14歳になった底辺

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俺はいつもこの部屋から外を眺めている。朝、昼、晩、ずっとだ。俺は病弱で自分だけでは生きられない。世話を見てくれる人が必要だった。だが、俺は別に良いと思っている。外に出てもなにもないし、家の中と大して変わらない。たまに散歩で公園などを歩きに行くことがあるが、それは母がそうしないといけないとうるさいからだ。

「るい、ご飯の時間だよ。起きて」

ルイとは俺の名前だ。

俺は、ありがとうと言ってベットから起き上がり、目の前に置かれた飯をゆっくり食べはじめた。美味しい。朝は大体いつも同じだ。

俺は飯を食べながらも外をみる。母は、俺が外を見ているのをみて、外に出たいのだと勘違いしているらしい。それなのに、俺は外に出なくていいと言うものだから、俺が強がっているのだと思っているのだ。

外には沢山の人がいる。毎朝この時間に通り過ぎていく人が何人かいて、その人たちをみて、もうそんなに時間が経ったんだなと思う。

昼になると俺は家の中を移動して、ベットにいく。1時間ほど寝てから、また窓に向けてあるイスに座る。

この窓は西側に付いているので朝日以外は直射日光は当たらない。昔は寒いのでよく家の反対側に移動していたが、それだと去り行く人があまり見えないのでやめた。

昼ごはんは基本食べない。朝と夜食べれば十分だ。全くお腹空かない。食欲があまりないのだ。

最近はできるだけ動かないようにしている。
最近、体力がないのだ。少し歩いたり階段を登ったりするだけで息が上がる。

夜になるとまた飯を食べる。だいたいは母が用意してくれる。夜は朝より少し豪華だ。焼き魚に朝にもでたいつものご飯。あとは吸い物だ。

食べ終わるとまた外をみる。学生が遊んでいる。その姿を見ると少しだけ羨ましくなる気がする。

完全に日が暮れると、母が俺の唯一の楽しみを奪う。カーテンを閉めるのだ。確かに家の様子が丸わかりになっていたら嫌だが、毎日窓から外を見ているのを知っているのにも関わらず閉めるなんて酷いとおもう。

まぁ、俺の毎日はこんな感じだ。だが、この俺の毎日はもう直ぐ終わるんだとおもっている。分かるんだ。俺もちゃんとした生き物な訳で、自分の死期が分かる。
だが最後までいつも通り暮らす。それが一番だ。世界に一つしかないこの家に生まれて本当によかったな。

ーーーーーー1週間後ーーーーーーー

女子高生1「ねぇねぇ、あそこの窓にいた猫ちゃんいたじゃん。あの子、亡くなっちゃったんだって」

女子高生2「えぇー、あのルイくん?ご愁傷様だね...」

女子高生3「これからルイくん見られなくなるのか、悲しいなー」

お題「世界に一つ」


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途中お題忘れてパニックになりました。今回、超短い叙述トリックを意識してみたんですが、騙された方いるかな?叙述トリックって、長編だからこそ騙されると思うんですが、練習としてかいてみました!


9/9/2024, 11:03:27 AM