Ryu

Open App
1/16/2025, 3:28:53 PM

涙は…透明だよな。
うん、そのまんまだ。
だから、涙について語ればいいのかな。

もうすでに語ったことがあるような気もするが、大人になったら、自分事で涙を流すことはほぼ無くなった。
転んで泣いたり、怯えて泣くことはもう無いし、去年受けた手術だって痛くて怖かったけど、涙を流すなんてことはなかったな。
…まあ、大人なんで当たり前だが。

それでも自分は間違いなく泣き虫だ。
そーゆー映画の予告で泣ける。
で、こんなんじゃ本編を観たらどうなるんだろとか思って観てみると、案外泣けなかったりもするが。
あと、音楽に弱い。
その歌詞がエモいとさらに泣きが加速する。

十数年前、職場の先輩の奥さんが亡くなった。
私は奥さんとの面識はなく、その訃報を聞いても、先輩が大変だろうな、くらいの感想しか持てなかった。
だが数日後、お葬式に参列した上司から、式中に読まれたという先輩から奥さんへのお別れの手紙を見せられた。
当然私は、周りが引くほど泣いた。
皆が働く職場でだ。

そして一昨日のこと、その先輩と話す機会があった。
私はただ単に、当時あの場にいなかった先輩に、
「あの手紙読ませてもらって、感動したんですよ」
と伝えたかっただけなのだが、手紙を読んだ、と伝えたところで、不意にまた涙が込み上げてきて、そこから何も言えなくなってしまった。
50越えたおっさんが、そう何度も職場で号泣するわけにはいかない。

そんな涙もろい自分が、最近一番べらぼうに泣いたのが、数年振りに見た、ケツメイシの「友よ~この先もずっと…」のMV。
こんな想いでこのMVを見ることになるとは思わなかったな、あの頃は。
やっぱり、誰かに永遠に会えなくなることが、何よりも悲しい。
それがたとえ、自分じゃなく他の人にとってのことでも。

だから、透明な涙のように、見えない存在にならないで。
大切な人達よ。

1/16/2025, 1:05:36 AM

ひとりぼっちのあなたへ。

いつか話しかけようと思ってた。
でも出来なかった。その勇気がなかった。
私の次に、イジメのターゲットにされたあなた。
その苦しみを誰よりも分かっているはずなのに、あなたに声をかけることすら出来なかった。
また自分が、あんな毎日を送ることになるのが怖かったから。
このまま平穏な日々が続くことを、心から願っていたから。

今までずっと私はこの苦しみを経験したのだから、あなたを救うべきは自分じゃないと思ってた。
きっと順番があるんだ。
しばらくしたら、あなただって解放される。
そう信じてた。
そして、私はそのイジメの輪の外にいることで、自分は心ある人間だと安心することが出来た。
君子危うきに近寄らず。
雉も鳴かずば撃たれまい。

でもある日、あの鬼畜軍団が私に近付いてきて、
「一緒にあのコを囲むから、ついてきて」
と、笑いながら言う。
「ごめん、私はいいよ。あんまりうまく喋れないし」
なんとかその場を逃げようとしたが、
「そんなこと聞いてないよ。ついてこないなら、あのコの代わりにまたあんたを囲むけど」
鬼畜の言葉に足が震える。

「別にいいんだけどさ、あのコも、あんたのことイジメるのは嫌だとか言うから、今みたいになったんだよ。分かってる?」
「えっ…?」
「あんたをイジメるのはやめなよって。そんなことする奴らとはツルむ気もないって。私達、イジメてなんかないのにねー」
「…あのコが、私を?」
「どうするの?やるの?やらないの?あいつ、リアクション薄いから、正直あんまり面白くないんだけど。あんたの方が…」

私の心が動いた。私の体も。
あなたのもとへ、向かう。
奴らとともにではなく、私一人で。
あなたに教えてもらった、勇気をもって。

1/15/2025, 1:49:44 AM

そっと触れた手は、氷のように冷たかった。
浮かべた笑顔は温かく、ついこの間会った時のままなのに。
傍らに横たわり、もう遠い日々を思い出す。
君が隣にいて、幸せだった日々。
こんなことになるなんて、つゆほども思わなかった日々。

夕暮れが訪れる。
この部屋には僕達二人以外、誰もいない。
窓際でカーテンが揺れている。
静かに君の笑顔を見つめ、胸の前で両手を合わせた。
君に捧げる祈りは、君が道に迷わないように、
あちらの世界でも、同じ笑顔で過ごせるように。

そして僕を、君のいる場所へ連れていってくれるように、そっと君の手に触れる。
その手は氷のように冷たく、君の温かい笑顔はいつしか暗闇に溶けていた。
もう還らない日々を想い、僕はそっと、君の血に染まるナイフを握り直した。

1/13/2025, 11:03:42 PM

宇宙の果てや、死後の世界。
あるのかどうかすら、定かではないような場所。
そしてその景色。
まあ、生きてるうちに見ることは叶わないと思っている。
それでも一向に構わないが。
どちらも、日常生活からあまりにも離れすぎて、おとぎの国の話のようだ。
人間なんてちっぽけな存在には、山や川や海や空やビルくらいの景色で十分だと思う。
受け入れられるキャパシティってもんがあるから。

あとは…そうだな。
娘の結婚式や、孫の誕生、そして、自分がこの世を去る瞬間の景色。
これらまだ見ぬ景色を、いつか目の当たりにする日が来るだろうか。
この中でも、最後のひとつを見る確率が一番高そうなのが残念だが、他のふたつをあきらめてるわけじゃない。
宇宙の果てや、死後の世界とは違う。

いつか人類は、宇宙の果てに辿り着くだろうか。
死後の世界の存在を解明することは出来るだろうか。
きっと成し遂げると思う。
人間とはそういう生き物だ。
まだ見ぬ景色を、身近な風景に変えてしまう生き物だ。
ただ、それには時間が必要で、人の一生が終わるまでに実現出来るとは限らない。

きっといつか、娘達が結婚し、孫が生まれ、宇宙には果てが無く、死後の世界も空想であったことが明白になるかもしれないが、たとえどう転んでも、すべてが人の営みの為せる業だ。
見届けることが出来なくても、楽しみに待つ。
今の私には、それしか出来ないから。

1/13/2025, 1:03:43 AM

あなたと見ていた覚めないはずの夢。
命ある限り続くものと思っていた。
それが、あなたの突然の心変わりで、音もなく崩れ去ってゆく。
二人で築いてきた夢なのに。

あの夢のつづきを、他の誰かと見ることは出来るのだろうか。
それとも、目が覚めて、すべてが無に還るのか。
どちらだとしても、とても幸せな夢だった。
今頃あなたは、あの夢のつづきを他の誰かと見ているのかもしれない。

ある日、私は目を覚ました。
現実に還り、あなたと見ていた夢が、すべて虚構であったことに気付く。
「夢なんだから当然じゃないか」誰かの声が聞こえる。
それでも私は、とても幸せだった。
あの夢のつづきでしか生きられない、そう強く思った。

もう一度、眠ろう。深い眠りの中へ。
他の誰かじゃダメなの。あなたしかいない。
この現実の世界では、私は一日たりとも生きられない。
命ある限り続くと思っていたあの夢を、永遠の眠りの中で見ていたい。
あなたを引き連れて、終わりのない夢の世界へ。

Next