NoName

Open App
12/11/2023, 7:31:56 AM

 見たことのある看板の建物の中身が、何の変哲もないオフィスみたいだったら少しがっかりしてしまう。天窓のある建物はいまでも少し特別に見える。バスから見た枯れ木の群れがゆったりと前後関係を変えて、世界は丸いんだと思ったな。明日の朝は早いんだって言い損ねたまま話をしてる自分の非道いところに蓋をして暮らしていくよ。
 ひとつのものをたくさんで共有するときにはさ、どこにも敵を見つけられなかったらいいね。たぶんすぐにでも作れてしまうくせに、ずうっと見つけられないままでいたいな。すべてを知ることが幸福への筋道…ではない…って証拠が世界に山ほど散らばっているからちょっと扱いに困る。
 外がすぐに暗くなってしまう季節になって、別に終業時間は変わらないし、誰も一人じゃないと思うけど。一人だって思っている人が凍えているのをどれだけ身を切っても助けられないから、みんなちゃんとコートを着込んでね。

12/4/2023, 10:09:10 AM

 曖昧の中に浮遊していたい。だって、物事を終わらせるのにそんなにつまらない言葉ってないよ。これまで何を頑張りましたか。って言われて、受験勉強です。って答える時空みたいに歪んでいなくて。
 どこまでも遠くへ逃げられるようになってきたけれど、世界の果てまでも追いつけるようにもなってみたらしい。時空間移動なんてしないまでも、世界の端から端まで随分近しくなった。
 同じくして、さよならの言葉が重力を失ってから随分久しい。二度と会えないなら、それは意思だった。つまり、二度と会わないということだ。あまり強い言葉は使わないでいたい。不可能という宇宙を失って、随分自由でなくなったから。

12/2/2023, 10:39:27 AM

 離れて。距離をとることをさみしい、と思ってしまうのだから、まだこの生活は肌に馴染んでいないんでしょう。一人で生きられる者同士でなければ二人で生きられない、なんて宣ったまま冬になりました。手が悴んで、凍えてしまう。手編みのマフラーは時間を手渡すのと一緒ですね。首のところが重たい。これに締められて、極楽浄土へゆきたいです。
 指先の温度がしなくなってから屋根の中に入るのが怖いですか。痛みよりも痒みのほうが耐え難いらしいじゃありませんか。手が真っ赤になってしまっていますね。我慢した分だけ我慢できなくなっていくとしたら、って考えたことがありますか。ロールプレイング・ゲームを信じ込んだらいけませんよ。人は擦り減る生き物ですから。本当は、距離を置くべきだと思いますよ。

11/30/2023, 4:31:32 AM

 あなたが変わっていったことに名前をつける。わかりやすいようにと自分で区切りをつけて、そのくせそれの実在を信じている。別に悪いことではないでしょう。たとえば、あの色付いた葉が落ちる頃が目安だろうか。
 今日はすこし暑いね。こういう困ったことは一つ切り捨ててしまう。かつてのあなたのことを忘れたいわけでは決してないんだけれど、思う通りになってほしい、って、たぶん誰もが少しは思っているし。
 こんな今日が来るなんて、これまでずいぶんの間考えたことがあった?あったとしたら、望んで手繰り寄せたものなんだと思う。それが首を括る縄であったとしても。一つ一つは物語で、それらはつながって今に至る。そうやって信仰していたい。
 そろそろ冬が始まる、って、誰ともなく口にする。イルミネーションを見るとやっぱり嬉しい。どこから冬がやってきて、いつ通り過ぎてしまうのか、誰も知らなかったはず。ドーナツは穴が空いたやつだとおもう。冬が来ないと困るから。

11/27/2023, 11:51:26 AM

 体温計が平熱より高い温度を指したことを喜んでしまうような日々の残り物が、まだ生活の端にあるような気がしていた。目を閉じれば眠りにつけるけれど、明日を迎えたくなくてブルーライトを頼った。
 一度、二度、三度、目覚めては走り下りる夢を見てついに目を覚ます。夢では何度起きても焦れたのに、動かない体を以て現実感をやっと得る。不適合を露呈させないことが善いことだとするなら、怠惰のレッテルは盾だった。
 微熱みたいなズレだった。怠いような気分が続いていた。永遠に続くわけじゃない日々に、残量が足りて良かったと思う。

Next