Ryu

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6/17/2024, 9:37:29 PM

目を覚ますと、焦げたトーストの匂い。
廊下をドタドタと走る足音。
玄関をガチャリと開けて、
「行ってきまーす!」
娘の元気な声が届く。

寝室を出て、リビングに向かうと、妻がコーヒーを飲みながらスマホをイジっている。
「おはよう」
「あら、おはよう。今日は早いね」
「朝から会議なんだ。30分後には出るよ」
「そう。パン食べる?焦げてるけど」
「焦げてないパンが食べたいな」
「じゃあコンビニで買って食べて」
「了解」

スーツに着替え、玄関に向かう。
ドアの前に姿見があって、そこに映る自分の姿に、違和感を覚える。
…ん?違うな。これは俺じゃない?
いや…俺だよな。なんでこんな…。

目を覚ますと、焦げたトーストの匂い。
廊下をドタドタと走る足音。
玄関をガチャリと開けて、
「行ってきまーす!」
妹の元気な声が届く。

寝室を出て、リビングに向かうと、母がコーヒーを飲みながらスマホをイジっている。
「おはよう」
「あら、おはよう。今日は遅いね」
「朝練が中止なんだ。30分後には出るよ」
「そう。パン食べる?焦げてるけど」
「焦げてないパンが食べたいな」
「じゃあコンビニで買って食べて」
「了解」

制服に着替え、玄関に向かう。
ドアの前に姿見があって、そこに映る自分の姿に、違和感を覚える。
…ん?違うな。これは僕じゃない?
いや…僕だよな。なんでこんな…。

「未来の自分の夢を見たってこと?」
「いや、過去の自分の夢」
「高校生の頃の自分?」
「それと、妻や娘と暮らしてた頃の自分」
「未練があるんだね」
「未来はないけどね」

自宅を出て、学校に向かうと、君が目の前を歩きながらスマホをイジっている。
「おはよう」
「あ、おはよう。今日は早いんだね」
「朝練が再開したんだ。30分前には着かないと」
「そう。パンいらない?コンビニで買ったの」
「朝ご飯食べてきたから。お腹いっぱい」
「じゃあ、お昼にお弁当と一緒に食べて」
「了解」

…ん?
つい最近、似たような会話を誰かとしたような…。
いや…夢だよな。なんであんな夢見たんだろ。
未来の自分の夢か。働いてたもんな。
娘もいたし、スーツを着て…。
夢とはいえ、奥さんが君で嬉しかった。
僕の未来はきっと明るい。

6/16/2024, 10:23:24 PM

10年日記というアプリで日常を記録している。
名前の通り、10年分の今日が一列に並び、去年の今日、一昨年の今日と、自分の書いた日記が見られる仕様だ。重宝してる。
使い始めてまだ10年は経っていないが、一日とサボらず毎日書き続けているので、このアプリの中にはたくさんの時間軸における自分が存在している。

1年前の今日の自分が、抱えていた不安や悩み。
今の自分にとっては、そんなこともあったなーってレベルの些細なこと。
結局、大したことにはならず、杞憂に終わったことばかり。
思えば、人生はそんなことの繰り返しだ。
心配事の9割は起こらないのに、残りの1割が起こることを心配したりして。

生きている限り、不安や悩みは尽きないけれど、1年、いや、数ヶ月と続くようなものはほとんどない。
もちろん、当時頑張って自力で解決したものもそれなりにあるが、どうにも出来ずに時が解決してくれたものだって多々ある。
今となれば、悩むだけ無駄だったなと思うけど、その時はそうするしかなかったんだよな。

でも、こうして未来の自分になって振り返ってみると、頑張っていた自分に出会えて嬉しくなるし、1年前の自分は確かにそこにいたんだなと、時の流れを再確認出来る。
そして、今だって頑張ってるぞ、と胸を張って過去の自分に伝えたくなる。
それはきっと、心の中で言葉にするだけで。
過去の自分も今の自分も、同じこの心の持ち主だから。

今では、想いを書き残すアプリがひとつ増えて、1年前の自分にはなかった日課を楽しんでいる。
1年後の自分が、どんな気持ちで今の自分の徒然なる想いを読むのか。
恥ずくて苦笑しながらか、文才を自画自賛しながらか、分からないけど、これが今の自分の精一杯だから、未来の自分がもっとレベルアップしていることを期待しつつ、書き続けていこうと思う。

ネタが続く限りは…。

6/15/2024, 11:23:03 PM

一時期ホラーにハマって、角川ホラー文庫を片っ端から読んだ。
いろいろとゾクゾクする作品はあったけど、やっぱり「リング」は別格だったと思う。
仕事帰りの電車の中で読んでいて、たくさんの人が乗っているのにもかかわらず、怖すぎて何度も顔を上げ周りを見渡し、なかなか読み進められなかったのは、後にも先にもあの作品ぐらいだ。

特に、呪いのビデオの内容描写が、トラウマになりそうなほど禍々しかった。
文字が並んでるだけなのに、目の前で映像が再生されているかのように、はっきりと情景が浮かんできた。
後に、映画化され、実写化された映像を見たが、描写に関しては、あの時脳裏に浮かんでいた映像と、ほとんど変わらなかったように思う。

なんてったって、日本の幽霊像、「貞子」を生み出した作品な訳で、映画界においても、ジャパニーズホラーの礎になっている。
白い服を着た髪の長い女性。
それが、「きっと来る」んだから、怖い。
しかも、呪いのビデオを見ただけで?
なんでだよ?ってな部分も、科学的アプローチまでされてて、なかなか稀有な作品だったと思う。

今の時代なら、サブスク配信でもっと被害は広がるのかも。
ダビングなんて概念はないから、呪いを止める術もない。
アマプラのおすすめ作品なんかにされてたら、何となく気になって見ちゃうよな。
「リング」の映画と一緒に、さりげなく並べられてたりして。
その名も、「ほんとにあった!呪いのビデオ」
あ、すでに存在してる…。

映画の方は、オチを知っていたせいか、主役が女性に変えられていたせいか、はたまた、あからさまな貞子登場に失笑してしまったせいかは分からないが、原作ほどの恐怖は感じなかった。
やっぱり、文章を読んで、自分の頭の中でそのイメージを作り上げるのが最強、いや最恐なんだな、と。
それを無理やり映像化することには、陳腐ささえ感じてしまうこともある。

しかも、その後続く貞子シリーズの映画に関しては、まあ、興味が続かなかったのが事実。
3Dにしたり、ライバル伽椰子と闘わせたり、さすがに無理がある展開になっていく。
これでいいのか、ジャパニーズホラー。
まあ、アメリカでもフレディ VS ジェイソンとか、エイリアン VS プレデターとか、似たようなことやってるんだけど。

好きな本の話に戻す。
伊坂幸太郎全般。
特に、「アヒルと鴨のコインロッカー」とか。
これについても、言いたいことはたくさんあるんだけど、いかんせんリングの話題が長すぎた。
これはまたの機会に、話せる日が来るのであれば。
いや、きっと来る。
きっとくる。

6/14/2024, 3:28:14 PM

遠く雷鳴が轟く。
学校帰りの歩道で立ち止まり、君に、
「ずっと好きだった」と想いを告げた。
困ったような、怒ったような表情で、
「雷が来る前に帰ろうよ」
君がそう言って、走り出す。

家に着いてまもなく、激しい雨が降り出した。
濡れずに済んだのに、心が疲弊して萎んでく。
別れ際、
「友達でいたかったんだけどな」なんて、
後悔しか残らないような言葉を聞いた。
雨はしばらく降り止まない。

友達のままでいれば幸せだったのかな。
曖昧な関係のままで、ただ一緒に過ごせれば。
いつだって一番そばにいた。
君となら、何だって出来る気がした。
友達のままでは出来なかったことだって、きっと。
だけどもう、友達にも戻れない。

雨が上がり、雲の隙間から夕日が差し込んでくる。
それでも遠く雷鳴は続き、
安息と不安が入り交じるような時間だった。
夕焼けと暗雲が描かれた、あいまいな空のキャンバス。

堪えきれず君に、「全部嘘だよ」とメールを送る。
読んで欲しいけど、読んで欲しくないメール。
心も曖昧で、君と友達でいたいのに、友達じゃいられなくて。

過去一勇気を振り絞った一日が終わろうとしてる。
君と朝、おはようと挨拶を交わした時は、
こんな切ない夜を過ごすことになるとは思いもしなかった。
夜が来て届いた、君からの返信メール。
「私も全部嘘だよ」

明日の朝も、君に笑顔でおはようを言えるだろうか。

6/13/2024, 11:53:40 PM

ムズいです。
あじさいから連想するものなんて、雨とかお寺ぐらいしかない。
植物全般に詳しくないから、そこからイメージを膨らませることも難しい。
こーなったら、無理くりそれっぽい文章を書いてみよう。
無理くり。

雨降り 心も晴れない六月の朝
お気に入りの傘で 待ち合わせの場所へ
二ヶ月ぶりのあなたに会えるのに
心が弾まないのはこの雨のせい

静かに 降り続ける雨のように
心に染み込む不安 会えなかった日々に
仕事が忙しくてさと笑うあなたの
髪型が変わったことも知らない

二人ひとつの傘に隠れて 雨に濡れる境内を歩いた
変わらないあなたの笑顔 変わってしまった私の心
咲き誇るこの花のように 心の色は雨のせいでなく
私の根っこを包む疑心で こんなにも変わってゆく

久し振りだけど楽しいね あなたが笑う
会えない時間何してた? 私が問いかける
君のことばかり考えてた あなたが嘘をつく
私はいろいろ考えてたよ 私はあなたを愛せない

心の声を届けられないまま
今日という日も終わりゆく
次はいつ会える?なんて 恋人同士のように
仕事が忙しくてさなんて 耳慣れた言い訳を最後に

一人夜の町 泣きながら家路を辿る
雨に紛れて誰にも気付かれないように

悲しくても切なくても お腹は空くんだね
涙で滲む視界に 大好きなお店の看板が見えてきた
お腹いっぱい食べて 家に帰って今後の作戦を練ろう
暖簾をくぐる お店の名は「味彩」

…おあとがよろしいようで。

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