せの

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5/11/2026, 7:13:15 PM

大抵のことは要領よくこなせる自信があった
勉強もそこそこに、空気を読んで立ち回るのもお手のもの……まあ、詰めが甘いのはご愛嬌ってことで

とにかく、器用だって自覚はあった
それなのにアイツのことになると何も上手くいかない
余裕ぶった態度はどこへやら、視線が合うだけで心臓がうるさくて、喉の奥が熱い
オレは顔を真っ赤にしながら愛を叫ぶ

「お前が好きだって言ってんの!」

こんなのマジで柄じゃねーのに!
振り回されてる自分に苛立ちながらも、アイツの驚いた顔を見たら、もう後に引く気なんてこれっぽっちも湧いてこなかった

5/10/2026, 2:44:22 PM

春の陽だまりを縫うように、一頭のモンシロチョウがひらひらと舞っている
その白さは、まるで太陽の光をそのまま切り取って形にしたかのようで、何も持たず、ただ風に身を任せて揺れる姿を見つめていた
「君の心に触れたい」なんて願うのは、贅沢すぎるだろうか?
指の間をすり抜けていく光のように、その羽ばたきはあまりに軽やかで儚い
ただ、この温かな孤独の中で、君の影を追い続けることだけが僕に許された光だった

5/9/2026, 2:14:29 PM

他愛のない冗談で笑い合い、こっそりと授業を抜け出しては結局バレて怒られる
そんな何気ない日常の断片が胸の奥に深く刻まれていく感じがした
「何ぼーっとしてんの?」
そんなことを考えていると、彼が呆れたように笑い、私の額を軽く小突いた
「痛い」
「ははっ!」
可笑しそうに笑う彼や、その指先の感触、放課後の廊下に伸びる二人の影
特別ではない普通が、どうしようもなく愛おしい
たとえ時間が何十年と過ぎ去っても、この柔らかな空気と彼の温度を私はきっと忘れられない、いつまでも

5/8/2026, 7:23:48 PM

一年前の私は、今の自分をきっと想像することはできなかっただろう
見慣れたはずの通学路も、当時はただの移動経路でしかなかった
目標もなく、何かに熱中することもなく、ただ淡々と命を少しずつ消費していくだけの日々
しかし、予期せぬ出会いや、ふと手にした一冊の本が、モノクロだった景色に少しずつ彩りを添えていく
積み重なった時間は無意識のうちに価値観を変えていく
今の私が抱くささやかな希望も、一年前の自分にはまだ、名前のない感情の欠片だったはずだ

5/7/2026, 6:12:51 PM

「私の住んでたところでは10月30日は初恋の日だったんだよ」と隣に座る彼女が言う
オレは「へー、そんな日があんの?」と鼻で笑った
けれど、ふと、彼女の顔を見た瞬間にその余裕は簡単に崩れ去る
顔が熱くなって、ドキドキと心臓が警鐘を鳴らす
こんなの、嫌でも自覚してしまう
「初恋ね……」
自嘲気味に呟いたその独り言は、秋の穏やかな風に消えていった

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