せの

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5/21/2026, 12:23:32 PM

「心は透明で、本心は自分にしか分からないと思うんだ」
君はそう言いながら雨上がりの水たまりをローファーの先で弾いた
バカみたいにお人好しなくせに、肝心な中身は誰にも見せないし、触れさせようとしない
そんなふとした時に感じる境界線が、たまらなく寂しかった
「じゃあ、オレの心も分かんない?」
そう問いかけると、君は少しだけ困ったように睫毛を揺らす
透明な壁の向こう側で、君が本当はどんな思いを抱えているのかオレは知りたかった
暴いてしまいたいのに、この関係を壊すのが怖くて、今日も何もできずにただ隣を歩いている

5/20/2026, 11:17:11 AM

「理想のあなた、って言われたらどんな姿をイメージする?」
「何?その小学生の宿題みたいな話題。てか、そんなこと急に聞かれても困るんですけど〜」
私の突拍子もない問いに、彼は少し大袈裟に肩をすくめて笑った
「理想の自分ねぇ……今より何でも器用にこなせる大人なオレ、とか?」
少し考えてからキメ顔でそう返してきた彼に、私は「君らしいね」と笑う
……私の理想は、今こうして隣で軽口を叩いてくれる、そのままの君だなんて恥ずかしくて言えないけれど

5/19/2026, 1:53:08 PM

「じゃあね」の一言と眩しい光
アイツは最後までいつも通りの笑顔で、オレの目の前から消えていった
異世界から来たっていう割に帰る時は案外あっけなかったな、なんて思った
好きだとか、行くなとか、なんて言って引き留めようとあんなに心の中で思っていたのに、喉まで出かかった本音を言葉にできないまま見送った自分が最高にダサくて嫌になる
別れってこんなに簡単にできてしまうものなんだと、オレは自嘲気味に笑った
もう二度と味わえない、胸焼けするほど甘い思い出だけを残して

5/18/2026, 11:45:06 PM

「今日も何も思い出せなさそうですか?」
とある村の寂れた駐在所
いつも優しく迎え入れてくれる、他所からやって来たお巡りさん
人付き合いの悪いこの村にいても彼は笑顔を絶やさない

本当のことは、何も言えません
記憶がないなんて嘘も、私の正体も、この村のことも
けれど、彼が私の名前を呼んでくれるその瞬間だけは、自分がただの女の子になれたような気がするのです
いつか終わりが来る嘘だとしても、今はただ、この温もりに溺れていたいのでした

これは人間を好きになってしまったある化け猫の恋物語

5/17/2026, 10:50:58 PM

甘い炭酸水にチョコレート
それと、チェリー味のキャンディ
味変にはお気に入りのポテトチップス
君と過ごす時間は、なんて言うか糖度が高い
「ね、これちょーだい」
不意に顔を近づけて、私の持つお菓子を悪びれもなく口へと運ぶ
そんな、なんてことのない仕草の一つ一つが私の胸の奥をじわじわと侵食していくような感覚に陥る
君との思い出は、胸焼けしそうなくらいに甘い
呆れるほど甘ったるくて、もう他の味じゃ満足できそうにないのが最近の悩みだったりする

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