星に願って。
どこかと問われると不明な子供の頃。
星に熱中していた。
唯一一筆書きのできる便利な道具だった。
絵心のない者だったので、教室の床に敷いた模造紙の隅をそれで汚していた。
模造紙の中心部は人が集っていて、そこが最も中央集権的だった。
任天堂やスクエアの版権を無断使用していた。
トレスのような、パクリのような。そんなキャラクターに他の人は夢中だった。
そっちを書いたほうが他にウケるからだろう。絵を描けるとは、そのような分かりやすいもののほうが称賛される頃だった。一筆書きができる星なんて努力義務のない、誰でも書けるからと小石のようにされていた。
一応注釈として書き留めておけば、当時はスマホなどないようなものであり、タブレット端末などもっての外。
携帯電話も携帯するほどコンパクトなものではなく、黒電話の大きさそのままに、肩から掛けてバッグのようにしていた。そこまでのものではなかったが、そのような時代も今は昔と忘れかけている。
小さくドット絵となったガラケーの画面に映して、見よう見真似でモノを書いていた。密集していた。人が集まっていたからだ。パーティスモーカーのように、空気に煽られて連想された物も書いていた。マリオだったらキノコ。キノコなら書ける、という。
そこからずっと離れたところ。隙間の何もない空き地に、雑居ビルを建てるような感じで、星を書いているのだ。
なんだか思い出したくてこれを思い出したわけではないのだが、思い出してしまった。
模造紙の端は地方だとすれば、星空は地方のほうがよく見えるよなっていうことを、今になって思った。
空を見上げた。曇り空。
でも星は隠れているだけ。
願うのは自由。書くのも自由。
2/11/2025, 9:18:24 AM