【20歳】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
1/9 PM 9:00
『お誕生日おめでとう』
『主様……! 僕の誕生日を覚えていて
くださったんですか。……身に余る
光栄です。本当にありがとうございます』
(~~~っ! かわいい!)
ゲーム画面の中で、推しの子がお祝いされて
喜んでいる。
はにかんでいる表情のスチルが可愛すぎて、
思わず悶えてしまった。
(あーもう、萌え死にそう。ヤバい。
こんなにかわいい20歳って反則!)
いったん目を瞑って深呼吸。
そうしないと、この後の甘い展開に心臓が
保たなくなる気がした。
『どうか、この先もずっと、貴方のお側に
居させてください』
(……。……うん。そうだよね、大好きな人の
側に、ずっと居たいよね……)
推しの子の心地好い声を聞きながら、
うらやましく思う。
ゲームの中の《ずっと》は、永久保証
されているものだから。
(わたしはいつまで、一緒にいられるのかな)
スマホを手に取る。
今、この瞬間は、推しの声より
宵ちゃんの声が聞きたくなった。
1/10/2023, 4:25:36 PM