NoName

Open App
4/16/2023, 12:01:11 PM

【ここではない、どこかで】

「もしもここではない、どこかであえたのなら私は貴方と出会えたのでしょうか。

もしも私が人ではなく、貴方と同じだったら同じ時を過ごせたのでしょうか。

もしも私がガンナーが得意ではなく、別ロールが得意だったとしても『相棒』になれたでしょうか。

私達は少し違えば全く別の関係だったのかもしれませんね。ですが私は違うと思います。

たとえここであえなくても、私の死に際には貴方が来てくれると信じています。

たとえ私が人だったとしても、刹那の時を貴方と過ごします。

たとえ私が別ロールが得意だったとしても『相棒』になります。

だって貴方と私はただのヒーローとプレイヤーではなく硬い絆で結ばれた『相棒』ですもの。」

随分と懐かしいものを見つけた。相棒から貰った手紙だ。少しきどった文章が実に相棒らしく口元が緩む。ふと隣を見れば忙しなく人魂が自分の周りを飛びまわる。恥ずかしいのだろう。シャイなところも変わんねぇなと思いつつ立ち上がる。
「行くぞ相棒、お仕事の時間だ。今日は懐かしい顔だぞ〜。お国の総帥サマだ。」
そう呼びかけると人魂は腰に付けられた籠の中に入っていく。あの時死神として最高の施しを授けた後籠に入れて連れ回している。ずっと輪廻転生できない可愛い哀れな俺様の相棒。

今日もどこかで飛び回る死神と人魂の話。

3/20/2023, 1:44:12 PM

【夢が醒める前に】

き────んという耳鳴りの音で目が覚める。別に寝ていた訳では無いけれど、意識が別の方に向いていた。頭がまだぼうっとする。隣には心配そうに覗いてくる†13†(サーティーン)が居る。不甲斐ない私のことを気にかけてくれるすてきな存在。
†13†が必死に、不安げに、何か言っているが鮮明ではない私の意識はその言葉が何かわからなかった。あまりにも呼び掛けに反応のない私を心配して必死に言葉をかけている。

き───んと再び耳鳴りの音がする。静かな部屋で耳鳴りの音だけが響く。目の前が廻る。雲の上を歩いているかのような浮遊感。肩に重くのしかかる空気とは逆に私の胃液は逆流する。朝食べたフルーツヨーグルトが汗や涙と共に床へ落ちる。汚いなと思った。そんな私の背中を優しく摩ってくれる†13†に怒られると思って顔をあげると、部屋が暗くてよく見えなかった。

軽く掃除をし、疲れたのでバランスのとれない足でふらふらとした歩調でベットまで行く。酷く眠い。隣で†13†が寝ている。そのローブをつかみ横になる。隣で寝ている†13†の事を意識してしまったのか鼓動が早鐘を打つ。布団を深く被り、鳴り響く耳鳴りのきんとした音の中私は意識を手放した。

2/10/2023, 3:40:59 PM

「よぉ。相棒、性懲りも無くまた来たなァ。」
そう言って気だるげに出迎えてくれたのは‪†13†(サーティーン)だ。彼はいつもなんだかんだ言いながら出迎えてくれる私の良きパートナー。
「今日からシーズンだね。銅アイコン目指して頑張ろう。相棒。」
「おう。今回こそは取るんだもんな?」
彼の問いに頷き同意する。しかし最近実の所、無理なんじゃないかという思考が脳裏にチラつく。

惜しい所まで行くのだ。あと数十位上ならば貰えるだろうと言うところまで。それが最初のうちならば、「あともうちょっとだ。頑張ろう。」とやる気も出るのだがそれが続くと「無理なんじゃないか。」と心が折れてしまいそうになる。それでも頑張って、頑張って前回ギリギリ滑り込めたは良いが、不具合の処理で順位が下がってしまった。13とやけ酒をした記憶がまだ新しい。

バトルアリーナへ行く途中ふと13が足を止めて振り返った。私は暗くなる気持ちを抑えて笑う。
「どうしたの13。スタートダッシュ切らないと。」
「無理して行く必要ないんじゃねェの?」
痛い発言だった。無理をしている自覚は少しだけある。どう返答しようか悩んでいると次の言葉が投げかけられる。
【未完成(誰もがみんな)】

12/23/2022, 1:09:29 PM

カシャカシャカシャとリズム良く音が鳴る。
今日私はケーキを作っていた。本日12月24日、クリスマスの日に彼と一緒に過ごしたいというちょっとした欲で作っている。そして今は、ケーキのデコレーションに使うホイップクリームを泡立てている。

するとこっそり動く大きめの影がひとつ。
「13、いるんでしょ〜?」
と尋ねると、なんだよバレたのかよ。とイタズラを注意された子供みたいに拗ねている。彼は†13†(サーティーン)だ。コンパス内で苦楽を共にした私の好きな人。

【プレゼント(未完成)】

8/28/2022, 11:38:35 AM

「せめて来る時は一言欲しいかな〜って思うんだ」
「わりィ。ちょうど相棒の家の前通ったからさァ」

突然、家に来たこの男は†13†(サーティーン)だ。同じ学校に通っている親友だ。

「突然来てもいいけどさ、最低限10分前とかに連絡ちょうだい。」
「わかったわかったァ。次からは気ィつけるよ。ほらよ、相棒の好きなお菓子買ってきたぞ。」

本当にわかってるんだろうか…。突然来られると普段は、Tシャツにパンツといった超がつくほどズボラな格好だから困るんだよ…!
とりあえず13が買ってきたお菓子を見る。私の好きな物をしっかり理解している…!お菓子ひとつで機嫌をなおしたチョロい奴と思われかねないが、ここはひとつ手を打とうじゃないか。

「まぁ今回はこのお菓子に免じて許そう。」
「ありがとな。ところで相棒、話変わるんだが…。」
「その、家だとずっとそうなのか…?」

改まって何を言われるんだ…!と、思わず身構えてしまったが案外呆気のないものだった。他のやつなら「ちゃんとジャージとか履いてるよ〜。」なんて言うのかもしれないが、相手は気心の知れてる13だ
。「いや、むしろ履いてないよ。パンツだよ。」なんて言ったら、「は?!」と驚いて固まってしまった。

「他のやつ来てもそんなんなのか…?」
「いや流石に服を着る。」

そう言ったら13はえらく安堵して「そーかよ。」とぶっきらぼうに言った。

「いいか?俺以外のヤツにそんな格好見せんなよ?」
「なんでさぁ?見せるわけないじゃん。」

次の瞬間13の顔が見たことないほど赤くなった。

「そりゃ…、相棒の事が…好きだからだよ…!」
「?!」

ほぼ告白のようなものを言い放った瞬間に13は逃げるように出た。追いかけようと考えたが、驚きすぎてそれどころじゃなかった。まさか両思いなんてね…!
そんな感じの夏によくある話。


【突然の君の訪問。】

Next