昔から不幸な人間だと自覚していた。
両親は「俺」が3歳の時交通事故で死んだ。その人は近所の配達業者さんで謝罪もされたし賠償金も貰ったしその人も牢獄で罪を償っている。
事故当初その人が交差点の両親を見つけたので止まろうと思ったらブレーキとアクセルが逆になっていたらしい。そしてそのまま加速して両親と衝突したと話している。もちろん警察は気にも留めなかったが一応の確認としてその車に乗ってみた。すると何ということだろう。本当に逆になっていたらしい。つまり配達の車を特定して配達業者の所まで忍び込みアクセルとブレーキを逆にするという酷く複雑な工程を一夜にしてやってのけた第三者がいるということだった。この事件はただの事故でなく第三者による無差別殺人事件と早変わりした。
しかし全く足取りが辿れず結局迷宮入りとなった。その後も「俺」の周りでは死が撒き散らされた。両親の次の被害者は「俺」の祖父母だった。「俺」を引き取ってくれた恩人だった。
でも両親が死んで1年後に同じ日に亡くなった。しかもまた第三者による被害だった。死因は薬物の大量摂取だった。普通なら食後の薬をボケて飲み過ぎてしまったのかもしれない。でも違った。祖父母はちょうど薬を切らしていて飲めなかった。そのことを話したら警察は神妙に頷いて色々調べた。すると祖父母しか飲まなかった当時の俺には苦かったお茶のペットボトルに大量に細かく砕かれて入れていた。ゾッとした。最初の事件といい今回の事件といい全て「俺」たちを家庭レベルまで詳しくチェックしてないと分からないことだ。「俺」の家の中で誰かが誰にも気づかれず侵入して薬を砕いて入れたということだ。今回の事件で断定できた。これは「俺」の周りを狙って殺している犯人がいる。しかも「俺」をよく知っていてその日に特別な思い入れがある。
そんなのは「俺」しかいない。その事件の日は「俺」の誕生日で「俺」は幼いから友達なども考えられないし親戚付き合いだって一切行っていない。それから何年経っただろう。俺の誕生日にその事件は起こり続けた。学校での親友、親しかった教師、初恋の人、そして恋人、果てはバイト先の保育園の子供にまで何人殺された?もう覚えていない。ただ一つ分かったことはこの「死神」は「俺」じゃ無いということ。だって「俺」自身をその日警察に囲まれて厳重な拘束をしていても事件は起こっていたから。警察には言っていないが俺は一度「死神」を見た。暗がりだったから顔は分からなかったがその口元は笑っていた。
それが「最期」だな。ああ付け足しておくがもう一つ。その死神は「俺」の三つ上の兄だ。三つ上って言っても顔は似ているし背丈も同じくらいだ。両親が貧しくて捨てた「俺」の兄弟だった。何で俺が知っているかって?さあ自分で考えな。
お題見つめられると
この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださってありがとうございました!
少しミステリー?に挑戦してみました。でも私には少し早かったようです。
3/28/2024, 2:10:04 PM