紗夢(シャム)

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【三日月】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

1/1 PM 5:30

「わ~、寒いね~」

 踊るような足取りで先頭を歩きながら
 古結(こゆい)が呟いた。
 日射しが暖かかった昼間と違って、
 辺りはすっかり暗くなって冷たい風が
 吹いている。

「晩ごはんの時間にはまだ早いけど、
 ちょっとお腹すいちゃった」
「……ラーメンでも食べて帰る?」
「真夜(よる)くん、ナイスアイディア!
 宵ちゃんと天明(てんめい)くんも
 それでいい?」
「……いいけど」
「異議なし」
「ちなみにわたしは醤油派で~、
 宵ちゃんと真夜くんは塩派なんだけど、
 天明くんは?」
「あー、俺は味噌だなぁ」
「バラバラだねぇ。――あっ、じゃあじゃあ、
 カップヌードルだったら好きな味は?
 せーの!」
「「「「カレー」」」」
 
 まさかの満場一致!! と言いながら
 爆笑している古結と、
 その姿を見て柔らかに微笑んでいる真夜と、
 笑いをこらえようとしているのか口許を
 手で押さえて小さく震えている宵。
 俺も思わず笑ってしまった。

 古結 暁、星河(ほしかわ) 真夜、星河 宵。

 幼なじみだという3人と、俺は知り合って
 日が浅い。
 ただ、一緒にいて、不思議な居心地の良さを
 感じている。

「……暁、笑ってばかりいないで、
 ちゃんと前見て歩きなさい。
 人にぶつかるわよ」
「はーい」

 古結に注意する宵の耳元で揺れる、
 三日月に猫が座っているデザインの
 イヤリングが、街路灯の光を受けて
 キラリと輝いた。

1/9/2023, 3:23:46 PM