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4/1/2024, 4:03:14 AM

私は人間ではない。私は天使や死神の様な存在だ。
かと言って何か崇高な使命があったりとんでもなく邪悪な計画を練っていたりしているわけではない。
私は人の幸福を管理する役目を持っている。下界の人間の生活を見て、幸せのバランスを取っている。私は自然には干渉出来ないから人や経済を操ってバランスを変える。とはいえ私が見ているのは世界のバランスだから一部幸せに満ちている人間もいれば不幸ばかりが続く者もいる。だから神がいれば人生は幸福という風に下界の人間は思っているが、人間は他の動物たちよりも知能が発達しているから特別管理しているが、実際のプライオリティは地球を始めとする天体の方が圧倒的に上だ。だから人間だけをみればアンバランスかもしれない。だが世界を見ればバランスが取れているのだ。けれど私は人間が好きになった。ずっと見ていると退屈しない。今日も1人の人間を観測していた。その人間は前からずっと不幸で先月やっと結婚した。
ずっと不幸続きな男だったからやっとの幸運を掴めたのだと感慨深く思った。私は1人の人間だけに肩入れをすることは出来ない。だから居もしない神にこう願った。「不幸続きだった彼に幸在らん事を」
お題幸せに
ここまで読んでくださってありがとうございました。

3/31/2024, 12:03:32 PM

当たり前が瓦解する時とはどのような時だろう。
受験で失敗する時?就活で失敗する時?
会社が倒産した時?自己破産した時?
どれもこれも違う。
確かに大変だけれど生きているという当たり前がある。死という不幸の上限がある。どれだけ苦しくとも死ねば楽になれる。俺も数秒まではそう思っていた。
俺は生きるのが苦しかった。前で挙げた例全てが俺だ。だから生きるのを諦めて死んだというわけだ。
だがこんな展開、俺の人生の設計図に載っていなかった。死んだ瞬間景色が暗転して気づいたら牢獄の中にガリヒョロの爺と「2人ぼっち」という何とも稀有な状況に陥っている。そのガリヒョロの爺は餓鬼と言って昔からここ「地獄」で囚人をやっているらしい。
対して悪いことをしていなかった俺は疑問に思って餓鬼に聞いたら「まあ明日、閻魔裁判があるから。」と相手にされなかった。その後、餓鬼と生前の話をしていたらすっかり日が暮れてしまって俺の地獄一日目が終了した。
翌日、目を覚ますと看守が檻の前にいて、俺は裁判所みたいなところに連れて行かれた。どうやら昨日の餓鬼の言っていたことは本当らしい。想像通りの閻魔大王が出てきて閻魔裁判が始まった。裁判と言ってもただの罪人の罪状を無機質に言い渡すだけの報告会みたいなものだけれど。 俺の場合は日頃の行いは違反しなかったが、最後の自殺がよろしくなかったらしい。人とは地獄や天国が管理しているものであってそれを勝手に壊した損害として懲役50000年らしい。全く「バカみたい」だよな。牢屋に戻ると餓鬼が、出迎えてくれた。餓鬼は俺の懲役年数を聞くとガハハと笑いまあそんなもんだよ。と励ましてくれた。こうして2日目が終わった。
朝になると自然に起きる癖は変わらない。餓鬼はまだ寝ているから起こさないように簡単なストレッチをする。けれど餓鬼はその脅威的な感覚で、俺が起きていると起きてしまうのだ。餓鬼は自分の事をあまり語ろうとしない。看守に聞いてもさあ?とすっとぼけられる。一つわかることは、遥か昔からここにいたということ。それ以外はてんで分からなかった。でも今日、俺は核心に触れるものを見つけた。餓鬼はいつも襤褸を被っているせいで額など見えないのだが今日はたまたま見ることができた。そこには角が生えていた。
つまり餓鬼は人間ではなく鬼とかそっち方面の存在などでは無いかと結論付けられた。そう思い餓鬼を問い詰めると少し間を置いて餓鬼は「分かった。話そう。」と言った。聞いた話を簡潔にまとめると昔餓鬼は地獄の警ら隊に属していたそうだ。でもある日空腹を感じて大事に置いてある珠みたいなものを食べてしまって今に至ると語った。この角もその時に生えたものだそう。その後、自分も全てを曝け出して俺たちは親友になった。死が平穏だと思っていたけど地獄でも何気ない平穏を手に入れられる。

3/30/2024, 2:57:46 AM

私には少し変わった知り合いがいる。
何処が変わっているかというと見たこと全てを和菓子に例えようとする。例えば森林を見たとしてその色を若みどりみたいだね!とか葉の形をもみじ饅頭みたいだねーとか言っていつも私が「そりゃもみじ饅頭が真似て作った物だからね」と突っ込んでいる。
良くも悪くも退屈しない日々だった。
彼女は将来、和菓子職人になりたいと言った。その時はまだ小学生だったから皆んなが変わっているね。とか渋いね。とか散々言っていた。
パティシエとかケーキ屋さんならともかく和菓子職人を選ぶのか。変わっていると思った。
でもそれよりも面白そうだから仲良くなりたいという好奇心の方が勝っていた。こうして私は彼女と知り合いになった。友人と言ってもいいかもしれない。
そして彼女は私とは別の専門学校で料理を学んでくると言った。なぜ料理かというと和菓子職人とは昔は店などに弟子入りして技術を磨いていくらしい。だからまず基礎知識をと思ったらしい。
その後、私は極々普通の高校を卒業して一応大学も卒業できた。彼女とはここ数年間会っていない。家を訪ねてもいないし電話をかけても音信不通になるだけだった。昔から変わった奴だったしもう会えないのかと思ってベランダから下を見下ろしてビールを飲んでいると彼女が下で大声で手を振っている姿を見つけてビールを吹き出してしまった。すぐに下に降りて首根っこ掴んで家に上げると事のあらましを語り始めた。専門学校を卒業した彼女は菓子屋に弟子入りしたのだけれどそこがここから遠く離れた所だったので住み込みで修行していたらしい。普通は10年かかる道を彼女は、一日中努力していたので7年ぐらいで終えて今に至ると彼女は語った。私は少し呆れた。変わっていると思っていたがここまで変わっているとは思いもしなかった。更に彼女は私を停止させる発言をした。「私、海外に渡ります!」冗談だろと思ったがその一週間後、身支度して本当に行ってしまった。どうやら海外の技術を取り入れた新しい和菓子を作りたいらしい。…それは本当に和菓子なのかはなただ疑問だが。こうして時は流れて5年後、今や会社で新人だった私は中堅くらいの人間になりあの時と全く変わらぬ家であの時のようにベランダでビールを飲んでいた。一つ違うとするならば彼女がいないことだけ。部屋に戻って送られてきた和菓子を食べてみた。その味はもちもちと柔らかくともしっかりとした歯応えを感じられた。
この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださってありがとうございます。

3/28/2024, 2:10:04 PM

昔から不幸な人間だと自覚していた。
両親は「俺」が3歳の時交通事故で死んだ。その人は近所の配達業者さんで謝罪もされたし賠償金も貰ったしその人も牢獄で罪を償っている。
事故当初その人が交差点の両親を見つけたので止まろうと思ったらブレーキとアクセルが逆になっていたらしい。そしてそのまま加速して両親と衝突したと話している。もちろん警察は気にも留めなかったが一応の確認としてその車に乗ってみた。すると何ということだろう。本当に逆になっていたらしい。つまり配達の車を特定して配達業者の所まで忍び込みアクセルとブレーキを逆にするという酷く複雑な工程を一夜にしてやってのけた第三者がいるということだった。この事件はただの事故でなく第三者による無差別殺人事件と早変わりした。
しかし全く足取りが辿れず結局迷宮入りとなった。その後も「俺」の周りでは死が撒き散らされた。両親の次の被害者は「俺」の祖父母だった。「俺」を引き取ってくれた恩人だった。
でも両親が死んで1年後に同じ日に亡くなった。しかもまた第三者による被害だった。死因は薬物の大量摂取だった。普通なら食後の薬をボケて飲み過ぎてしまったのかもしれない。でも違った。祖父母はちょうど薬を切らしていて飲めなかった。そのことを話したら警察は神妙に頷いて色々調べた。すると祖父母しか飲まなかった当時の俺には苦かったお茶のペットボトルに大量に細かく砕かれて入れていた。ゾッとした。最初の事件といい今回の事件といい全て「俺」たちを家庭レベルまで詳しくチェックしてないと分からないことだ。「俺」の家の中で誰かが誰にも気づかれず侵入して薬を砕いて入れたということだ。今回の事件で断定できた。これは「俺」の周りを狙って殺している犯人がいる。しかも「俺」をよく知っていてその日に特別な思い入れがある。
そんなのは「俺」しかいない。その事件の日は「俺」の誕生日で「俺」は幼いから友達なども考えられないし親戚付き合いだって一切行っていない。それから何年経っただろう。俺の誕生日にその事件は起こり続けた。学校での親友、親しかった教師、初恋の人、そして恋人、果てはバイト先の保育園の子供にまで何人殺された?もう覚えていない。ただ一つ分かったことはこの「死神」は「俺」じゃ無いということ。だって「俺」自身をその日警察に囲まれて厳重な拘束をしていても事件は起こっていたから。警察には言っていないが俺は一度「死神」を見た。暗がりだったから顔は分からなかったがその口元は笑っていた。
それが「最期」だな。ああ付け足しておくがもう一つ。その死神は「俺」の三つ上の兄だ。三つ上って言っても顔は似ているし背丈も同じくらいだ。両親が貧しくて捨てた「俺」の兄弟だった。何で俺が知っているかって?さあ自分で考えな。
お題見つめられると
この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださってありがとうございました!
少しミステリー?に挑戦してみました。でも私には少し早かったようです。

3/27/2024, 1:37:50 PM

昔から続く伝統的なお家柄だった。だからなのか日本の行事の時はいつも着物だったしハイカラな物なんて一切触れさせてもらえなかった。ギターやピアノを弾きたいといったら三味線やお琴の講師がやってくる。テレビを見たいと言ったら歌舞伎や能を見に行く。そんな家庭だった。小学校から中学校にかけては反抗期も相まって親にかなり反発したが、高校に入ると反発することは殆ど無くなった。まるで親の操り人形の様に生きていたある日突然好きな人ができた。初恋だった。今までは異性のことなど気にしたことなどなかったのに。次第に親に内緒でアプローチをかけていくうちに両想いになった。親にも報告した。祝福されると思っていた。流石に伴侶までも口を出してこないだろう。そう親のことを誤解していた。元々彼らにとって僕の存在など歯牙にもかけていなかった。ただ機械的に次期当主として僕を育ててだけなのだ。結果から言うと僕の望みは却下された。それでも足掻いた。反発した。けど無意味だった。結局のところ実の親に勝てるわけがないのだ。その恋人は自殺した。自分も自殺しようと思った。でもできなかった。僕には彼女と自殺する権利は無い。彼女を僕は幸せにするどころか地獄に落としてしまった。親はそのことを軽く受け止めただただ僕が伴侶が欲しいと勘違いして見合いの相談をしきりに話す様になった。それを僕は拒否し続けてある冬の雪が降る頃両親ともども死んだ。どんな確率か同じ日に老衰で死んだ。親が死んで当主となった僕は近くの湖を眺めながら自らの半生を振り返っていた。今思えば虚無だった。好きな物も特技も何もかも無かった。ただの出来の悪い機械の様だった。誰か教えて欲しい。僕という我は何処なんだ?
この物語はフィクションです。
お題My Heart
ここまで読んでくださってありがとうございました!
ハート数50を超えました。本当に読んでくださる方々に感謝いたします!

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