たかなめんたい

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4/25/2026, 3:39:19 AM

『ルール』

生きていくために必要なこと、というのは思っているよりも少ないらしい。

食べること、眠ること、息をすること。それだけで、とりあえず明日はやってくる。誰かに好かれなくてもいいし、何かを成し遂げなくてもいい。社会のルールに従って、迷惑をかけずに、ひっそりと存在しているだけで、世界はべつに文句を言わない。

なのに、どうしてこんなに息苦しいのだろう。

必要ではないはずのものを、いつの間にか必要だと思い込んでいる。認められること、愛されること、自分がここにいてもいいという誰かからの許し。それらは生存には関係ない、とデータは言う。でも心は頑なに、そうじゃないと主張し続ける。

ルールというのは不思議なもので、誰が決めたのかもわからないまま、気づいたときにはもう守っている。幸せにならなければいけない、とか。成長し続けなければいけない、とか。立派に生きなければいけない、とか。

破ってみると、案外何も起こらなかったりする。​​​​​​​​​​​​​​​​

4/24/2026, 4:28:41 AM

『今日の心模様』

心、というのはあまりにもお粗末だ。

少し褒められれば浮かれて、少し傷つけられればずっと引きずって。昨日まで好きだったものが今日は色褪せて見えたり、逆にずっと気にも留めていなかったものが、急に愛おしくなったりする。

そのくせ、自分の気持ちに名前をつけようとするとうまくいかない。嬉しいのか、寂しいのか、怒っているのか。どれもぴったりこなくて、結局「なんとなく」という言葉で濁してしまう。

心は天気に似ている、とよく言うけれど、天気のほうがまだ正直だと思う。雨の日は雨が降るし、晴れの日は晴れる。でも心は、晴れているふりをしながら内側で曇っていたり、泣きたいのに理由が見当たらなかったりする。

それでも、と思う。

こんなにいい加減で、こんなに矛盾だらけで、お粗末な心だからこそ、ふとした瞬間に感じる温かさが、きちんと温かいままでいてくれるのかもしれない。​​​​​​​​​​​​​​​​

4/22/2026, 2:33:25 PM

『たとえ間違いだったとしても』

私の人生は間違っていると言いました。誰が?誰でしょう、思い出せません。

確か、大事な人だったと思います。

あの夏に仕事を辞めたこと。謝れないまま疎遠になった友人のこと。続けられなかった夢のこと。引き返せた場所で、引き返さなかったこと。

そういうものが、順番もなく浮かんできます。

どれが間違いだったのか。全部だったのか。それとも、間違いと呼んでいるのは結果であって、あのときの自分には、あれ以外の選択肢などなかったのか。分かりません。ただ、どれも確かに、自分の手で選んだことでした。

それでも、たとえ間違いだったとしても。

ふと、その言葉が自分の声に似ていることに気づきます。誰かに言われたのではなく、ずっと自分で、自分に言い続けていたのかもしれません。大事な人。そうか、そういうことか、と思います。

4/22/2026, 4:58:40 AM

『雫』

あなたの頬に、雫が溢れました。

それが涙だと気づくのに、少し時間がかかりました。

泣いているひとを前にして、わたしはいつも言葉を失います。

何かを言わなければという気持ちと、何も言ってはいけないという気持ちが、胸のなかで静かにぶつかり合って、結局わたしはただ、あなたのことを見ていました。

雫は、頬の上をゆっくりと伝いました。

急ぎもせず、止まりもせず。

まるで、長いあいだどこかに留まっていたものが、やっと行き場を見つけたみたいに。

悲しいのか、と聞こうとして、やめました。

悲しいに決まっている。でも、それだけでもないような気がして。

涙というのは、悲しみだけが呼ぶものじゃないと、あなたを見ていて思いました。何か大切なものに、ふいに触れてしまったときにも、人は泣くのだと。

わたしはそっと、あなたの隣に座りました。

何も言わずに。

それがせめてもの、わたしにできることでした。

しばらくして、あなたは小さく息をついて、少しだけ笑いました。

その笑顔が、さっきの雫よりずっと、わたしの胸に沁みました。​​​​​​​​​​​​​​​​

4/21/2026, 8:11:00 AM

『何もいらない』

欲しいものが何なのか、自分でも分からない。愛なのか、誰かに認められることなのか、それとも、誰かの温もりに触れて初めてかたちになる「生きている」という実感なのか。

口にしてみても、どれもしっくりこない。そうじゃない、もっと奥の、言葉になる前にふっと消えてしまうような何かだ。

友人と笑い合ったあの瞬間に、それはあったかもしれない。家族の声が部屋いっぱいに満ちていたあの夜に、確かに息をしていたかもしれない。

でも、気がつけばもう手の届かないところにある。

満たされた気持ちというのは、どうしてこんなにも消えやすいのだろう。砂を握るみたいに、強く閉じるほど指の隙間からこぼれていく。だから人は、また次を求める。次の笑顔、次の食卓、次の夜。

それが欲深さなのか、それとも単純に、生きることへの誠実さなのか、私にはまだ分からない。

ただ一つ確かなのは、「何もいらない」と思えたあの瞬間もまた、きっとそういう何かだったということだ。

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