Ryu

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6/1/2024, 9:46:55 PM

雨の音は嫌いじゃない。
気持ちがリラックスして、いつもと違う感覚に浸ることが出来る。
考えてみれば、晴れたり曇ったり雨が降ったり雪が降ったり、自分が生きる世界の装いがガラリと変わる訳で、かなり大掛かりな舞台装置が稼働してる。
これは、今日の舞台も演じ甲斐があるってもんだ。

六月は静かな雨の演出で、日々の暮らしも少し落ち着いたシーンが多くなる。
あまり閉じこもりがちになると、鬱っぽくなってしまうきらいがあるから、傘に落ちる雨音を聴きながら、通勤や通院や買い物といった日常を続けよう。
そしてそこで本来の自分を演じつつ、夜の緞帳が下りるまで、粛々と過ごしていく。

ワクワクが増えるのは、この梅雨の時期を越えた辺りからか。
夏が来る。夏休みがある。
いや、とはいっても、もはや海や山に行く訳でもなく、暑さに苦しむイメージの強い季節になってしまっているが。
そして、夏を満喫するギラギラしたキャラにはもうなれない。
やっぱり、雨音を聴いてリラックスしてる方が性に合ってるのかな。

いずれにせよ、毎年繰り返される季節の暗転の中で、自分の出番はまだまだ用意されているようだ。
役者としては子役から始まり、気付けば齢50の大ベテランとなったが、まだまだ幸せな家庭の父親として奮闘していくつもり。
偽りを演じるのではなく、本当の自分をさらけ出した演技で、いつかアカデミー賞を狙う。

雨の音は嫌いじゃない。
気持ちがリラックスして、こんな妄想に浸ることも出来るから。

6/1/2024, 6:12:43 AM

無垢なる人。
大空を仰ぎ、世界の平和を夢見る。
人々が安らぎ、争いのない世界で、
競い合うこともせずに微笑んでいる。
そして、悪意に飲み込まれる。

無垢なる人。
疑うことを知らず、すべてを奪われ、
生きる糧を失っても、命あることに感謝して。
誰かのためにその命を削り続けて、
短い人生をまもなく終える。

無垢なる人。
闘う術を持たず、痛みに耐え続け、
君は何を手に入れたろうか。
そこに、君の心の安らぎはあったろうか。
争いは無くならず、君が争うことを放棄しただけ。

無垢なる人。
天使、赤ん坊、飼い主に愛された犬や猫。
憧れても成り得ない存在に想いを馳せる。
それでいいじゃないか。にんげんだもの。
垢が付いても洗い流せるシャワーなら家にある。

無垢なる人。
誰かに愚かだと笑われても、愚かさを測るメジャーなどない。
世界平和を夢見るのは愚かなことかもしれないけど、
本当に世界に平和が訪れたなら、
この世界に笑顔があふれるのは、
誰も否定出来ない夢物語なんじゃないかな。

無垢にはなれない自分は、無垢でありたいとは思わない。
ただ、その存在がこの毎日を穏やかにしてくれていることを知ってる。

荒んだ世界に一滴の清き雫を、
誰かが天上から落としてくれたかのように、
地上に落ちて静かに土に染み込んでいくかのように、
その土壌から芽生え、春になり美しき花が咲き誇るかのように。

5/31/2024, 3:05:29 AM

もう、ミスチル。これに尽きる。

誰の真似もすんな 君は君でいい
生きるためのレシピなんてないさ

心に刺さった。自分もこんな言葉を生み出したいと思った。
そして、この言葉がメロディに乗った時の感動。

他にも、心に響いた歌はたくさんある。
メロディが、そして歌詞が、人生を彩ってくれた。
音楽のある人生とない人生、天秤にかけるまでもなく、
まさに天国と地獄、生きながらにして至福の世界に浸れる。
音と言葉の組み合わせが、こんなにも人生に影響を与えるとは。
音楽で、泣いて、悩んで、立ち向かって、立ち上がった。

言葉を紡ぐのも好きだけど、本当は音に乗せて届けたい。
だって、心に響くから。カッコいいから。
音楽を作るすべての人達にエールを送りたい。
だって、その才能に救われてるから。
自分の微々たる才能で、誰かを救うことが出来るだろうか。
音を操るスキルがあればもう少しは…真面目にそんなことを考えている。

「終わりなき旅」もいいが、一番感銘を受けたのは「HERO」。
生きる自分の指針になった。
ちょうど子供が生まれたばかりの頃で、その歌詞について自分は、我が子にとってのヒーローでありたいと捉えていたのに対して、姉貴は、恋人への想いを歌っていると主張して、言い争ったことを覚えている。
今思えば、捉え方は自由でいいんだろうな。
人それぞれのヒーローがいるんだから。

もちろんこの「HERO」の歌詞にも、大好きなフレーズがある。
ライブでボーカルの桜井さんが、そのフレーズを歌いながら、堪えきれずに泣いていた。
それを見て自分も一緒に泣いていた。
あんなに感極まったライブは他にないかもしれない。
まあ、現場ではなくDVDで見たんだけど…。

他にもたくさん好きなバンドはいるけど、若かりし頃からずっと好きなままでいるのは、やっぱりミスチルとサザンかな。
今好きなアーティストにだって、少なからず彼らの影響を受けてる人達がいると思う。
でも、「終わりなき旅」や「HERO」の歌詞が唯一無二のような気がするのは…ファン目線の思い込みだろうか。
まあ、そう思っていても、何ら問題はないんだけど。

結局、1ファンのアーティスト賛辞になってしまった。
お題がこれでは仕方がない。
だって、他に何にも書きたいことが浮かばないんだから、これ以外。
最近は、Vaundyとか、風くんとか、素晴らしい音楽を作り続ける若者がどんどん出てきてるけど、自分の人生における音楽は、ここから始まったような気がする。

偉そうに言える根拠など、まるで持たない私ですが。

5/30/2024, 1:51:49 AM

「ごめんね」と言えないまま、遠く離れてしまった君へ。

ひどいこと言ってごめん。
君のお姉さんが、俺の兄貴と仲良くしてるところを見て、兄貴を取られちゃうんじゃないかって思った。
兄貴は誰のものでもないのに。

でもね、あの片田舎の町で、ずっと二人で一緒にいたんだ。
友達の家も遠かったし、兄貴と遊ぶのが一番楽しかった。
東京みたいに遊ぶ場所もあんまりないから、夏休みなんか朝から家を出て、あてもなく町をうろついてただけだけど、いろんな話をしたよ。

兄貴はいつか、東京に行きたがってた。
君達が引っ越して来る前からね。
あの町でくすぶり続けるのに耐えられなかったんだろうな。
君達がその気持ちを強くしたことは間違いないと思う。
恨み言じゃなくて、そこから兄貴の夢が動き出したんだと思う。

だから、君のお姉さんに感謝してる。
俺が言うのはおこがましいけど、兄貴の未来を切り開いてくれた感じ。
俺には出来なかったことだからね。
まあ、うん、兄貴のことだから、ほっといても一人で行動してたのかもしれないけど、背中を押してくれたのはきっと君達の存在なんだと思ってるよ。

兄貴の話ばかりになっちゃった。
君に謝りたかったから手紙を書いたのに。
あの日、
「兄貴が離れていくのは、お前らのせいだ」
なんて、バカなことを叫んだっけ。
俺、泣いてたよね。カッコ悪い。
君が「ごめんね」って謝るから、心苦しくて、帰り道で野良犬相手に、俺も「ごめんね」って謝り続けた。
バカだよね。

えーと、とにかくごめんなさい。
本当は、この町で君が元気になって、ずっといてくれたら嬉しかった。
そしたら、ちゃんと会って謝れたと思う。たぶん、きっと。
でも、ホントにこの町を、好きになって欲しかったな。
俺も、大好きなんだ。この町も、君のことも…。

この手紙を、東京にいる兄貴に送って、君に渡してもらおうかと思って書いたけど、やっぱりやめとくよ。
いつか、やっぱりちゃんと会って謝りたい。
そして、この気持ちを伝えたい。

5/28/2024, 5:23:42 PM

あの夏、草いきれ、チャリ漕いで、
町のはずれの駄菓子屋まで。
兄貴に奢ってもらったアイスを食べながら、
「今日はどうする?」って空を見上げる。

田んぼのあぜ道をあてもなくうろついて、
ポンプ小屋の陰で一休み。
駄菓子屋で買った魚肉ソーセージ目当てに、
いつもの野良犬がやって来る。

「あの坂の上の家にさ、東京から引っ越してきたんだって」
その家族には、ひ弱そうな姉妹がいた。
天気のイイ日に傘をさして歩く。
「お前のクラスに来るかもしれないぞ」
鼻をこすりながら、気のない返事をする。

兄貴の勘は当たった。
妹の方が俺のクラスに、そして姉の方は兄貴のクラスに。
ガラス細工のような女の子だった。
空気感の違う彼女は俺達に馴染めずに、
夏の終わりの教室で浮いていた。
半袖シャツの俺達に紛れて、
まったく肌を見せないような長袖ブラウスと手袋。

ひぐらしの鳴く頃に、
ポンプ小屋の陰で話す、姉妹の姉の方と兄貴を何度か見た。
俺は仕方なく、ちょっと離れたところで野良犬と戯れた。
兄貴を取られるような気がして、ムカついて、
妹に意地悪をしたこともあった。
小さい声で「ごめんね」と言われて、自己嫌悪に陥る。

「俺がさ、家を出るって言ったら、どうする?」
兄貴が久し振りにアイスを奢ってくれた。
「なんでだよ」
兄貴がチャリの後ろにあの娘を乗せて、
学校から帰る姿も何度か見た。
「なんでだよ」
兄貴は何も答えなかった。

それから数ヶ月後、あの家族が引っ越していった。
妹の方の持病が悪化して、
東京のデッカイ病院に入院することになったらしい。
療養のためにこの町に来たはずなのに、
自然の力では彼女を治せなかったってことか。
俺の自己嫌悪は消えないまま、
「ごめんね」は宙ぶらりんになる。

冬の寒さを感じ始める頃、
兄貴と駄菓子屋の前で空を見上げてた。
「今日はどうする?」
兄貴は上の空で、ずっと遠くを見つめたまま。
「最近、あのワン公の姿が見えなくてさ」
高校を出たら、東京へ行くと言い出した兄貴の、
オンボロのチャリを蹴飛ばした。
兄貴は肩を落として、「ごめんな」と呟いた。

俺にじゃなくて、あの娘に伝えて欲しい。
「ごめんね」と。
短い夏の終わりの季節に、
この町を好きになってもらうことも出来なくて。
本当は、好きになって欲しかった。
この町のことも、兄貴のことも、俺のことも。

次の夏、草いきれ、チャリ漕いで、
町のはずれの駄菓子屋まで。
去年は兄貴が奢ってくれたアイスを自分で買って、
「今日はどうする?」って自問自答する。

半袖から伸びた腕は真っ黒に焼けて、
これじゃあの娘と釣り合わないな、なんてバカなこと考えて。
大学の夏休みに、もうすぐ帰省する兄貴を心待ちにしている。

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