身体を内側から焼く熱が、心臓の裏側を焦がす火が着く。心拍数が上がる、息が浅くなる、手が冷たくなる。それが心地良いなら、今、きっとこれが闘争だ。交感神経を掻き切れるくらいに、そのくらいの強さで弾いたギターみたいに歪んだ音で先に進んでみる。戦える。戦えるって。全てをねじ伏せられる腕が欲しかった?誰よりも大きな一歩を歩める足が欲しかった?言ってる暇はもうない、薙ぎ倒せる、信じるしかない。振り払ってやるって、全部、自分が。温い風も注ぐ日も、喉を通した水も全てが賛歌してるって。迷惑ばっかりかけるし肩を丸めて生きてきたけど、一人きりで平和を目指したいけど、ずっと戦いたいとも思ってた。みんながそうじゃないだろ?世界に降り掛かる火の粉を払うための力で、どこまでも遠くまで、そのずっと後ろで笑ってる人類の一人も見えないところまで行って、そうして守ってやれるかな。勝ってやる、どうにか、少しでも。
背の大きくて手がごつごつして、おおらかで頼れる男の子と会えるといいね。小さくて優しい僕の友達。僕が一番愛してる。見た目も性格も性質もぜんぶ君の好みって勝手だね。別にいいよ、どうしようもないもんね。求めるものも違うから。
愛が大好きでこの世界は愛でいっぱいだって言ってたね。そんなのは気味が悪いって思うけど論破はできないならそうかもね。嫌いで死んでしまえばいいと思う人間が君に会ってはじめてできたんだ。自分が嫌なやつになってくのがわかるよ。これも愛なんでしょ。
友達だもんね。人前じゃ言えない一人称を使って、片思いみたいな文になって、こんなんで馬鹿馬鹿しいだろうな。身長180欲しかったな。声ももっと低かったらいいな。でもまずそんなんじゃなくて君は多分男の子が好きなんだろうね。
別に恋したいわけじゃないし君の好意が要るわけじゃないけど、運命なんかに取られる将来が恨めしい、愛なんか大嫌い。
どっかに行っちゃった。暖かい心の証明にもらってた黄色い缶バッジ。大事にしてるつもりだったのに。たしかに毎朝「よし」ってしてたわけじゃないし、落とさないように工夫もしてないし、紛れないように確認もしてないけど、なくしたいわけじゃなかったのに。剥がれ落ちる鱗。
寒くなるけど、ニットを着るにはまだ早い。チクチクって肌を刺す痛みに耐えられない人間として生まれてきちゃった。ちょっとした失敗。たんぽぽはあんなに秋に似合いそうなのに全然春の生き物だったな(どこに隠れた否定的用法だろうか)。今どこにいるの?
ーーはい、じゃあ今日で衣替えね。この半袖のシャツ去年買ったのに着なかったね。掘り当てて思い出す。こんなに服があったっけ?捨てたいわけじゃないけどちゃんと生きてられないから、この部屋は僕だけの鉱山。(大事にして。)
徹夜して迎えた午前五時ってほんとに朝なの?楽しいことは夜に遺っている。朝目覚めるために眠った日が直近で何日あったんだろう。楽しい勘違いをするのもそろそろ疲れた?
忘れてないだろうか。錆びた鉄の階段と、唇を切ったときの味が似ていたこと。夏祭りでヨーヨーが欲しかったこと。貰った金色の折り紙でできたメダルを偽物だった、って思う側だっただろうか…思わなかったろうか。
子供みたいに夢を見せて---サンタクロースは信じられているから存在するんだろう---、神様みたいに。夢は幻想を現実から守る門番だった。ひとつだって嘘にしないでほしい。
失ったものを探していて僕は迷子になってばっかりだ。もう出発した汽車にはどう駆け回っても会えないや。駅のホームで泣いてる大人から目を逸らす遠回りを、「冷たい人間!」と詰るのも、…汽笛が鳴る。別れの音、車掌さんの指先に罪はないよ。どこにもいない、どこにもいかない、時間だけはここに置いてって。留まり続けるためには走り続けなくちゃいけなくて、美しいものになりたくて蝋の羽が溶けるまで、
地元で雪が積もったのは数年に一度の話だったのに、工業汚染物質を核にこの街を白く染め上げるオートクチュールは、おなじ星にも違う景色を見せる優しい嘘にほとんど近似値。誰も見向きのしない光、誰がためになるエンゲージリングなのか求める者しか知らない。形を持っていないから。燃え尽きた光だから。