「私とあなたじゃ住む世界が違う 第六十話」
「うーん、女傑島のライブチケットか…要らないっちゃあ、要らないんだよね…」
「女性アイドルなんて、興味無いしー」
「こう言うのは、男性にあげたらどうです?私達は要りませんし、男性だったら喜ぶんじゃないでしょうか?」
志那達三人は、シリウスから貰ったライブチケットをどうするか考えていました。
「じゃあ、男性陣誘ってみようか!」
「私も由里に賛成!」
「男性の皆さん、喧嘩にならなきゃ良いですけど…」
「ええっ?!女傑島のライブチケット!?」
「スカーレット、凄い喜び様やなー」
「スノーだって嬉しそうじゃん!」
「子供組は元気やな!」
「何せ、あの女傑島のライブチケットやからな。プラチナの中のプラチナチケットっちゅー有名な話や」
「大人組も嬉しそうやな」
「マゼンタもニヤついてー」
「ノアール…調子良すぎやろ」
パズルのメンバーは大喜びでした。
「でも、どないするん?ライブチケットは三枚だけやろ?」
「そんな時は…アミダくじ〜」
スノーは、紙とペンを出しました。
「おおっ、成る程な!コレで行く三人を決めるって奴やな」
「そんじゃ、書くで…」
スノーがアミダを書こうとすると、タイミング良くフロンティアウォーカー達が来ました。
「みんなで何やってるの?」
「何か、面白い事でもあるん?」
「ちょうど、女傑島のライブチケットが三枚あるから、誰が行くか決めてた所なんだ!」
「ライブチケット?!俺も行きてー!」
「ロード、ズルイぞ。俺も」
「えーと、ロードもカインドも行く気満々だね…」
「スモーク、私と一緒に行きましょう!」
「何か、悪い予感がするな…」
パズルとフロンティアウォーカー達は、嬉しそうにはしゃいでいました。
「皆さん、賑やかそうですね。何かありましたか?」
アメジストとアンバーも来ました。
「女傑島のライブチケットが手に入ってな。どないするか考えてた所や」
マゼンタは、アメジストとアンバーにアミダ表を見せました。
「ライブチケットか…女傑島に行って大丈夫か?」
「アンバーも思いますか…」
アメジストとアンバーは、不審がっていました。
「大丈夫や!女傑島は男客大歓迎やから安心し!」
「女傑島は、教養の良い佳人ばっかやから変なファンみたいなのは居らんやろ」
「女の子が滅茶苦茶強い敵って訳でも無いし、大丈夫だって!」
「アミダの本数増やすか、早よ決めやー」
「女傑島に行って損は無いと思うで?」
パズル達は、アメジストとアンバーにとにかく勧めました。
「…行って見るか?」
「一般人に戻った身だから、ファンの心配をしなくても大丈夫ですしね」
アメジストとアンバーは、パズル達に押されてしまいました。
「私とあなたじゃ住む世界が違う 第五十九話」
「よりによって、一般人に負けるなんてな」
空を箒で飛んでいるスレートウィッチは、薄ら笑いをして落ち込みました。
「ナイトメア様に何て言えば良いんだよ…一般人に負けたなんて言ったら、どうなるんだろ?」
スレートウィッチは、行方不明になっているドリームレースの事を思い出しました。
「ドリームレース、きっと任務に失敗したから帰れないんだろ?今はアンタの気持ちが分かるよ」
スレートウィッチは、ドリームレースに会いたいと思いました。
「ドリームレース、何処に居るんだ…?今はアンタに会いたい」
スレートウィッチは、ドリームレースを探し始めました。
「マジカルコンパス」
スレートウィッチの前に、ホログラムの様な羅針盤が現れました。地図にドリームレースの居場所の座標が光で指し示しました。
「ココに居るんだな」
スレートウィッチは、光で指し示す所に向かって飛んで行きました。
スレートウィッチは、座標の地点まで飛んで行くと、占いで商売しているドリームレースを発見しました。
「ドリームレース、見つけたぞ」
「お客さん、ちょっと待ってて下さい。スレートウィッチ、私、帰れない…」
ドリームレースは、占いの手を止めてスレートウィッチの所まで行きました。
「分かってるよ。うちは一般人に負けたんだ。帰れないのは同じだから」
「私、二度も任務に失敗したから、ナイトメア様の元に帰れない…」
ドリームレースは、涙目になっていました。
「帰れないけど、帰らないとマズイんじゃないか?」
「帰れないよ…」
「家とか寝泊まりとかどうすんだよ…」
「それでも、帰れない…」
ドリームレースのボロボロになった服を見て、スレートウィッチは全てを悟りました。
「ナイトメア様の玩具にされたんだな…」
「痛いのか、気持ち良いのかよく分かんなかったけど、あんな気持ち悪いの耐えられない…」
「男は良くても、女は大ダメージを被る奴…だよな、ソレ」
「お仕置きって、服を破かれるの?体中舐められて、舐めさせられるの?まるで服を着てないお人形みたい…」
「サンフラワーは行為のシーンをネットに流されたからな…」
スレートウィッチは、顔を青ざめました。
「…ドリームレース、現実世界に逃げようぜ」
「現実世界?」
ドリームレースは、スレートウィッチの方を見ました。
「ナイトメアに見つかって、また嫌な思いするくらいなら逃げた方がマシだろ?」
「逃げたい。けど、私達配信者だから、誰かが必ず追って来るよ?」
スレートウィッチは、少し考えました。
「一般人に戻ろう。二人で」
「うん、戻ろう」
スレートウィッチは回帰光玉を出して、ドリームレースと二人抱き合うようにして回帰光玉を抱きしめました。
「コレ…ナイトメアの一味になる前の姿だよね?」
ドリームレースは、笑顔になっていました。
「コレで、晴れて自由の身だな」
私服に戻った二人は、現実世界に帰って行きました。
「私とあなたじゃ住む世界が違う 第五十八話」
「えーと、コレで全部かな?」
志那は、エコバッグの中身を確認していました。
「全部そろってますわ」
「早く、シリウスさんに届けないとね。さー、帰るぞー!」
志那達は、スーパーを後にしました。
「何よー!?アンタの方が実力が上だって言うの?」
「貴方なんか、弱小グループの一員じゃない。無名と同等な」
「何だろう?あの人だかり」
帰り道を歩いている志那達は、人だかりを発見しました。
「何かあったんですか?」
由里は、野次馬の何人かに聞きました。
「何か、配信者同士のケンカらしいぞ」
「ついに、女同士でもケンカするご時世になったか…」
「戦争は嫌ーねぇ…」
志那達は、ケンカしている二人を見ると、一人はリボンで、もう一人は薄いベージュの肌、黒い隻眼、紫がかった黒いストレートロングヘアー、グラマーで中肉中背、黒いゴシックドレスを着た小悪魔で神秘的な女性でした。
「うちの方が女度高いんだから!」
「私の方は正真正銘の女。貴方はオカマじゃない」
「シャドウとか言ったわね?うちと勝負よ!」
「ケンカっ早い所は男だわ」
「コレ、止めないと危ないんじゃない?」
「周りの人に迷惑が掛かりますものね」
「え?!でも、私達で止めれる…?相手、あのメッチャ強い人だよ?」
三人は止まってしまいました。
「言っとくけどね、女は乳の大きさだけじゃ無いんだからね!」
「胸の大きさも女のステータスよ。男性が求める『当たり前』が出来ないと女とは言わないんじゃない?」
「体型がセラフィみたいだからって、自慢するんじゃ無いよ!」
「貴方男性なんだから、セラフィになろうとしても限界があるんじゃない?」
「あの幼稚な女なんか、目指す訳無いでしょー!?」
「私だって、男に意地汚い女なんか尊敬してる訳、無いわよ」
「何であの女があんだけ男に人気があんの?意味分かんないわよー!」
「アレ、絶対性的な色仕掛け使ってるわよ。2.5次元国では禁じ手よ」
「何で、権力者はセラフィには甘いのかなー?バッカじゃないの!?」
「女も社会的権力が上げれる世の中になって欲しいわね。日頃から努力している女性達の思いを権力者は踏みにじってるわ」
「何で権力者の好みと言えば、セラフィみたいな巨乳とか女傑島のアイドルの様な未成年ばっかなのよー!?」
「それは、男の本能上、姿形で判断する脳の構造だからじゃないのかしら?」
「この二人の口喧嘩、長すぎー」
「野次馬が邪魔で通れませんわね…」
志那達は、シャドウとリボンの口喧嘩を呆れながら見ていました。
「ところでさ、女傑島って何処?」
「私も思った。女傑島って何?」
「私に聞かれても分かりませんわ」
志那達は、女傑島について知ってる人を探し出しました。
「あの、女傑島って何ですか?」
「女傑島は、可愛い女の子や美人な女性が住んでいる島の事だよ」
「女傑島は、別名、女アイドル島とも呼ばれてるな」
「女傑島に住むには、芸能人である事が条件だよ。客の大半は男」
野次馬の男性達は、嬉しそうに女傑島について話しました。
「女傑島…行ってみる?」
「暇だし、行ってみようよ!」
「男性は喜びそうですわね。男性の方々を誘ってみるのはどうです?」
「由里、梨々華。人少なくなって来たし、通れるんじゃない?」
志那達は、人だかりを後にして帰って行きました。
「女傑島の女、クッソ邪魔なんだけど!」
「ミソジニーは消えなさい。世の中の害悪よ」
「言ったな、万年独身の牛乳が!」
「牛乳は褒め言葉?」
「形が悪いだけの巨乳の事なんだけど?」
「巨乳は板よりかはマシよ」
「シリウスさん、買って来たよ」
志那達は、シリウスに買って来た物を渡しました。
「ありがとー!ホンマ感謝してるよー!」
シリウスは、買い物袋を見て大喜びでした。
「コレで全部だと思うんだけど…どう?」
「ちゃんと全部入ってるって!あ、そうそう。お礼渡さんとな」
シリウスは、お礼として女傑島のライブチケットをプレゼントしました。
「ちょうど、3枚あるから行ってき。今日は、ありがとな!」
シリウスは、そのまま帰って行きました。
「この世界って、色々タイミング良すぎですわね…」
「私とあなたじゃ住む世界が違う 第五十七話」
志那と梨々華は、由里の描いた地図を頼りにスーパーまで辿り着きました。
「えーと、ココで良いのかな?」
「ちょうど、タイムセールをやっていますわね」
志那と梨々華は、スーパーの中に入ろうとしました。
「悪りィな!アジ30匹はワイのモンや!」
薄いベージュの肌、茶色いツリ目、ストレートロングの金髪、小柄寄りの中肉中背、黒と白のメイド服を着たやんちゃなイタズラっ子の女性が割り込んで来ました。
「ちょっと!割り込んで来ないでよ!」
「ナイトメア様の依頼、何としてでもアジ30匹ゲットしなければ!」
「ナイトメアの依頼?!」
「アジくらい、海で釣りなさいよ!」
「志那、そう言う問題じゃありませんわよ」
梨々華は、志那を静止しました。
「それなら、勝負!」
スレートウィッチは、志那達に勝負を仕掛けて来ました。
「望む所!」
「いざ、マジカルホログラム!」
スレートウィッチは輝かしい光を放ちました。
「うわっ、眩しい!メタルショット!」
志那とスレートウィッチは、互角に戦っていました。
「このままでは、他のお客さんに迷惑が掛かりますから、私も戦いますわ。フリージングアロー!」
梨々華も、二人の戦いに応戦しました。
「2対1なんて、卑怯だぞ!」
「トドメ!鋼吹雪!」
スレートウィッチは、志那達との戦いに敗れました。
「クソッ、マジカルホロスコープ出しとくべきだったかな…?」
スレートウィッチは、何処かへと行ってしまいました。
「ナイトメアの手下にも勝ったし、目的の物も買えたし、順調、順調!」
志那は、ご機嫌でした。
「ナイトメアの手下が、フリー程強くなくて良かったですわね」
「強い敵は、カインド達任せになっちゃってるからね」
「志那ー!」
由里が、志那達の所へ走って来ました。
「由里!」
「アレからシリウスさんがまた来てね、追加の買い物があるから買って来てって」
由里は、息を切らしていました。
「えーと、何と何?」
「卵と牛乳と小麦粉とパン粉と…」
「いっぱいありますわね…」
「あと、二人共ゴメンね。私、ずっと何かに操られていたみたいで、みんなをこんな危ない国に連れて来ちゃって…」
「由里の本心じゃ無いから良いけど…」
「本当はね、アレ、章司と一緒に2.5次元国に逃げるつもりだったのね。だけど、途中から意識を失って…」
「由里は悪くないから良いよ。許してるって」
「本当に…ゴメンね…!」
由里は、涙を流していました。
「私とあなたじゃ住む世界が違う 第五十六話」
「ただいまー…あれ?由里?」
マンションに帰って来た志那達は、庭で落ち込んでいる由里を発見しました。
「志那ー、聞いてよー!マンションはランクが下がるし、管理人さんは新しい人に変わったみたいで、その人、スゴく厳しいのよー!」
マンションは、豪華な装飾から一般的な外装に変わっていました。
「確かに…マンションの外観、変わってるね」
「コレ、パズルの拠点のマンションとあまり変わりませんわ」
「あ、言い忘れとったけど、三次元国に居る間はこのマンションがオレ達の住処や。ちょーど、新しい管理人探しとったみたいでな」
スノーが、ひょっこりとマンションから出て来ました。
「…って事は、新しい管理人って…」
「スモーク、言わなくても分かる」
「……」
カインド達は、冷や汗をかいていました。
「久しぶりやな。置き手紙だけ置いてって、消えてしまうなんて水臭いやろ」
管理人室からマゼンタが出て来ました。
「マゼンタさん!」
「事情はスノーから聞いた。ケブバガミに騙されてココに連れて来られたんやな」
「やっぱり、呪いってケブバガミが仕掛けた物でしたのね!」
「全員、騙されたって事やな…」
オーシャンも、マンションから出て来ました。
「元からの住民にも言うが、このマンションは好き放題やったみたいなのか、荒れ放題の上、メンテナンスが行き届いていない。俺が管理人になった以上、ココのルールには従ってもらう。寄って、当番制を設ける事とする」
「じ…地獄じゃん…」
由里は、更に落胆しました。
マゼンタが新しい管理人になってから、数日が経過しました。
「志那~、庭掃除スッゴく大変なんだけど!」
「2.5次元国の時は、大浴場、トイレ、食堂の掃除もしてたからね。庭掃除だけなんだから楽な方だよ」
「志那、今まで辛い思いをして来たんだね…」
由里は、涙目になっていました。
「唯一、前と一緒なのはセキュリティシステムだけなんて…」
「君達、久しぶりやな!元気にしとった?」
シリウスがやって来て、志那達に声を掛けました。
「シリウスさん!」
「実は…ちょっと、頼み事があるんや」
「頼み事?」
由里は、キョトンとなっていました。
「スーパーのタイムセールで、アジが安いから買いに行って欲しいねん!その時間、勤務中で行けへんから、お願い!」
シリウスは、志那達に頭を下げて手を合わせました。
「良いですよ。私はちょうど暇なんで」
「お礼、ちゃんとするで!」
シリウスは、仕事に戻りました。
「志那、スーパーまでの道、知ってる?庭掃除やってるから一緒に行けないけど」
「教えてくれたら、何とかなるよ」
「二人共、何話し込んでらしたの?シリウスさんが来てらしたけど…」
「梨々華、買い物手伝って欲しいんだけど、良い?」
志那は、マンションから出て来た梨々華と一緒にスーパーまで行く事になりました。