砂漠の中で男が歩く。男は機械だった。
ある研究所によって開発された実験物なのだ。
これも実験の一貫である。それは心を作ること。
最初の街では男は不適合者として見られる馴染む事は出来なかった。
そして今に至る。バッテリーも切れかけている。意識がブラックアウト仕掛けている中、目の前に街を見つけた。
そのまますぐに街へ辿り着き、食べ物による充電を始め命を取り留めた。
街の人々は気さくな人だった。無感情な男を快く迎えてくれた。
すると段々と男に感情が芽生えた。
男の心は感情という虹色に染まった。
お題カラフル
この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
遅れてすみませんでした。
幾多の者を阻みその命を絶ってきた試練をたった1人で、成し遂げた者がいた。
その男は今では顔も好きなものも生まれも名前すら知られていない。
だがその男は居たという存在証明を人々は表していう。「楽園の開祖」と。
神話の時代は終わり、時は流れ楽園暦3514年。
人々は何も苦労をせず人生を謳歌していた。
この世界では、食べるものに困らない。
食べるものは念じれば出てくるからだ。
娯楽にも困らない。外へ行けば無料の無人の遊び場がありそこで何でもすることが出来る。
そして寿命にも困らない。人々は一定の年齢を超えると好きな時に死ねる。つまり死にたく無かったら無限に生きていられる。
楽園が消滅することもない。いつもアカシックレコードが造られた当初の姿をリピートしているからだ。
最初は世界中、全員が歓喜に打ち震えて楽しんでいた。だが時が経つにつれそうでない者も現れた。
どうしてかと聞くと不自由ない人生なんてすぐに精神の方に限界が来てしまうぞと口早に捲し立てる。
誰も耳を傾けないのが癇に障ったのか、やがてデモは反社会運動と変わり、果てはテロリストとなった。
望み通りの世界を創り出すアカシックレコードを破壊するために。
誰も望んでない偽善の英雄。その名は「エデン・オブ・デストロイヤー」
これはマジョリティーとサイコパスの存続をかけた一進一退の攻防である。
お題楽園
この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
なんか宣伝みたいになってすみません。
またどこかで気が向いたら書くと思いますので今後ともよろしくお願いします。
追伸更新遅れてすみませんでした。
「永遠」この力を手に入れる為、人は何でもするだろう。実際、そんな人の末路を幾度も見てきた。
大抵は身を滅ぼしたり精神が狂ってしまったりしてしまったのが大半だった。
ただ1人、俺だけを除いて。
かつて俺はある施設のモルモットだった。
何人もの仲間達が得体の知れない薬を投与されて死んでいった。30人ぐらいの仲間達が死んだだろうか。
とうとう私の番になってしまった。生まれた頃から抵抗する事を知らなかったのでさして抵抗せず薬を投与された。結果から言うと実験は成功した。
俺は何が何だか分からなかったが、施設の人達は踊らんばかりに喜び、幾度なく俺を心のこもってない上っ面の言葉だけで褒め称えた。
しかし当時の俺は他の反応なんか知らなかったので純粋に喜んだ。こうして夜は更けた。
次の日、俺が目を覚ますと施設は燃えていた。辺りを見渡すとベットも布団も服さえ無くなっていた。
施設の人たちも例外なく燃えていたが何も感じなかった。結局は自分をモルモットとしか見ていないクズには感情は抱かなかっのだろう。
そして燃える中で俺は気づいた。熱くない。痛くない。まだ残っていた食糧庫に走って肉を食べる。
味も感じない。
原因はすぐに分かった。俺が不死身になったからだ。
生命の危機を感じる必要が無くなったから痛覚などが無くなってしまったのだ。こうして俺の生きると言う労役が始まった。
最初の50年間ぐらいは楽しかった。
施設の跡地を出て最寄りの街へ行くと親切な人が俺と友達になってくれた。毎日、馬鹿騒ぎして無くしたもののことなど忘れてしまった。
でもすぐに終わりは訪れた。
最初の50年から30年ほど経つと俺の知り合いは全員死んでしまった。
それを何千回と繰り返すと永遠とは一種の罰なのではと考えるようになった。でも俺はこれ以上苦しまないために人と関わる事を辞めた。山で1000年程暮らしていた。のんびりとした生活で永遠もいいかも知れないと思うようになった。けれどこの生活も終わってしまった。山に来訪者が現れた。その来訪者の男は勇者と名乗った。そして俺に一緒に魔王を倒さないかと聞いてきた。俺は初めは断っていたが、勇者が幾度となく誘ってきて結局は折れて勇者と共に山を出た。
彼らとの旅は短かったが俺の記憶データを最も占めているのがこの旅の記憶だ。
そして勇者に自分は不死身でそれ故に悩んでいると言った。すると勇者は答えた。
「別にいいんじゃないんですか。人と関わっても。死んでもその人の記憶が消えるわけでもないしその楽しかったものが変わる訳でもない。だから気楽にいきましょうよ。因みにこういう考え方を持つ人を刹那主義者って呼ぶんです。」
刹那主義者。その言葉は俺の中で響き続けている。そして現在俺は世界一長い刹那主義者である。
お題刹那
この物語はフィクションです。
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友に聞かれたことがある。
「お前は何の為に生きているんだと」
私は答えた。「私は矛盾に生きているのだ。」
友は感嘆した様子で「もう良い」と部屋を出て行った。
その時から私は世捨て人となった。もう良い。俗世など行く必要はないのだ。私はここで生きここで死ぬ!と誓った。
だが現実は違う。誓いは破られた。何故なら私は今、人が溢れる雑踏に立っているのだから。
こんなこと、一体、誰が想像できただろう。私も思いもしなかった。
私はただ自宅の一部屋しかない汚部屋で一生を過ごすと見目麗しい月に誓ったはずだ。そんな籠城の意を決した世捨て人の私が何故、外を練り歩いて居るのか。それは私の居城に届いたあるバカップルの一言であった。
「こんな楽しいお祭りに参加しない人なんているわけないよね。仮にいるとするなら絶対ヒキニートだろw」といった内容であった。この一言だけなら大した意味はない。しかし「奇人、変人、道化、愚者、馬鹿、阿保、間抜け」、この世に存在する侮蔑の言葉を欲しいままにした過去を思い出して決心したのだ。
こんな言い掛かりに屈して良いのか。私に対する疑念を払拭せずそれでもお前は世捨て人なのか。そう私は奮い立ち雄々しく外へと踏み出し今に至る。
大事なことなのでもう一度言いたい事は私が有象無象のヒキニートでバカップルの一言で深くその脆いガラスの心を砕け散らし友に散々に馬鹿にされてきた過去を思い出し僅かな己の虚栄心を震わせたからでは無いのだ。
確かに私は親から金をもらっているがそれは仕送りではなく私の人徳に深く心を打たれて是非とも私を支援したいが故の金を私がその心中を察して何も言わずに受け取っているに過ぎない。
親からの嫌悪を宿した顔も「さっさと就職しろ!このバカ息子」という言葉も全て私の心理的リアスタンシスを活性化させ、働かせまいとしているからこそくるものなのである。
そして我が居城に籠城しているのも私が世捨て人だからであり、世俗に塗れた人間たちを儚んで物忌しているだけである。
つまりこの二つの理由から私はヒキニートではなぁい!という主張を更に確固たるものとする為こうして歩いているのだ。
手始めに肩慣らしといこうか。
私は金魚すくいとデカデカと書いてある店に意気揚々と入っていった。だが金魚が掬えぬ。何だ、この薄っぺらい紙はこれでは金魚が取れんではないか!
どうすればもっと多く金魚たちをすくえるのだろうか。私は悩みそして気づいた。
わざわざこんなチンケなものを使って取る必要はないじゃないか!早速、案を実行した。それは容器でそのままダイレクトに金魚を掬うことである。思惑通りサクサクととって気分が上がっていると店の主人が何やら怒った様子で私をつまみ出してしまった。全く持って無礼千万な店である。客人をつまみ出すとは!
だが私は復讐することを諦め別の場所へと赴いた。
少し歩くとたこ焼き店があった。
するとその瞬間、私は下界の者どもに優雅に買い物を見せてヤロウという気持ちになり私はたこ焼き店へと訪れた。
しかしその全てが私を陥れるための緻密な計算に基づく罠だったことに当時の私は気づかなかった。
屋台に入り店主の顔を見るとそのオーラに私は圧倒されてしまった。なんという迫力!まさしく彼こそが人の獅子である。そんな彼に敬意を示して私はわざとビビったふうに「た、たこ焼きヲおひとつ…。」と言った。
そうして私はたこ焼き店の獅子に打ち勝ち無事にたこ焼きを手に入れたのだ。
その後、私は柄でもなく遊び幾つもの屋台から出禁と言い渡された。全く無礼な奴らである。だがまあ良い。何故なら私にはこのたこ焼きという素晴らしい戦利品があるのだから。
そして戦利品を高々掲げて笑い食べた。
その生地はサクサク香ばしく中はクリーミーでマイルドな味わいとタコの気味が良い歯応えが。
なるほどたまには世俗に浸かるのも良いかもしれん。
そう私が思っていると周りの人達がジロジロと私を冷たい目で見てくる。
私はすぐにその場を無表情で離れ目から汗を流した。
…もう一生外へは出ない。そうまた誓って。
この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
この世は一欠片の幸福の為に数万の命が犠牲になる。
灰を被った様な淀んだ雲を睨みつけて今日も男は街を歩く。その一歩一歩が男を死へと近づける。
誰かの為でも己のためでもない。ただそうするのが当然の帰結だと思って行動する。
男が住む世界は血の大地だった。幾多の者が犠牲になり各々正義の為だとか、お前らが悪なんだとかを口々に言いながら、法が通じぬ街を歩き残虐としか言いようのない様な惨たらしい死を与える。
近所の人のいい叔母さんが、学校の煩いけど誰よりも生徒のことを考えてくれている先生が、果ては昨日まで一緒にいた友達が全て余すことなく死を与えられていた。それは男の両親も例外ではなかった。
当時少年と呼べる男を両親は隠して相手に悟らせまいと、己の骨肉と命を捧げて相手を引きつけ男の命を救った。
だが心は救えなかった。男の心は深い奈落に沈んで二度と前を向くことが出来なくなってしまった…。
死の行進から10年程経って男の心は鋭い刃の様になって他人も自分も傷つける様になった。
やがてその暗い感情は死の行進を行なった敵国に向かった。街を毎日歩いたのも同じ同志を招き入れるための策。男は辿り着いた。数年かけてやっと辿り着くことが出来るようになった。国の王子がいるダンスパーティーの会場に。男は仮面を被り、王子が演説しているときに密かに登り間合いをつめると高らかに己の国の名をいい、王子に死を宣告した。
王子のそばに居る兵士たちが男の脳天に躊躇いもなく銃を向けた。けれども男は怯まず王子に向けて引き金を引いた。この世に置いていくものはもう全て無くなった。
王子の脳天に血の華が咲くとともに兵士たちの銃が高らかに音を上げた。途端に男の体は大量に血を吹き出し地にふした。霞む意識の中で男は複数の景色を見た。一つは両親があの時、一緒に死ねばよかったと己を苛んで暴れている景色、二つ目は笑顔でこちらにおいでと言わんばかりに手をこまねいて居る両親、最後は何も無いただの暗い空間。
それは男の死の末路の終着点の可能性であり、男が作り出した他愛なき空虚な妄想である。
男は嗤った。死してなおその姿は深い闇を暗示していた。
この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。