Ryu

Open App
4/22/2024, 2:23:44 PM

満員電車で痴漢されている女子高生を助けて、ホームに降りて逃げ出そうとする男を羽交い締めにして駅員を呼んだ。
最終的には警察もやってきて、詳しい事情を説明した上で「被害者の方は?」と聞かれ周りを見回すと、女子高生と思っていた被害者がカツラを放り投げ、そこには加害者の恋人だという男が立っていた。
要するに、そーゆー二人のそーゆープレイだったらしい。
恨めしそうな目で二人に睨まれた。

…え、俺が悪いの? 二人の邪魔をしたの?
警官は、公衆の場でそのような行為は控えるように、と厳重注意して、二人を解放した。
ホームに残された三人。

「あ…なんか、すみませんでした」
とりあえず、頭を下げる。
さっきまで女子高生だったはずの男が、
「私達の愛の形に、何か問題がありますか?」
真面目な顔で訊いてくる。
「いや、そんなことは…ただ、ちょっと想定外だったもので…」
「あなたの想定内に収まるつもりはありません」
「はあ…そりゃそーですよね」

社会通念ってのは、正しいのか。
それに反していたら、非難されてしかるべきなのか。
そんなはずはない。
人は多種多様で、それぞれの持つ正しさは数限りない。
社会通念的にたとえ間違いだったとしても、あの二人が幸せの片鱗をそこに見い出すのであれば、それは他の誰にも否定することは出来ない。
ただ、家でやれ、家で。

「私達はね、誰にもバレないように、こっそりと楽しんでいるんです。あたかも本物の痴漢のように」
いや、そんなんだから他の人の目に怪しく映るんじゃ…という言葉を飲み込む。
俺が声を上げなければ、彼らは至福のまま、愛を深めていた訳だ。
人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて何とやら、だ。
いや…家でやれよ、家で。

二人が電車に乗るのを見送る。
何となく、一緒に乗るのは気が引けた。
次の電車を待って乗り込み、目的の場所へ。
永田町駅で降りて、出頭命令のあった最高裁判所へ向かう。

俺の彼女への愛の形。
それは、いかなるものにも邪魔されない、究極の愛。
ところが、国家権力に邪魔された。
ストーカー規制法に触れるという。
愛の形は十人十色じゃないのか?
本気で愛したら、ずっと一緒にいたいと思うのが当然じゃないのか?

今日の二人に出会って、社会通念的にたとえ間違いだったとしても、幸せの片鱗がそこに見い出せるのであれば、それは誰にも否定出来ないはずだと改めて思った。
もちろん、これだけの愛を注がれている彼女がそれを拒むはずがない。
人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて何とやら、だ。

この裁判が終わったら、君の家に行くから。
待っててね。

4/21/2024, 10:34:55 PM

月曜朝の不安はいつものように、心のどこかしらに居座ってる。
もう何千回も繰り返してきた月曜日。
当たり前のようにやってくる月曜日。
特に何がある訳でもない。他の曜日と何ら変わらない。
それでも、自由で楽しい週末を過ごして、たぶん昨日の夜辺りからずっと、不安の雫が心に少しずつ落ち続け、朝を迎えた今、それがいっぱいになって零れ落ちる。
そんな感じ。その雫の成分は分からない。

そんな時は、今日がいつもと変わらない普通の一日だと自分に言い聞かせる。
こんな日をもう数え切れないほど過ごしてきた。
その積み重ねで今ここにいる。
もっと積み重ねよう。もっと経験値を上げよう。
少なくとも、右も左も分からない初めての日々はもう過ぎた。
あの頃の不安に比べれば、きっとこれは幻みたいなもの。

すべてがうまくいく、とは思えなくても、すべてが何とかなる、とは思えるくらい生きてきた。
思い込みを取っ払って、まあいいかをモットーに、足るを知れば最強だ。
そうすれば、もしもまた初めての場面を迎えても何とかなる。
何とか出来るなら、これからも生きていける。

だから、今日という日も、この月曜日の朝もやり過ごそう。
ほら、いつもと変わらない満員電車。
職場に着いたら皆に挨拶して、ワクワクはしないけど、それなりにやりがいのある仕事に取り掛かろう。
その頃にはもう、今朝の不安はどこへやら。
やっぱりあれは、ただの幻なのかもしれない。

4/21/2024, 12:54:08 AM

生まれた時も、死にゆく時も、何も持たない。
手ぶらでこんにちは、手ぶらでさようならだ。
生きてる間にどれだけ推しグッズを揃えたとしても、サヨナラする時にはすべて手放すことになる。
せめて思い出くらいは持っていきたいけど、きっとどこかでリセットされて、何の記憶も持たない赤ん坊として生まれ変わるのかも。

だからって、何もいらない、とはならない。
物欲は限りなく、手放すことも忘れて手に入れ続けている。
自分がいなくなった後、遺された家族はこれの処分に困るだろうな、とか思いつつ、今日もAmazonのカートには新たな商品が増えてゆく。
注文ボタンをポチる時、ほんの少しだけ心に躊躇が浮かぶこともあるが、これを手に入れた時の喜びの方が必ず勝つ。

これが、生きるってことなんだろうな。
どれだけ完璧なアンドロイドも、趣味のコレクションは持たないだろう。
でも人間は、いろんなタイプのアンドロイドを集めたがるかもしれない。
お金に余裕があって、ガレージに何台もの車を並べている人もいる。
ほとんど乗ることのないまま、車として活躍もせずに放置されるものもあるだろう。

人間って罪深い。
だから毎日は楽しくなる。
食べて寝るだけの人生に何の意味がある?
働いてお金を稼いで、そのお金を無駄なものに使って。
いや、手に入れることに喜びを感じられるのなら、それは決して無駄ではないのかも。
使われずに放置されていても、せめて手に入れた時の喜びだけは忘れずにいたい。

とはいえ、本当に必要なのは、お金を出して買うものではないことも分かってる。
お金じゃ買えない幸せを手に入れたから、それ以外は何もいらない、という気持ちもない訳じゃないけど、やっぱり世界にはモノがあふれすぎて。
最近よく目にする中国の爆安オンラインショッピングサイトとか、どーしてこの値段でこの商品が?ってのが当たり前に並んでる。
怪しすぎて、手を出さずにいるけど。

何もいらない、そんな人生ならいらない。
欲しいもののために頑張って、手に入れて喜んで、その後それをどう扱うかはその人の自由だ。
積みゲーも積ん読もその人の自由だ。
こんなにモノがあふれた世界で、すべての人が本当に自分に必要なものしか手に入れなくなったら、きっと世界の経済は破綻するんじゃないだろうか。

「君さえいれば、他には何もいらない」なんてセリフを吐く人も、きっとそれはお金を払って手に入れた、どこぞの映画やドラマで憧れたシーンを真似しているだけだと思うしね。
たくさん手に入れて、たくさん生み出す人間でありたい。
それにしても、今回いくつの「手」が使われたことだろう。

4/20/2024, 12:25:21 AM

改めて考えると、結婚して子供も大きくなった今、見たい未来なんてそうはないことに気付いた。
とゆーか、無理に見に行かんでも、そのうちやってくるのを待てる。
強いて挙げるとすれば、自分がもういなくなったずっと先の未来だろうか。
文明が驚くほど発展して車が空を飛んでいたり、反対に核戦争が起きてフォールアウトのような世界が広がっていたり。
いずれにせよ、インパクトのある光景が見られるような気がする。

…あ、いや、嘘だった。
少し先の未来に行って、見たいものがあった。
自分が持っている銘柄の株価がどうなっているか。
…いや、嘘だった。
どの株が値上がりしているかを知れば、それで儲けることが出来る。
バック・トゥ・ザ・フューチャーのビフ並みの悪巧み。

知らない方が良かったって未来もあるだろう。
案外自分が早死にしてるとか、大切な存在を失くしてるとか。
その時まで知らないままでいたい。
例えば10年後でも、もう飼い猫はいなくなっているかもしれない。
それだけでなく、家族の誰かが欠けていたら?
そこまでの10年間を、冷静に過ごせる自信がない。

未来なんて見れなくていい、どうせこの先向かっていくから。
過去なんて戻れなくていい、どうせ一度は通った道だから。
悪巧みを除けば、そんなところか。
人間はきっと、今を生きるので精一杯。
そこに過去や未来の情報が入ってきたら、オーバーフローしそうな気がする。
マーティーはよく頑張った。

最近、VRゲームが楽しくて日々やっているんだが、いつの日かこの機器にタイムリープ機能を付けて、これを装着したら過去や未来が垣間見えるみたいな時代が来るかもしれないな。
そしたら、これを作った企業はかなり儲かるに違いない。
今から、その会社の株を大量に買い込んでおけば…。
いつか来る未来のために、やっぱり今を頑張らないとね。

4/18/2024, 3:08:50 PM

まずはハローワークに行って、自分に見合った条件の仕事を…無職の世界。

私腹を肥やすことばっかり考えて、国民の生活を守ろうなんてこれっぽっちも…汚職の世界。

有名なシェフが作ったらしいから、そりゃ高級な食材と豪華なビジュアルで…美食の世界。

あれ?このアーティストの名前、この漢字じゃないよね?確かに似てるけど…誤植の世界。

着るもんと食うもんは何とかなってるけど、住むとこはなかなか手に入んなくてね…衣食の世界。

生きてても何も楽しいことがなくて、何かに感動したり、思い悩むことすらない…無色の世界。

まずは働こう。
「人間の幸せは、愛されること、褒められること、役に立つこと、人に必要とされること。愛されること以外は、働いてこそ得られる」
てな言葉もある。
そして、世の中の理不尽に声を上げて、美味しいものをたくさん食べて、大好きな推しを作って、足るを知れば、人生に色がつく。
なかなか強引だが、あながち間違ってもいないような。

…ええ、行き当たりばったりで書きましたとも。

Next