無垢なる人。
大空を仰ぎ、世界の平和を夢見る。
人々が安らぎ、争いのない世界で、
競い合うこともせずに微笑んでいる。
そして、悪意に飲み込まれる。
無垢なる人。
疑うことを知らず、すべてを奪われ、
生きる糧を失っても、命あることに感謝して。
誰かのためにその命を削り続けて、
短い人生をまもなく終える。
無垢なる人。
闘う術を持たず、痛みに耐え続け、
君は何を手に入れたろうか。
そこに、君の心の安らぎはあったろうか。
争いは無くならず、君が争うことを放棄しただけ。
無垢なる人。
天使、赤ん坊、飼い主に愛された犬や猫。
憧れても成り得ない存在に想いを馳せる。
それでいいじゃないか。にんげんだもの。
垢が付いても洗い流せるシャワーなら家にある。
無垢なる人。
誰かに愚かだと笑われても、愚かさを測るメジャーなどない。
世界平和を夢見るのは愚かなことかもしれないけど、
本当に世界に平和が訪れたなら、
この世界に笑顔があふれるのは、
誰も否定出来ない夢物語なんじゃないかな。
無垢にはなれない自分は、無垢でありたいとは思わない。
ただ、その存在がこの毎日を穏やかにしてくれていることを知ってる。
荒んだ世界に一滴の清き雫を、
誰かが天上から落としてくれたかのように、
地上に落ちて静かに土に染み込んでいくかのように、
その土壌から芽生え、春になり美しき花が咲き誇るかのように。
6/1/2024, 6:12:43 AM