【夢が醒める前に】
き────んという耳鳴りの音で目が覚める。別に寝ていた訳では無いけれど、意識が別の方に向いていた。頭がまだぼうっとする。隣には心配そうに覗いてくる†13†(サーティーン)が居る。不甲斐ない私のことを気にかけてくれるすてきな存在。
†13†が必死に、不安げに、何か言っているが鮮明ではない私の意識はその言葉が何かわからなかった。あまりにも呼び掛けに反応のない私を心配して必死に言葉をかけている。
き───んと再び耳鳴りの音がする。静かな部屋で耳鳴りの音だけが響く。目の前が廻る。雲の上を歩いているかのような浮遊感。肩に重くのしかかる空気とは逆に私の胃液は逆流する。朝食べたフルーツヨーグルトが汗や涙と共に床へ落ちる。汚いなと思った。そんな私の背中を優しく摩ってくれる†13†に怒られると思って顔をあげると、部屋が暗くてよく見えなかった。
軽く掃除をし、疲れたのでバランスのとれない足でふらふらとした歩調でベットまで行く。酷く眠い。隣で†13†が寝ている。そのローブをつかみ横になる。隣で寝ている†13†の事を意識してしまったのか鼓動が早鐘を打つ。布団を深く被り、鳴り響く耳鳴りのきんとした音の中私は意識を手放した。
3/20/2023, 1:44:12 PM