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「私とあなたじゃ住む世界が違う 第五十六話」

「ただいまー…あれ?由里?」
マンションに帰って来た志那達は、庭で落ち込んでいる由里を発見しました。
「志那ー、聞いてよー!マンションはランクが下がるし、管理人さんは新しい人に変わったみたいで、その人、スゴく厳しいのよー!」
マンションは、豪華な装飾から一般的な外装に変わっていました。
「確かに…マンションの外観、変わってるね」
「コレ、パズルの拠点のマンションとあまり変わりませんわ」
「あ、言い忘れとったけど、三次元国に居る間はこのマンションがオレ達の住処や。ちょーど、新しい管理人探しとったみたいでな」
スノーが、ひょっこりとマンションから出て来ました。
「…って事は、新しい管理人って…」
「スモーク、言わなくても分かる」
「……」
カインド達は、冷や汗をかいていました。
「久しぶりやな。置き手紙だけ置いてって、消えてしまうなんて水臭いやろ」
管理人室からマゼンタが出て来ました。
「マゼンタさん!」
「事情はスノーから聞いた。ケブバガミに騙されてココに連れて来られたんやな」
「やっぱり、呪いってケブバガミが仕掛けた物でしたのね!」
「全員、騙されたって事やな…」
オーシャンも、マンションから出て来ました。
「元からの住民にも言うが、このマンションは好き放題やったみたいなのか、荒れ放題の上、メンテナンスが行き届いていない。俺が管理人になった以上、ココのルールには従ってもらう。寄って、当番制を設ける事とする」
「じ…地獄じゃん…」
由里は、更に落胆しました。

マゼンタが新しい管理人になってから、数日が経過しました。
「志那~、庭掃除スッゴく大変なんだけど!」
「2.5次元国の時は、大浴場、トイレ、食堂の掃除もしてたからね。庭掃除だけなんだから楽な方だよ」
「志那、今まで辛い思いをして来たんだね…」
由里は、涙目になっていました。
「唯一、前と一緒なのはセキュリティシステムだけなんて…」
「君達、久しぶりやな!元気にしとった?」
シリウスがやって来て、志那達に声を掛けました。
「シリウスさん!」
「実は…ちょっと、頼み事があるんや」
「頼み事?」
由里は、キョトンとなっていました。
「スーパーのタイムセールで、アジが安いから買いに行って欲しいねん!その時間、勤務中で行けへんから、お願い!」
シリウスは、志那達に頭を下げて手を合わせました。
「良いですよ。私はちょうど暇なんで」
「お礼、ちゃんとするで!」
シリウスは、仕事に戻りました。
「志那、スーパーまでの道、知ってる?庭掃除やってるから一緒に行けないけど」
「教えてくれたら、何とかなるよ」
「二人共、何話し込んでらしたの?シリウスさんが来てらしたけど…」
「梨々華、買い物手伝って欲しいんだけど、良い?」
志那は、マンションから出て来た梨々華と一緒にスーパーまで行く事になりました。

11/22/2022, 10:36:08 AM