NoName

Open App

 あなたが変わっていったことに名前をつける。わかりやすいようにと自分で区切りをつけて、そのくせそれの実在を信じている。別に悪いことではないでしょう。たとえば、あの色付いた葉が落ちる頃が目安だろうか。
 今日はすこし暑いね。こういう困ったことは一つ切り捨ててしまう。かつてのあなたのことを忘れたいわけでは決してないんだけれど、思う通りになってほしい、って、たぶん誰もが少しは思っているし。
 こんな今日が来るなんて、これまでずいぶんの間考えたことがあった?あったとしたら、望んで手繰り寄せたものなんだと思う。それが首を括る縄であったとしても。一つ一つは物語で、それらはつながって今に至る。そうやって信仰していたい。
 そろそろ冬が始まる、って、誰ともなく口にする。イルミネーションを見るとやっぱり嬉しい。どこから冬がやってきて、いつ通り過ぎてしまうのか、誰も知らなかったはず。ドーナツは穴が空いたやつだとおもう。冬が来ないと困るから。

11/30/2023, 4:31:32 AM