クリスタル。
ファンタジーに出てくるクリスタルって、どうやってできるの? 石油みたいなノリなの?
カッと強い陽光に夏の匂いを感じさせた。
梅雨前線を砕くとは、きっと前世は瓦割りのできる有段者だったのだろう。天候にも体育会系の色味がある。
梅雨前線を砕くとか、発想になかった。
梅雨明けがここまで早いと、雨降ったっけ? となってしまう。まあ、忘れてしまう頃にガーッとゲリラをチョイスされるだろう。きっとそうだ、きっとそうに違いない。
そういえば、七月なんたらの日になんか予言があるらしいのだが。検索欄を打ち込む前に、なんかサジェストされたものが薄文字で勝手に入っている。それが気に食わない。
予報も予想も予言も。あまり当てにならない世の中だ。予言が外れたら、予言を信じた哀れな子羊を焚べ、夏の匂いを感じさせるほど炎上してくれたまえ。
大丈夫だ、安心しろ。火消しについては、七夕で上書きしてくれるさ。きっとそうだ、きっとそうに違いない。
・青く、深く
毎週金曜日の退勤後、都内を散策路としている。
秋葉原、新御茶ノ水、上野、田端、新橋……
この羅列通り、山手線の東側が選ばれやすい。
先々週は、神田駅で途中下車。ぶらりと歩き、将門塚らへんを通り、気の向くまま。
皇居外苑へたどり着いた。
ここはいつも走っている人を見かける。平日の夜になりゆく時間帯だというのに。志の強いランナーは、どこからどこへと走るのだろう。
僕は、会社員の格好で、カバンを持って、歩いている。夏の気配が近づいている。汗を吸い、汗を拭った。
しかし、昼に比べたらそうでもない。
日没前の、暗くなりつつある都会のビル群。
南下中。小さく見える霞が関のビル群が、煌々と灯っている。横に目を向けると、皇居を囲むお堀の溜め池があって、表面がゆらゆらしていた。ビル群の背丈が上下反対向きになって、労働する意味の含んだ光が、暗い夜の堀の先に溶けていく。
青く、深く、溶けていく。思わず見惚れて、スマホを向ける。撮った写真を眺めた。ロウソクの炎のように、光が滲んで夜の一部を焼いていた。
・カーテン(2回目)
かぶりだこれ。と思って、過去のものを見たら、お説教をしていた。
締め切り近くになるとお題を取っておく人たちが現れる。なんだ君たち、お題だけ書いておいて、全然書いてないじゃないか。「書く習慣」だと銘打っているのに、君たちは書く習慣がなってない!そんなことを書いていた。
それからどうやってカーテンに紐付かせるのか、気になって読んだら、「自分は自分、他人は他人だ。カーテンを見習え。いつもふわりと揺れている」と書いてあった。
最近のカーテンの様子だが、春は花粉、夏は暑い。秋も暑い。冬は締め切っているので、ふわりと揺れているところを目撃していない。
しかしながら、ずっと閉め切ったままだと室内の空気が淀んでしまう感じがするので、換気のためだ、仕方ない。といって、時々窓を開けることにした。
すると、風を感じる。風鈴よりも風鈴に近い、揺れ方をする。音のしない涼風。
風鈴のように、涼しい音を掻き鳴らす――なんて、ぜいたくだ。と氷入りの麦茶を見て思った。
夏の気配。
(すでに夏です……)
・まだ見ぬ世界へ!
お題とはずれるかもしれないが、脳みその中身を解き明かしたいとしたら、必ず立ちふさがるのは「忘却」であると思う。
脳内世界は、想像力豊かなものを包容して、最後にはどこかへ連れ去ってしまうのだ。
僕たちがまだ見ぬ世界。きっとその先を言語化したのが宗教的要素――神の創造だったのではないかと。
・最後の声
抽象的なお題である。
なんにも思いつかない。もしかして声として発していないと思えてきた。声ならぬ声。意識のない声。記憶にない声。生気のない声?
健康で文化的で最低限度の生活を、という。
最高裁の裁判が話題となった。
税金を納めている身としては何とも言えない結果となった。日本を日本人として生きられるのは、ぜいたくなんだと思わないとやっていけない人が多いようだ。
苦しいという最後の声、それは、自分を発すること。
それまでは、だらけていよう。心に誓う。