中学生

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9/9/2024, 11:03:27 AM

俺はいつもこの部屋から外を眺めている。朝、昼、晩、ずっとだ。俺は病弱で自分だけでは生きられない。世話を見てくれる人が必要だった。だが、俺は別に良いと思っている。外に出てもなにもないし、家の中と大して変わらない。たまに散歩で公園などを歩きに行くことがあるが、それは母がそうしないといけないとうるさいからだ。

「るい、ご飯の時間だよ。起きて」

ルイとは俺の名前だ。

俺は、ありがとうと言ってベットから起き上がり、目の前に置かれた飯をゆっくり食べはじめた。美味しい。朝は大体いつも同じだ。

俺は飯を食べながらも外をみる。母は、俺が外を見ているのをみて、外に出たいのだと勘違いしているらしい。それなのに、俺は外に出なくていいと言うものだから、俺が強がっているのだと思っているのだ。

外には沢山の人がいる。毎朝この時間に通り過ぎていく人が何人かいて、その人たちをみて、もうそんなに時間が経ったんだなと思う。

昼になると俺は家の中を移動して、ベットにいく。1時間ほど寝てから、また窓に向けてあるイスに座る。

この窓は西側に付いているので朝日以外は直射日光は当たらない。昔は寒いのでよく家の反対側に移動していたが、それだと去り行く人があまり見えないのでやめた。

昼ごはんは基本食べない。朝と夜食べれば十分だ。全くお腹空かない。食欲があまりないのだ。

最近はできるだけ動かないようにしている。
最近、体力がないのだ。少し歩いたり階段を登ったりするだけで息が上がる。

夜になるとまた飯を食べる。だいたいは母が用意してくれる。夜は朝より少し豪華だ。焼き魚に朝にもでたいつものご飯。あとは吸い物だ。

食べ終わるとまた外をみる。学生が遊んでいる。その姿を見ると少しだけ羨ましくなる気がする。

完全に日が暮れると、母が俺の唯一の楽しみを奪う。カーテンを閉めるのだ。確かに家の様子が丸わかりになっていたら嫌だが、毎日窓から外を見ているのを知っているのにも関わらず閉めるなんて酷いとおもう。

まぁ、俺の毎日はこんな感じだ。だが、この俺の毎日はもう直ぐ終わるんだとおもっている。分かるんだ。俺もちゃんとした生き物な訳で、自分の死期が分かる。
だが最後までいつも通り暮らす。それが一番だ。世界に一つしかないこの家に生まれて本当によかったな。

ーーーーーー1週間後ーーーーーーー

女子高生1「ねぇねぇ、あそこの窓にいた猫ちゃんいたじゃん。あの子、亡くなっちゃったんだって」

女子高生2「えぇー、あのルイくん?ご愁傷様だね...」

女子高生3「これからルイくん見られなくなるのか、悲しいなー」

お題「世界に一つ」


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途中お題忘れてパニックになりました。今回、超短い叙述トリックを意識してみたんですが、騙された方いるかな?叙述トリックって、長編だからこそ騙されると思うんですが、練習としてかいてみました!


9/9/2024, 8:49:40 AM

彼と出会ったのは不甲斐なくも夜中の渋谷でだった。

仕事は残業ばかりで、会社の飲み会にも参加されされた時の帰り道。
終電を逃した私は渋谷で行く宛もなく歩いていた。
金曜日だからと言って呑んでも良いと言う馬鹿げた発想は本当に嫌いだ。
明日が休日ならば、逆に五日間疲労し続けた体を癒したいし、二日酔いも想像するだけで嫌になる。

上司なんて死んじゃえばいいのに。毎日のようにそう思っていた。

「そこのお姉さーん!呑んでるよね?もう一杯どう?」

そういうとチャラそうなキャッチは看板を持っていない方の手でグラスを飲む仕草をした。
そしてニィーっと笑って間を空けず看板を指差して説明しはじめる。

「金曜のこの時間帯は深夜割ってのをやってて、簡単にいうと、室料と何かつまみを一つ頼むだけで飲み放題なんだよね!」

私は呆然とその男の説明を聞いていた。飲むつもりなんて一切ないのにも関わらず断る事もこの場を去る事もできない。

本当に何も考えていなかった。キャッチ男は反応がないからか次のターゲットに移ろうとしている。

次の瞬間、私の視界は歪んだ。また次の瞬間には右半身の痛み、頭痛。

私は眉間にシワを寄せた。自分が倒れたのだと知ったのだ。
立ちあがろうにも体が動かない。これじゃあ歩けないじゃないかと思った。よく考えれば歩けなくても宛がないのでいいのだが、なぜか苛立った。

そう考えているとヒョイと私の体が浮いた。なんだなんだと思っているとさっきのキャッチ男が私を簡単に持ち上げている。私は身長も高い方だし人に持ち上げられた事なんて赤ちゃんぶりだ。

私はまた呆然と男を見ていた。なぜか申し訳なさや、さっきの怒りは一切感じなかった。恐らく頭が冷静になってどうするべきか考えようとしていたのだと思う。

男も困惑していて、

「えっ!お姉さんどうしよう!?救急車呼ぶ?貧血!?」

と何か言って私を米俵を運ぶように持ち上げていた。

私は急に恥ずかしくなって、自主的に降りた。

「本当大丈夫ですから。酔ってたので。でも今はもう酔いは覚めましたから。ご心配おかけしました。」

そういってもキャッチ男は全く落ち着かない。

「いやいや、おねえさん左側!それ折れてるんじゃない?!血ぃめっちゃでてるよ!!?」

えっ。左半身を見る。なんともなってない。次に右半身を見る。右腕の指が擦りむけて凄いことになっている。絆創膏やガーゼでは拭いきれない量出血している。

「とりあえず店ちょーに見てもらおう!」

私は店内に通された。あとで何か請求されるのではと思っていたがその旨を伝えられるほど私は冷静じゃなかった。

記憶がしっかりしているのは店に通されて出血が治った頃からだった。
何故か男は店長らしき人に怒られている。

「お客様を怪我させてどうするんだよ」
「すみません、次からは気をつけます」
「気を付けるつったって責任はこっちがとらないといけないんだぞ。わかってんのか?」
「重々承知のつもりです。」
「テメェ喧嘩売ってのか」

私はいたたまれない気持ちになった。なぜなら彼に非は一切ないからだ。ただ私は男の話を聞いている時に倒れただけなのだ。ここまでしてくれて感謝しなければならないというのに。

「あの、その人は全く悪くないです。私か貧血で倒れた拍子に手を階段に強く打って擦りむいただけですもの。逆に態々ここまでしていただいて、ありがとうございます。」

店長はこちらを向いて、男に向かって何故それを最初に言わないんだと理不尽に文句を言った。
男は私をみて、明るく笑った。

「お姉さんが無事でよかった」

「今日はもう帰ります。また後日お礼をさせていただきたいのでご連絡をお聞きてしも宜しいですか?」

こういう小さな気遣いと、優しさ。人は見かけに寄らずと言う、言葉に当てはめて照らし合わせる。
外見は作ることができても中身は良くも悪くも変わらないんだと思った。私の根の心は自分では見れない。
当てはめても、自分の心の色を透かして見る人が居ないとわからないのだ。私を見てくれて、それを嘘偽りなく教えてくれる人が私にも現れたらどれだけ幸せなのだろう。そんな人が現れてくれたら私はどんな困難でも乗り越えられると思った。
こう思うのは一瞬だが、一瞬でもこんなこと考えられるならそれだけの価値があった。右手の指がまだ、痛む。これが不幸中の幸いというやつなのだろうか。

お題「胸の鼓動」

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続くかも!!
ここまで読んでくれた人大好きです。七時半まで2時間もないですが、いいね付くかな?



追記

今までで一番いいね付きましたー!もうるんるんです。このアプリの良いところは、いいねの数を他の人と比べないで良いところなので詳しくは書きませんが、いつもより10個くらい多い。態々書くのも何かなと思いましたが嬉しくて。記録しておきます!



8/20/2024, 2:46:17 PM

古めかしい雑音の入ったカセットテープに雑音じゃない見覚えのある声が流れた。
一分間の雑音の後にようやく聞こえた声は息が荒く、気持ち悪い。犬のようだ。
その声は語り始めた。だが、聞いている私にはなにも情報が入ってこない。
カセットテープとは別の雑音が耳に鳴り響く。
私は踞って頭を抑えて呟いた。
「頭痛い」

今日は、一年前まで生きてた腐れ縁の命日だ。
別に、好きだった訳じゃないが、そいつとは十年以上の中だった。
今日まで、ヤツが死んだ事なんて忘れて人生を謳歌してやった。
ヤツはとにかく明るい奴だった。いつも俺にへばりついてきて離れなかった。
口下手で、寂しがり屋で、頭悪くて、勘違いが凄かった。
今日まで弔わずに過ごしてきた。墓にも葬式にも行かなかった。ずっと酒呑んでた。

「うっ...」

吐き気がする。なんでこんな嫌な事を態々考えないと生きていけない。

このカセットテープには、ヤツの声が入っている。
ヤツの遺言だ。ヤツは自殺しやがったのだ。
なんで自殺したのかはまだわかってない。いつも通りだったそれしか言えない。

俺に、相談してくれればよかったのに。ただそう思うだけだ。
これ以上思ったら自分が情けない。だって、そう思うなら自分から声かけて全力で自殺なんて止めればよかった。屹度この俺の有り様を見てるんだとしたら、アイツは苦笑いしてから、俺を慰めるだろう。

何かをずっと思って最終的に逃げてしまうほど辛かったのはお前だろと思うと更に虚しく、悔しさが残る。
ヤツと気を巡らせるみたいで鬱陶しい。もう居ないのに、こんなプライドを発揮して生きる。

まだ向き合えない。また来年。とてつもなく長く短い一年してからカセットテープを聞こう。


お題「さよならを言う前に」






7/24/2024, 12:28:23 PM

「友情といえば!私と君だよねぇ!」
そう話しかける私の前には冷たい墓石がひとつ。雲で隠れて月明かりすらない暗い夜。
「私と君は友情という言葉では表せないさ。」
「世界で一番の存在だよ君は」
風が私を靡いた。私の前髪は揺らいだ。
冷たい墓石に手を置く。矢張り冷たい。冷たすぎる。
触るだけ寂しさが積もっていくような気がする。
「ねぇ荻原?」
      
「荻原ひろと」そうかかれている。
君はよく噂を流す人だったね。毎回毎回デマを聞くたび私はすぐ気づいたでしょう。でも良い噂ばかりだったね。
怖い話も好きだったね。真夜中の墓地に一人きり。君が好みそうなシュチュエーションだね。

君の香水の香りは今にも想像できる。
でもね、人は何よりも先に匂いを忘れていくんだって。
定期的に嗅がないと忘れちゃうんだって。
私、忘れちゃうのかな。君の匂い。
あのブランドの香水じゃない。
君があのブランドの香水をつけて、笑顔じゃないと、だめだ。だめだよ。雰囲気を、空気をも忘れたらもう見た目しか思い出せないじゃないか。
白昼夢だったと、夢だったと思ってしまうじゃないか。



こんなの駄目だ。無理だ。私にはやっていけない。
君が必要だよ。何で居ないんだよ。もう2度と会えないのかよ...!
どっちが死んでも会えない何でそんなの駄目だ。
何でこんな卑怯なんだ!

私も、君も、何もやってないじゃないか。
何もせず、ただ商売をしただけだ!ただ生きる為に必死になっただけだ!なのに、生きる為に生きていたのに
何で死んだんだ!何で人は死ぬんだよ!
何で神様はこんな事するんだよ!
畜生。何で..。
オリンピックの選手も負けたら悔しい。悔しすぎて潰れそうになる。でもそれを原動力に努力し、勝つ事ができる。
大体の悔しさは努力で埋める事ができるんだ。
悔しいという事は、自分が弱いという事だから。
でも、死は別だ。どれだけ抵抗して拒絶しようが絶対に死ぬ。どれだけ理不尽でもこれに逆らうことはできない。それは私たちが生まれる変わりに与えられた約束だ。

この足枷を背負ってなお、人類は命を受け継いできた。

急に目尻が熱くなって私の目から涙が出た。こんなのってない。
感情が極限にまで限界が迫ってきたのだ。
私、もう君と同い年だよ、なに泣いてるんだろうね。
因みに背も抜いたよ。業績も貯金も全部君を上回ったよ。なのに、私はちっとも嬉しくない。



ーーーーーーー

荻原ひろ「と」です。

7/23/2024, 11:05:57 AM

私は中学校に上がるまで
まさか朝になると花咲くから「アサガオ」という名前が付けられているということを知らなかった。

それを知った時はかなり感動した。朝になると顔を出すこんなに綺麗な花。だからこんなに人気なんだ。と思った。

実はそれまで私は学校への行き渋りが激しかった。

朝は酷く、お腹が実際にとても痛くて起き上がれないほどだった。でも休むことを学校に伝えたと言われると、その症状は次第に引いてゆき、私自身も不思議に思った。

けれども両親は当然のことながら
その腹痛を仮病だと疑っていて、常に探りを入れられ何処か動物のような扱いを受けて辛かったのを覚えている。

朝皆んなで投稿する班にはA子ちゃんという苦手ない子がいて、いつもその子が中心になって全員で私を無視した。
だから私は絶対に登校班の人には会いたくなかった。
大人の前でもバレずに無視してくるのだ。もしプライベートで登校班に来ないことを踏まえると何をされるか分からなかった。
登校班のみんなからそんな嫌がらせを受けているなんて親に言えず、私はただ登校班にはいきたくないと言った。
母親は私のことを、歩きたくない怠け者だと思ってため息をつき無視した。
家でも登校班でも無視される私はドンドン気が滅入って行き、生死について考えるようにまでなってしまった。
それでも尚、班の皆んなの事は言えなかったのだ。

そして、それから三年が経過する頃。
私は学校に通えるようになっていた。ただし、親に学校まで送ってもらうか、少し遅れて別室投稿にしてもらうかだった。そして週一で休んでいた。
かなり安定してきていた。私はもう登校班に行ってみても良い気がした。でもそんな勇気は湧かなかった。
マイペースに一人で登校する中、私はアサガオのある植木鉢を見た。
早朝、雨が降っていたのか雫が滲んでいてそれには薄い色で着色された私が写っていた。
私は何故か悲しくなった。儚いという言葉はその年じゃ浮かんで来なかった。
ただ悲しい、寂しいという感情が目一杯溢れ出してきて私を支配した。ランドセルを水溜りに放り投げてどこかに逃げ出してしまいたい衝動に駆られた。
拒絶とは少し違う。憂鬱とは何か足りない。
その感情は、私不安にさせた。私はアサガオを見たっきり動けなくなった。
やるべき事と自分の気持ちが違って辛かった。
その二つの行動の真ん中が迷いだとするとずっとそこから私は動けなくなった。
例えば、
パーしか出せない人と
グーとパーしか出せない人が二人でじゃんけんして
負けた人は殺されるっていうルールだとしたら
一人はパーしか出せないからパーを出し続けて、
もう一人はパーとグーを出せるけど、グーを出したら殺されちゃうからずっとパーを出し続けてるような
想像するだけで肺が燃えそうな空気をずっと吸い続けているような感覚だった。

そんな時、アサガオに水が降ってきた。
雨じゃない。水のでどころ辿るとどうやらお婆さんがホースで水やりをしているようだった。
私はその行動が嫌がらせとしか思えない心になっていた。

私は何歩か移動して少ししゃがんで楽になりたいと思った。何故か吐き気がした。けれども吐く様子はなく疼く事もなかった。
お婆さんはそれで初めて声を上げた。意外にもとても優しい声だった。

「お嬢さん、どうしたんだい?学校は?」

私は文末に付け加えられた学校という文字に浮遊感のようなものを感じた。
私が言葉に詰まっているとそれを察してかお婆さんはアサガオに話題を転換した。

「このアサガオはね、孫から貰った種を植えて、種子をとって、を繰り返して何十年も咲いてきた朝顔なんだよ」

「私はアサガオが好きだよ。朝になればそれを元気に知らせてくれる朝顔は、なんだかとっても元気をくれてね。これは孫だと思って育てているよ。」

私は何故か分からなかったが、その声に酷く感動させられた。それと同時にこの人の孫を羨ましく思った。こんなに素敵なお婆さんの孫だなんて、
私はさっきまで何で悩んでいたか忘れた。
これは過去からきたんだ。この土の匂い、反射した私、伸びたツルは色づき、もうモノクロでは無くなっていた。
私はこんな何の変哲もないただの日常の片隅にこんな美しいものがあってたまるかと思った。
そして、このお婆さんの愛情と、お母さんを挟んで孫を通して今にまで形に残っているのが素敵だった。

それから私は毎日そこへ寄った。日に日にそのお婆さんとも仲良くなって、たくさん話すようになった。
もう孫さんは居ない事や、夫は仕事でいつも寂しいことなども教えてくれた。
私を、あの「朝顔」のように可愛がってくれた。


大人の私も元気に生きている。

通勤時、庭にある朝顔をみて思い出す。あの憎さ、悲しみあっての私だ。

お題→「花咲いて」

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