そっと触れた手は、氷のように冷たかった。
浮かべた笑顔は温かく、ついこの間会った時のままなのに。
傍らに横たわり、もう遠い日々を思い出す。
君が隣にいて、幸せだった日々。
こんなことになるなんて、つゆほども思わなかった日々。
夕暮れが訪れる。
この部屋には僕達二人以外、誰もいない。
窓際でカーテンが揺れている。
静かに君の笑顔を見つめ、胸の前で両手を合わせた。
君に捧げる祈りは、君が道に迷わないように、
あちらの世界でも、同じ笑顔で過ごせるように。
そして僕を、君のいる場所へ連れていってくれるように、そっと君の手に触れる。
その手は氷のように冷たく、君の温かい笑顔はいつしか暗闇に溶けていた。
もう還らない日々を想い、僕はそっと、君の血に染まるナイフを握り直した。
1/15/2025, 1:49:44 AM