NoName

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4/16/2024, 1:33:59 PM

「それ」を見た瞬間、一つの衝撃が駆け抜ける。

何気なくすれ違った人たちは、子どもと親と……彼らの両親だろうか?
それぞれがド派手なグッズを身にまといつつ、全力で施設を満喫している、そんな姿。
その光景は、親しい友人たちの輪の中であっても、まだ密かに恥じらいで丸まっていた己の背中をトンと押された気分だった。

そう、──ああ、そうだ!
むしろ今“ココ”へ訪れている者たちとは、少なからず皆が「遊びに来た」存在じゃないか。
当たり前の事実にパッと気づいてしまえば、この数時間に渡る自分の行動が一気にバカらしく思えてしまう。
非日常の思い出を作って、笑う場所なのに。

大切な時間を教えてくれた、あの横目で映り込んだ名も知らぬご家族さんには少々悪い気もするが、勝手ながらも胸の中で感謝の言葉を述べておいた。

いくつになっても、ああやって小さな子どもたちと一緒になってアトラクションを楽しめる、そんな遊び心あふれる大人になれるといいな。
そして願わくば、どうか日常へ帰る寸前まで遊び尽くして欲しいなあ、と。

【夢見る心】

4/15/2024, 2:59:27 PM

伝える以前から、玉砕していたのだ。
ああやって目の前に映る光景、その親しそうな雰囲気をまとった二人から、とある「真意」を察する。

他人の空似だと、都合よく忘れてしまいたかった。
あれからどう帰路に着き、こうして自室まで戻って来られたのかまでは分からないものの、きっと抜け殻のような足取りをしていたとは思う。

それでもコートの一枚すらも脱げないまま、ぼふん、とベッドに寝転ぶ。
何一つとして気持ちは乗らず、手がつかなかった。
そんな投げやり気味な行動を取ろうとも、まだ冷静な思考を保ち司る私自身が、内側から見下ろしている。

なにかから醒めていく感覚が、胸の奥で広がる。
勇気を振り絞って購入した“贈り物”は、まだ今も机の中で出番のときを待ち続けていたというのに。

【届かぬ想い】

4/14/2024, 2:32:16 PM

人が迷った時に頼る「どちらにしようかな」。
その言葉の後に続く内容には、なんと国内外を問わず、どうやら結構なレパートリーが存在することを調べるさなかに知った。

最初に数え始めた地点から最後の止まる結果までが分かってしまうそれは、本当に「神様の言う通り」となっているのか?
あまりにも身も蓋もない発想だったが、そう当時の幼心でも一度考えたことがある。
多分、大事なのは“そこ”ではないのだろう。

──そんな捉え方をする自分が居る。
この気まぐれな心で「助力」を得ようとする己の行動へ対し、妙な後ろめたさを感じつつも、右へ左へ交互に指を動かしてみた。
まるで、手遊びでもするかのように。

この中のどちらが先に選ばれようとも、恐らく後から選ばれなかった方までも欲してしまうタイプの自分としてみれば、良かったのだ。
正直言って、こんな風に思われているのを知られてしまえば、頼られた彼らであっても呆れてしまうだろうな。

【神様へ】

4/13/2024, 12:37:29 PM

数週間前の日付が載る新聞をガサリと広げる。
一度は紐でまとめた中から避難させておいた目的も、すぐさま見つかった。
それは実際の空を見て判断するという、生身の人間が持つアナログ感覚に基づいた「使い分け」が失われたといった見出しの記事である。

情報番組の進行役や、お偉い専門家の方のような詳しい知識でする話題の広げ方なんてものは、一般人の極みたる自分には出来などしない。
それでも個人的な範囲だけで話すのであれば案外なにも感じなかったわけではなく、こうして紙束から弾く程度には気にもなっていたらしい。

耳へ入る単語から、ぼんやりと頭に浮かんだのは「夏休みの宿題」。
なかでも“お約束”として出されもした絵日記の存在と、その悩ましき失態の数々を思えばこそ、ちょっとだけ物寂しさを覚えてしまったのだ。

本日の青い空には、一つの雲も流れていない。

【快晴】

4/12/2024, 1:48:55 PM

少々古ぼけた風貌をした書店の片隅。
店内でも奥まった位置の棚端から、数センチの隙間に擬態する細い背表紙が見え、何故だか強く目を引いた。

「長く飛ばせる紙ヒコーキの作り方。それが今、あなたのお手元に!」
「さあ、キミも一緒に折ってみよう!」

その影を抜き取ると、なにやら奇妙な語り口をするキャラクターが表紙を飾っている『謎のハウツー本』を発見してしまった。
ついでに付け足せば、指先の薄いザラつきに加え、四つ角も若干曲がっている状態だ。
これも一つの縁か、と興味のまま少しだけ中身をパラリと覗き見てみる。

──が、まさか考えていたより丁寧な手順を踏み、小粋なコラムすらも載せている一冊らしい。
思わず幼少の頃を振り返ってみると、あまり手の凝った折り方も出来ず、同じくキレイに飛ばせた記憶も無い。
……ならば、本当に“それ”が出来るのだろうか?

手ぶらの時間も終わりを告げ、自分の足は自然とカウンターに向かったのは言うまでもない。

【遠くの空へ】

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