NoName

Open App

【ここではない、どこかで】

「もしもここではない、どこかであえたのなら私は貴方と出会えたのでしょうか。

もしも私が人ではなく、貴方と同じだったら同じ時を過ごせたのでしょうか。

もしも私がガンナーが得意ではなく、別ロールが得意だったとしても『相棒』になれたでしょうか。

私達は少し違えば全く別の関係だったのかもしれませんね。ですが私は違うと思います。

たとえここであえなくても、私の死に際には貴方が来てくれると信じています。

たとえ私が人だったとしても、刹那の時を貴方と過ごします。

たとえ私が別ロールが得意だったとしても『相棒』になります。

だって貴方と私はただのヒーローとプレイヤーではなく硬い絆で結ばれた『相棒』ですもの。」

随分と懐かしいものを見つけた。相棒から貰った手紙だ。少しきどった文章が実に相棒らしく口元が緩む。ふと隣を見れば忙しなく人魂が自分の周りを飛びまわる。恥ずかしいのだろう。シャイなところも変わんねぇなと思いつつ立ち上がる。
「行くぞ相棒、お仕事の時間だ。今日は懐かしい顔だぞ〜。お国の総帥サマだ。」
そう呼びかけると人魂は腰に付けられた籠の中に入っていく。あの時死神として最高の施しを授けた後籠に入れて連れ回している。ずっと輪廻転生できない可愛い哀れな俺様の相棒。

今日もどこかで飛び回る死神と人魂の話。

4/16/2023, 12:01:11 PM