Noir

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7/3/2024, 1:08:18 PM

この道の先に

この道の先にはどんな景色が広がっているだろか…

僕の人生を語ると毎度と言っていいほどその言葉が出てくる。
聞いてる人からすると大袈裟だと思ってしまうかもしれない。だが、嘘はついていない。れっきとした事実である。逆にここにわくわくや期待、どきどきを感じないと、この冒険者という仕事は続けられないと俺は思う。
この不気味な道の先に待ち受けているのはどんな道、景色だろうか……。
考えるだけで少年心をくすぐられてたまらない。
壮大な海かな…芝生かな…それともお花畑かな…
もしかしたら、もっと不気味な森かな…?
いつもそんな事を思いながら足を進める。
1歩1歩答えに近づくたびに期待値は少しずつ上昇してしまう。最後の1歩までくると視線を下に下げて、期待に胸を踊らせながら、前をむく。
その一瞬にしてくる膨大な感情が(この職業についてよかった)と(これだから冒険者は止められない)と叫んでいる。
よく「Sランクまでいくにはどうすればいいですか?」と聞かれる。その答えがこんな少年じみていたらどんな反応をされるのだろか……?
想像するだけで笑ってしまう。


さぁ、この道の先にどんな景色が広がっているのだろうか。また新しい冒険の始まりだ!

7/1/2024, 9:57:12 AM

赤い糸

「運命って素敵だよねー」
「はぁ、運命?」
「そう!運命!めっちゃ素敵じゃない?」
「そう?そうでもなくない?」
「いやいや、そんなことないって!」
「はいはい、そーですか」
彼女のロマンチストぶりには慣れていたはずだがここまでとは…

彼女とは小学生の頃から一緒で現在(高校生)も仲良くしている。彼女と私は正反対の性格だ。これは先ほどの会話からも読み取れることだ。
真反対だからこそここまで仲良くできたのだろうか……?時々そう思う。

(運命…ね…)
私の性格上運命などというものは基本的に信じない。だが、そんな私にも、1つだけ思いあたる節がある。それは、彼女との出逢いだ。
小学生の頃は冷めきったこの性格のせいでいじめにあっていた。そんなとき助けてくれたのが彼女だ。
彼女の明るい性格は当時冷めきっていた私の心に温もりをあたえてくれた。
彼女と出逢わなかったらもっと冷めた人間になっていたことだろう。彼女には感謝しかない。

その出逢いを運命と呼ぶなら、運命だけは信じてやってもいいと思っている。

fin

6/30/2024, 7:23:57 AM

入道雲

今日はこの季節を象徴するかのような晴れ。
そんな季節とは裏腹に僕のいるところは偽造の悲しみで満ち溢れていた。
鼻をすする音、涙をハンカチで拭う音、悲しいと言い合う人、すべてが嘘で、居るだけで吐き気がするこの空間。
(お前らは何もしらないくせに………)
僕は親族ではない。幼なじみで恋人でもあった。
唯一信頼できる関係性、周りからは親友同士だと思われていた。

世間ではまだ受け入れられていない同性カップルになり、いざこざもたくさんあった。
だが、その時間でさえ、僕たちにとっては嬉しい時間だった。ただ、貴方といられるだけで嬉しかった。だって、貴方には病気があったから。
完治できる確立も低く、そんなに長くはなかったから。
だから、1分でも、1秒でも長く一緒にいたかった。嬉しいことに貴方も同じ考えだった。だから僕たちはいつも一緒にいた。

最近では病の進行も緩やかだったのに、なんで、
来年の大学進学を機に同棲しようね。って、部屋は各自分の部屋あったほうがいいよね。って未来を語り合ったのになんで、なんで、なんで、
「先にいっちまったんだよ。」そんな本心が弱々しく口から出た。誰も僕のことは気にかけない。そりゃそうだ。
向こうの家系からしたら、病弱が亡くなっただけ。
むしろ、メリットなんだろう。
香水臭いおばさんたちが遠くで雑談。おじさんたちは軽く商談の話。
ほら、誰もあいつを気にかけたことがない。
昔からそうだった。あいつを気にかけるやつなんていなかった。

空を見上げればいまだ成長している入道雲。
そんな入道雲は僕の悲しみと怒りを表しているようだった。

fin

6/26/2024, 8:26:13 AM

繊細な花

6/20/2024, 10:12:38 AM

あなたがいたから

「ねぇー、これ分かんない助けて!」
「えっ、また?」
「うーん、だって分かんないんだもん。」
そう嘆くのは保育園からの幼なじみだ。
保育園~高校までずっと一緒だったため、今では
家族ぐるみで仲良しだ。

スポーツ万能の幼なじみ。そんな彼女の弱点は勉強だ。なぜ私と同じ高校に行けたのか不思議になるぐらいに出来ない。
「ねぇ、ここは?」「ここは、…………………だよ。」
「おぉ!なるほど。」「じゃあ、ここは?」
「ここは、……………………だよ。」「なるほどね!」
この会話がもう2、30分は続いている。

そんな彼女は、保育園の頃から私が困っていたら、1番に助けにきてくれた。だから彼女は私のヒーローだ。
そして、現在高校生になった今も私のヒーローとして、困ったことがあれば助けてくれる。
どんなに勉強が出来なくても、彼女はヒーローで
幼なじみで憧れの存在だ。

いつもと変わらない彼女を家まで送った帰り道。
私の家の庭には、紫色のフリージアが咲いていた。
(誕生日にプレゼントしよう。)
中学1年生のときから続く誕生日プレゼントの1つ
紫のフリージア。





紫のフリージアの花言葉「憧れ」

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