜のたより、ランタンのようであった。
少ないよ、少ない。
お前に残ってるのは本当に少ない。
その機械なんかに負けるなよ。
身を任せて、呑まれたのか
マフラーの震える音、タイヤがコンクリと擦れる音。
クラクション、白黄色赤、ビルの明かり
白い街灯、群がる蛾
先刻の、雨水溜まるマンホール
窶れ、黙れ、愚息達
菊百合菊百合白の鳥
白い百葉箱とあの子
無能十一 耳無芳一
パイナップルの苗を抱えて、大泣きして
嫌な日、なんて嫌な日
腫らした眼、潮風に吹かれて腫れたよう
夕刻の満月、憂国の、
草いきれに気を取られ、
見逃したあの時を
お返し賜われあの時を、銀の首輪の幼き君と
閏月を返したまえ、父、父よ
野兎と、脱兎
あんなのただのクレーター
死などどうでもよかろ、ジャンプして
穴が空いてもよかろ、服破れ
窒息してもよかろ、かの凍死の君と
手を離さない
貴方の地下室には素敵なものが沢山だと思う
白くて小さい小鳥に、青い星たち
決して青い鳥や金色の星は無いけれど
微かな幸せが沢山詰まっている地下室
恥ずかしがらないで見せてほしい
人の幸福なんて比べることはできなくて
貴方はそうなのね、と頷くことしかできないから
首を横に振るなんて、誰にもできないんだから