紗夢(シャム)

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1/14/2023, 7:26:44 AM

【夢を見てたい】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

1/14 AM 10:27
「宵ちゃんになりたい」
「……いきなり、何? 寝惚けてるの?」
「ちゃんと起きてるよ~。ほら、ゲームとか
 漫画で、体が入れ替わっちゃった! って
 いうシチュエーション、よくあるでしょ?」
「よくあるの?」
「よくあるの! それで、わたしなら
 宵ちゃんになりたいっていう話」
「……通話、切っていい?」
「えっ、理由は聞いてくれないの?」
「ろくなこと言わなそうだから」
「宵ちゃんの魅力を語ろうとしてるだけなのに」
「切っていい?」
「まぁまぁ。だって、女子としてはやっぱり
 宵ちゃんの抜群のプロポーションに
 憧れちゃうワケですよ。
 スリットがっつり入ってて胸の谷間も見える
 ようなセクシーなチャイナドレス着たり、
 オフショルミニ丈の白ニットワンピで萌袖
 したり、ロリータメイド服に猫耳猫しっぽ
 付きでハートポーズとったりしたいの!」
「何を言ってるのよ……」
「要約すると、宵ちゃんが着てくれなそうな
 服を着て、自撮りしまくりたい、かな」
「そんなことが楽しい?」
「超楽しいと思う」
「ああそう」
「呆れないで~。
 夢を見てたいお年頃なんだよ~」
「ほどほどにしときなさい」
「うう……これでも自重した方なのに」
「自重の意味、一回辞書で調べたら?」
「宵ちゃんは厳しいなぁ。
 もうこうなったらついでに言っちゃうけど、
 天明(てんめい)くんになるのも楽しそう。
 宵ちゃんに壁ドンして、乙女ゲーに
 負けないレベルの甘い台詞で迫りたい」
「丁重にお断りするわ。
 ……なんでアンタは対象をアタシに絞るのよ」
「もー、宵ちゃん! 美少年が美少女を
 口説くのは浪漫があるでしょ!
 一番身近な美少女の宵ちゃんに断られたら
 天明くんになったわたしは
 誰に壁ドンすればいいの!
 真夜(よる)くんにしろって言うの!?
 ――……アレ? なんだかそれはそれで、
 一定の層には需要がある気がしないでも
 ないような……楽しいかも?」
「……アタシが悪かったわ。だからそれ以上
 妄想の幅を広げるの、やめなさい……」

1/12/2023, 6:13:56 PM

【ずっとこのまま】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

1/11 PM 5:25

 (めちゃくちゃ見られてるなー……)

 昇降口から出ていく生徒、ほぼ全員から
 注目を浴びているが、当の本人たちは全く
 気にしている風もない。

「あ、天明(てんめい)くんだ。
 天明くんも部活終わったんだね、
 お疲れ様~」

 俺に気付いた古結(こゆい)が、
 にこやかに話しかけてくる。
 真夜(よる)のコートに包まれて、
 後ろから抱き締められながら。

「お疲れ。……あー、その、
 だいぶ目立ってるけど、いいのか?」
「うーん、やっぱり目立ってるの?
 さっきも別の友達に言われたんだけど。
 なんでだろうね~、真夜くん」
「……さぁ?」
「(カップルが堂々とイチャついてるように
 しか見えないからじゃねーかな……)」

 無自覚な2人に、それを伝えた方が
 いいのか迷う。
 ――その時だった。

「お待たせ、真夜、暁。
 ……槇(まき)くんも一緒だったのね。
 それはともかく、何でアンタたちは
 二人羽織なんかで遊んでるの」

 現れた宵の言葉に、一瞬周囲の空気が
 ザワッとしたのが分かる。
 恐らく、宵の言葉が聞こえてしまった奴は

 『二人羽織はねーわ!』
 
 と、心の中でツッコまずにはいられなかった
 からだろう。
 正直、俺にもその発想はなかった。

 真夜と古結のことを良く知らない人間からは
 仲のいいカップルにしか見えないのに、
 2人を良く知る宵には、2人が遊んでいるよう
 にしか見えない。
 立ち位置によって、見え方がまるで違う。
 その認識のズレが可笑しかった。

「違うよ~宵ちゃん。これはね、真夜くんの
 温もりを分けてもらってたの」
「なら、いつまでも真夜で暖を取ってないで、
 出てきなさい。そのままじゃ歩けないでしょ」
「えええぇー……もうずっとこのままで
 いたかったのに~。仕方ないなぁ。
 ……ありがとね、真夜くん」
「どういたしまして」

 渋々真夜のコートの中から出てきた
 古結は、今度は宵の腕に絡み付く。

「帰ろ~、宵ちゃん、真夜くん。
 天明くんも、途中まで方向同じだよね?」
「そうだな。一緒に帰るか」

 俺はまだまだ、3人への理解が
 足りないらしい。

1/11/2023, 2:15:19 PM

【寒さが身に染みて】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

1/11 PM 5:15
「さむ~い! 今日は風が冷た過ぎるよー。
 コート着てマフラーして手袋して、
 完全装備なのに太刀打ち出来ない
 寒さだよ!」
「……スカート、長くすれば
 少しはマシなんじゃ?」
「この短さがJKプライドだから」
「……なら、膝上までくる長い靴下
 履くとか……」
「あ、ニーハイは可愛いよね。
 ……って、もしや真夜(よる)くん、
 絶対領域フェチ?」
「……?」
「違うかー。
 まぁ、とりあえず、その話は置いといて。
 寒くて耐えられないので、真夜くんの
 コートの中に入れてください」
「……どーぞ」
「は~、やっぱりくっつくとあったかいね~」

「……あんたたち、昇降口で何してんの」
「あれ? しぃちゃんにとっしー」
「……よぉ」
「2人とも、部活終わったのにまだ学校に
 居たんだね」
「クラスの友達と少し話をしてたのよ」
「そっか~。わたしと真夜くんは、
 宵ちゃんを待ってるの」
「その目立ちまくりな状態で、
 来るまで待ってる気だったのか……」
「え? 目立ってるの? わたしたち」
「自覚なし。ある意味、あんたたちらしいわ。
 じゃ、お先に」
「……じゃーな、暁。また明日」
「うん。また明日ね」

「…………。」
「……なんでアイツら恋人同士でもねーのに
 コートで包んで後ろから抱き締めてんだよ!
 ってところかしら?」
「…………。」
「寒さが身に染みるわね」
「言うな……それ以上……打ちのめされるから」
「天然て最恐(さいきょう)よねぇ。ドンマイ」

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 ほぼノリだけで書いているので、
 いきなりキャラが増えたりします。
 段々書いている自分が把握できなく
 なってきました(大問題)

 そんな適当な感じの物語をお読み頂いて
 ありがとうございます。
 『いいね』的なものまで押して下さって
 いる方がいて恐縮です。
 ありがとうございます。
 ほんのちょっとでも楽しいのであれば
 幸いです。

1/10/2023, 4:25:36 PM

【20歳】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

1/9 PM 9:00

『お誕生日おめでとう』
『主様……! 僕の誕生日を覚えていて
 くださったんですか。……身に余る
 光栄です。本当にありがとうございます』

 (~~~っ! かわいい!)

 ゲーム画面の中で、推しの子がお祝いされて
 喜んでいる。
 はにかんでいる表情のスチルが可愛すぎて、
 思わず悶えてしまった。

 (あーもう、萌え死にそう。ヤバい。
  こんなにかわいい20歳って反則!)

 いったん目を瞑って深呼吸。
 そうしないと、この後の甘い展開に心臓が
 保たなくなる気がした。

『どうか、この先もずっと、貴方のお側に
 居させてください』

 (……。……うん。そうだよね、大好きな人の
  側に、ずっと居たいよね……)

 推しの子の心地好い声を聞きながら、
 うらやましく思う。
 ゲームの中の《ずっと》は、永久保証
 されているものだから。

 (わたしはいつまで、一緒にいられるのかな)

 スマホを手に取る。
 今、この瞬間は、推しの声より
 宵ちゃんの声が聞きたくなった。

1/9/2023, 3:23:46 PM

【三日月】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

1/1 PM 5:30

「わ~、寒いね~」

 踊るような足取りで先頭を歩きながら
 古結(こゆい)が呟いた。
 日射しが暖かかった昼間と違って、
 辺りはすっかり暗くなって冷たい風が
 吹いている。

「晩ごはんの時間にはまだ早いけど、
 ちょっとお腹すいちゃった」
「……ラーメンでも食べて帰る?」
「真夜(よる)くん、ナイスアイディア!
 宵ちゃんと天明(てんめい)くんも
 それでいい?」
「……いいけど」
「異議なし」
「ちなみにわたしは醤油派で~、
 宵ちゃんと真夜くんは塩派なんだけど、
 天明くんは?」
「あー、俺は味噌だなぁ」
「バラバラだねぇ。――あっ、じゃあじゃあ、
 カップヌードルだったら好きな味は?
 せーの!」
「「「「カレー」」」」
 
 まさかの満場一致!! と言いながら
 爆笑している古結と、
 その姿を見て柔らかに微笑んでいる真夜と、
 笑いをこらえようとしているのか口許を
 手で押さえて小さく震えている宵。
 俺も思わず笑ってしまった。

 古結 暁、星河(ほしかわ) 真夜、星河 宵。

 幼なじみだという3人と、俺は知り合って
 日が浅い。
 ただ、一緒にいて、不思議な居心地の良さを
 感じている。

「……暁、笑ってばかりいないで、
 ちゃんと前見て歩きなさい。
 人にぶつかるわよ」
「はーい」

 古結に注意する宵の耳元で揺れる、
 三日月に猫が座っているデザインの
 イヤリングが、街路灯の光を受けて
 キラリと輝いた。

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