14歳になった底辺

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「友情といえば!私と君だよねぇ!」
そう話しかける私の前には冷たい墓石がひとつ。雲で隠れて月明かりすらない暗い夜。
「私と君は友情という言葉では表せないさ。」
「世界で一番の存在だよ君は」
風が私を靡いた。私の前髪は揺らいだ。
冷たい墓石に手を置く。矢張り冷たい。冷たすぎる。
触るだけ寂しさが積もっていくような気がする。
「ねぇ荻原?」
      
「荻原ひろと」そうかかれている。
君はよく噂を流す人だったね。毎回毎回デマを聞くたび私はすぐ気づいたでしょう。でも良い噂ばかりだったね。
怖い話も好きだったね。真夜中の墓地に一人きり。君が好みそうなシュチュエーションだね。

君の香水の香りは今にも想像できる。
でもね、人は何よりも先に匂いを忘れていくんだって。
定期的に嗅がないと忘れちゃうんだって。
私、忘れちゃうのかな。君の匂い。
あのブランドの香水じゃない。
君があのブランドの香水をつけて、笑顔じゃないと、だめだ。だめだよ。雰囲気を、空気をも忘れたらもう見た目しか思い出せないじゃないか。
白昼夢だったと、夢だったと思ってしまうじゃないか。



こんなの駄目だ。無理だ。私にはやっていけない。
君が必要だよ。何で居ないんだよ。もう2度と会えないのかよ...!
どっちが死んでも会えない何でそんなの駄目だ。
何でこんな卑怯なんだ!

私も、君も、何もやってないじゃないか。
何もせず、ただ商売をしただけだ!ただ生きる為に必死になっただけだ!なのに、生きる為に生きていたのに
何で死んだんだ!何で人は死ぬんだよ!
何で神様はこんな事するんだよ!
畜生。何で..。
オリンピックの選手も負けたら悔しい。悔しすぎて潰れそうになる。でもそれを原動力に努力し、勝つ事ができる。
大体の悔しさは努力で埋める事ができるんだ。
悔しいという事は、自分が弱いという事だから。
でも、死は別だ。どれだけ抵抗して拒絶しようが絶対に死ぬ。どれだけ理不尽でもこれに逆らうことはできない。それは私たちが生まれる変わりに与えられた約束だ。

この足枷を背負ってなお、人類は命を受け継いできた。

急に目尻が熱くなって私の目から涙が出た。こんなのってない。
感情が極限にまで限界が迫ってきたのだ。
私、もう君と同い年だよ、なに泣いてるんだろうね。
因みに背も抜いたよ。業績も貯金も全部君を上回ったよ。なのに、私はちっとも嬉しくない。



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荻原ひろ「と」です。

7/24/2024, 12:28:23 PM