22時17分

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2/12/2025, 9:54:02 AM

ココロ。

なんでカタカナなんだよ。
以前出てきた「ココロオドル」もそうなんだけどさ。
誰もツッコまないから書くわ。
なんでカタカナなんだよ。
スライムで言うところのスライムベスかよ。
ベスでいいんだっけ?
忘れた。
調べる気力もない。
違う色だと言いたい。亜種だと言いたい。
オリジナル表記が欲しかった。
心だと思っていたら、ココロを手に入れてしまった。
違う、そうじゃない。
お前じゃない。お呼びでない。
また今度、お越しやす。
このままリリースしたい気持ち……を留めて、手のひらを広げた。指先が外側を跳ね除けた。指紋を確認するように、手に入れたものをみた。
………。
そういえば「ココロ」が踊るから「ココロオドル」になったんだよな。
考えてみるとちょっと興味深い。
進化したみたいだ。スライムよりポケモンみたいな。
ゲームが違った。ゲームが違えばゲーム会社も違う。
生まれも育ちも違う。長野県とドイツ村くらい違う。
そう考えたらカタカナで書いた意味を欲しがるようになった。
何故だろう、なぜだろう。
ほら、この通り。
表記が違った。
書き方が違うだけで、読み手に与える印象が違う。
ひらがなで書いたほうが読みやすく、やわらかな印象がある。
なら、カタカナで書いたら?
心をココロと書いたら、どのような意味があるのか。
考えた。考えた。
けれども答えなんてそう簡単には見つからず、いつの間にか夜になっていた。

インスピレーションをインストール。
哲学的に摘出された何かってことにして、次のお題を楽しみにした。

2/11/2025, 9:18:24 AM

星に願って。

どこかと問われると不明な子供の頃。
星に熱中していた。
唯一一筆書きのできる便利な道具だった。
絵心のない者だったので、教室の床に敷いた模造紙の隅をそれで汚していた。
模造紙の中心部は人が集っていて、そこが最も中央集権的だった。
任天堂やスクエアの版権を無断使用していた。
トレスのような、パクリのような。そんなキャラクターに他の人は夢中だった。
そっちを書いたほうが他にウケるからだろう。絵を描けるとは、そのような分かりやすいもののほうが称賛される頃だった。一筆書きができる星なんて努力義務のない、誰でも書けるからと小石のようにされていた。

一応注釈として書き留めておけば、当時はスマホなどないようなものであり、タブレット端末などもっての外。
携帯電話も携帯するほどコンパクトなものではなく、黒電話の大きさそのままに、肩から掛けてバッグのようにしていた。そこまでのものではなかったが、そのような時代も今は昔と忘れかけている。

小さくドット絵となったガラケーの画面に映して、見よう見真似でモノを書いていた。密集していた。人が集まっていたからだ。パーティスモーカーのように、空気に煽られて連想された物も書いていた。マリオだったらキノコ。キノコなら書ける、という。
そこからずっと離れたところ。隙間の何もない空き地に、雑居ビルを建てるような感じで、星を書いているのだ。
なんだか思い出したくてこれを思い出したわけではないのだが、思い出してしまった。
模造紙の端は地方だとすれば、星空は地方のほうがよく見えるよなっていうことを、今になって思った。
空を見上げた。曇り空。
でも星は隠れているだけ。
願うのは自由。書くのも自由。

2/10/2025, 9:13:36 AM

君の背中をキャンバスに見立てて、未来予報図を描くことにした。
「どうして背中にかくの?」
「ふふっ、ひみつー」
「何をかいてるの?」
「それもひみつー」

二人は中学生で、学年が違う。
性別も違う、年齢も違う、背格好も趣味も性格も違った。けれども美術室で談笑していた。
友達以上恋人未満。けれど、家族かといえば、微妙。
夜、二人はお風呂に入った。誕生日も出生地も違うが、家族の一員であった。
母のほうの連れ子だった。父子家庭のスポンジに泡をつけて、ゴシゴシ。
それで身体についた黒い汚れが洗い流したことで、広い背中が「ああ」と納得したようだった。

「なるほど、そういうことか」
「でしょ〜?」
「で、今度は何を書くの?」
「それは学校までのお楽しみー」

君は鈍感なほうだったから、詳細は分からなかっただろう。美術部同士だから、未来予報図だとそう思い込んでしまった。そうでもおかしくない。実際は違う。
未来予報図という名の文字を書いていた。
今から思えば気づいてもよかったのに。
水彩筆ではなくて、いつも黒ペンを持っていた。
書き初めのようにペン先をつけ、動かす。肩甲骨、背骨、首筋。骨格の盛り上がりをペン先で感じる。こそばゆくてかなわないと背中は言っている。
でも、我慢している。直接言えば済むことなのに。

どうして、そんな回りくどいことをしたのか。
といえば、そういうタイプのスキンシップだった。
思春期なんてそんなものだ。直接言えたらこんな目に遭っていない。
君はいつも、とめ・はね、に気をつけていた。
美術にそんなものはないが芸術にはあるのかもしれない。正直絵心よりも筆心に長けていた。
本当は書道部に心は傾いていたのに、身体だけこちらに来たらしい。わざわざこちらの部室に来て、それで転部までしてきたのだ。
だから、先輩と後輩から家に帰って家族に戻ったとき、少し恥ずかしくなる。それで、いつも君の背中を綺麗にした。日を改めて先輩と後輩になったら、本音を部室で梱包して、浴室で開封する。
大人になってもそこまで変わらない。むしろ……

婚姻届のサインをした時、それを思い出した。
その夜、君の背中に尋ねてみた。ペンで。
「背中にかいたこと覚えてる?」
君は答えた、ペンで。
背中に書かれた。鈍感だったのは自分のようだ。
鏡で確認してみると鏡文字で見やすかった。
「愛してるよ」
文字での会話は縺れたけれど、わざわざ確認しなくてもよい事項だった。
あの時気づいてもよかったのに、と思っていたのは当時の自分だった。今の自分は違う気持ちだ。気づいていたかもしれない。気づいていて、それを背中でひた隠しにしていたのかも――今となってはどちらでもいいことだ。
今では君と堂々と、また喋々喃々と。
このように囁きあって、笑いあっているんだから。

2/9/2025, 9:56:37 AM

遠く……、霞んだ色だった。
京葉線直通の東京行きの電車だった。
5時半くらいの時刻だったか。
日曜なのに埼玉県内だと混雑していて、千葉県内に入ると人を下ろしていく。
私は東側の席に座っていた。
目の前は西で、後ろは東。

西の向こう側に沈もうとしている冬の太陽があった。
横一辺の綺麗な地平線は望めなかったが、それでも夕焼けの断片が、市街地の雑居ビル群の合間から見て取れた。オレンジ色の鋭い光が、目の前の席の、座っている人の側頭部を焼こうとするように、それはとても赤かった。
トンネルを潜るまで、赤橙色の夕陽が遠くにあった。
東京に沈もうとしているから、この電車は東京行きなのだろう。そう思いながら、高度を下げて地中に潜っていく。車内は暗くなった。

2/8/2025, 9:10:24 AM

誰も知らない秘密。
毎日、しろ◯んに押しつぶされて眠っています。
ぐっすりです。
あれ、秘密じゃなかった?

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