冷瑞葵

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7/25/2025, 11:11:42 PM

半袖

 半袖、ねぇ……。
 言わずもがな、半袖は夏の必需品だ。どんなに薄い生地だろうが、長袖で夏空の下なんか歩いたら動くサウナになってしまう。
 でも地味に半袖って面倒くさい。ムダ毛処理しないとボーボーの毛を見せびらかすことになるし、脇毛も剃らないと手を上げたときに飛び出ちゃうし、半袖のユニフォームを羽織ったときには袖がチラ見えしてダサい重ね着になってしまう。
 もちろん日焼け止めも必須。日焼け止めをサボって半袖で海に出かけた日なんか、次の日には肌に白Tが彫り込まれてる。
 えー、それで、半袖に関する物語の設定を考えようか?
 難しいな。そもそも半袖というものをテーマにしようなんて思ったことがない。これぞお題小説の醍醐味と言うべきか。
 そうだな、例えば、見た目が様々な宇宙人が共生する世界で、生まれつき白Tを着ているような毛色の個体が……。
 いや、それとも、季節外れの半袖で……。何か半袖がきっかけになって運命の出会いが……。
 ……今の私には無理だ。面白そうな設定が思いつかない。精進します。今日はこんなところで。

7/8/2025, 4:23:38 AM

願い事

 シンプルなお題だからこそ、なかなかいい案が思い浮かばない。
 ……って、毎回言ってるかな。「お題を見た瞬間に面白いアイデアが浮かんできた!」って言えるときなんて全然ない気がする。
 ならば「もっと良いアイデアが浮かぶようになりますように」とか「もっと面白いお話をたくさん書けますように」が私の願い事になるかと言われると、それも違う。そりゃ願ってはいるけれど、星に叶えてほしい願いではないのだ。
 昔はたくさん願い事があった。大抵は「〇〇になりたい」という子供らしい願いだった。いつしか、世界平和とか健康ばかり願うようになった。もはやそれらを願うことすら無駄だと思うようになった。
 自分の願いは自分で叶えたい、と言えば聞こえはいいけれど、残念ながら私にそれを実現させるほどの意欲はない。星に願ったって無駄、自分で叶えるしかないがそれも不可能、だから全て諦めよう……という、なんとも悲しい結論に落ち着きそうになっている。
 あーあ。願い事って何なんだろうな。願う先に人類は一体何を見ているのだろうか。
 子供の頃、「完全に相手任せだと向こうも願いを叶える気なくなるから、自分でも頑張りますって伝えるんだよ」って親に言われたっけ。他力本願で望みを叶えたいから人は願い事をするんじゃないのか、と子供ながらに思ったものだ。他力本願でいられないなら、願うことに意味なんかないじゃないか。
 仮に、本当に願いを受け取ってくれる上位の存在が居たとして、その人は何を思うのだろうか。私だったら人々の悩みを微笑ましいと笑いながら静観しているな。本当に頑張っていて、その上でどうしようもない状況に陥ってる人には少しくらい手を貸すかもしれないけれど。多分私のイメージする「上位の存在」から見て、私は助ける対象ではない。
 じゃあ、「上位の存在」が助けなきゃって思うほどの不幸には落ちないでいたいな、と温室育ちの平和ボケみたいな望みを片手間で願っておこう。ついでに、不幸に落ちたときは助けてくださいっていうのも願ってみよう。
 こんな罰当たりな人間もいつか救ってくれるのなら、願い事とやらの価値を私はようやく認められるでしょう。今はまだそのときじゃないや。

7/3/2025, 3:06:55 PM

遠くへ行きたい

 遠くへ行きたいと願った経験はある。でもあれは、正確に言うならば遠くに行きたかったのではなく"ここ"に居たくなかった。
 実際宛もなく電車に揺られて2つ隣の県に行ったこともある。計画を立てずに家を出てしまって、真夜中にトボトボと歩いて帰ってきたこともある。
 それらで満足したかと言えば必ずしもそうではない。時間を浪費したという自己嫌悪と、知らない土地に立つ不安と、ほんの少しの解放感で、私はうまく笑えなかった。けれども他にこの欲求を満たす方法が分からなくて、私は何度かこの無味な日帰り旅行を繰り返していた。
 思うに、この衝動を落ち着かせるのに本当に有用なのは外出そのものではなく非日常だった。私はこの結論に辿り着くまでに少し時間が掛かった。
 家で何の刺激もなく同じ日々を繰り返している、そのルーティンからほんの少しはみ出れば充分だった。家の中で足踏みをするとか、手近な店に行って買い物をするとか、多分そんなことでよかった。そんなお手軽な行動はできないくせに、無計画に遠くまで行くことはできてしまっていた。
 「遠くへ行きたい」、その欲求の裏には、自暴自棄も多かれ少なかれ混じっている。きっと私を遠くまで連れて行ったのは自分を蔑ろにするこの感情だった。
 今は当時ほど遠くへ行きたいと思わない。同時に、自暴自棄な感情も薄れている。
 それらは嬉しいことなのだけれど、たまにはまた遠くまで連れて行ってくれてもいいのにな、と少し思う。可能ならちゃんと計画を立てて、無理のない範囲の遠方へ。"ここ"での生活に満足してたって、たまには遠くに憧れる。

7/3/2025, 4:28:14 AM

クリスタル

 クリスタルってよく聞くけれど、案外その意味を説明しろと言われると難しい。そんなわけで簡単に調べてみた。
 大雑把に言えば「結晶」という意味で、語源は古代ギリシャ語の「氷」らしい。なるほどなぁ。
 じゃあ、ここから何か物語を考えるとしたらどうなるだろう。

 例えば、熱い結晶とかどうだろう。語源を考えれば真反対だけど、現在使われている意味からは然程かけ離れていない存在……みたいな。
 そうだなぁ。かつて古代ギリシャにおいて氷と呼ばれていたものは、氷の精が生み出した宝石の一部だった。どこからか湧いてきた精霊たちは氷を生み出して人間と共生していた。
 しかし、やがて人間は自身たちで氷を生み出し、それを保存するようになった。
 こうなると精霊の存在意義がなくなってしまう。困った精霊たちは、新たにクリスタル……結晶、特に水晶を生み出すことで人間に価値を提供し続けた。(ちなみに実際、水晶は別名「水精」と呼ばれるそうだ。)
 しばらくはこの関係性でお互い平和に過ごすことができた。でも、新しい共生生活も永遠には続かない。人間は妖精の持つ力を我が物とするため、妖精がどこからやって来たのか探り始めた。
 そうして辿り着いたのは地球の核近く、生身の人間なら一瞬で火が通ってしまうような灼熱の空間だった。
 人間たちは超高温に耐えうるロボットとカメラを開発し、内部の調査を開始した。重力に従って落ちていくだけの、片道切符しか持ち合わせていない不憫なロボットである。
 途方もなく深い穴に落とされ、撮影だけを課せられた彼が最期に撮ったものは、煌々と輝く地獄の中で醜いまでの光を放つ、奇麗な水晶だった。

 ……って感じ?
 こういうアイデアは割とポンポン湧いてくるんだけどなぁ。物語として起承転結の展開を考えて、そのうえでアイデアを文字に起こすっていう作業が苦手。――もしかして執筆向いてないです?
 ちょっとしばらくは、こういうアイデア出しみたいな文章を投稿しようかな。ちゃんと物語にしようとすると一気にハードルが上がるので。
 まずは執筆習慣を取り戻すぞー。あ、オチはないです。

7/2/2025, 8:32:21 AM

夏の匂い

 夏の匂いと言われても特に思い当たらないな。
 金木犀は秋だし、花の香りは春だろうし。
 冬の匂いというのもなかなか想像がつかないけれど、冬には冷たい「無」というような匂いがある気がする。生命が眠りについている、モノトーンの世界の匂い。
 じゃあ夏も似たような要領で考えられないかと思うけれども、すっと出てくるものはない。

 思えば、夏はその他の情報が多すぎる。
 五感に当てはめて考えるならば、視覚で眩さを覚え、聴覚で蝉の音を聞き、触覚で暑さを感じ、味覚は……アイスかな。
 人間に備わった機能を既に存分に使って夏を味わっている。もう匂いの入る隙はないのかもしれない。

 それでも無理矢理に夏の匂いを考えるのであれば。
 花火の火薬の匂い、アスファルトの焼ける匂い、プールの塩素の匂い、緑の匂い、服にこびりつく汗の匂い、夕立前の湿った匂い、屋台の焼きそばのソースの匂い……。
 ――あれ、意外とある?

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