22時17分

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4/2/2025, 12:19:41 AM

はじめまして。

まだTwitterがTwitterだった時代。どこぞの金持ちが「名をXと改める」と宣言した。
今も昔も当時も、Twitterは読み専だったので、「高輪ゲートウェイ駅みたいなものか」と思っていた。
数年前、元号を令和に改元したり、引きこもりのことを「こもりびと」と名を変える自治体もあったから、世の中名前を変えたがる年頃なのだろう。
寂れた郊外のことをニュータウンと呼称して、住宅や駅前建物を刷新。新たな人を呼び込む。
見かけだけ変わっただけで根本は変わらない。けれど、世の中は良い意味でも悪い意味でも動き出した。
コロナ禍、デジタル化。

あの時は「X」になろうとは、思っていなかったなと思う。今も慣れていないので、Twitterっていうことにします。
そう諦めて、Xくんについて調べてみると、Z世代とかはちゃんとXって改称したものを言うようにしているというし、逆にTwitterという名前を使い続ける民には遠くをみるような目を投げているという。

(あとで)

4/1/2025, 9:52:21 AM

またね!――と、明るく別れを告げる時は何かしらの理由が映り込む。決して言葉にできない強い意志か、あるいは口封じに遭わされたか。
後者のほうの悪い側面。そう思わないような世の中になればよいのにな、と想いつつ、今も発生し続ける目下の泡影に、俯く女性と黒いカゲ。

3/31/2025, 9:59:25 AM

春風とともに、ドアを叩く音がした。
トン、トン、トントン。
場所は玄関。木でできているから、軽いノックが音に乗る。
木こりの斧で叩かれたようだった。絵本のなかにだけ存在するおもちゃではない。まるで、本物そっくり。野生のリスでも狩ったのだろうか。だから、中にいた居住者は、身を竦める。

トン、トン。トントン。

不気味なノックは、なかなか不在着信にならなかった。
自分が彫刻になるように、仏に祈った。宗教なんて、身になじまぬ観念。生まれてはじめて教わった、名の知らぬ母からの記憶、入れ知恵。
絶妙な静けさ。ノックのみ響き渡る空間。

誰だ……?
と、異母妹は目線をあげた。手には血糊のついた包丁があり、氷柱のように鋭い。その時ほど、肝に据わった女性というのは、他に漏れないものだろう。

異母妹は血まみれで、異母姉は絶命。
数時間前までかりそめの家族だったものだ。今は、冷たいドライアイスのお世話になっている。細かく切り刻んでやろうとも思ったが、予定がクルッと変わった。

しばらく、音が止んだ。
不幸中の幸い。鍵を掛け、ドアロックをしてから凶行に及んだのだ。しかし、ここからどうすれば良い?

「ねぇ、どうすればいいと思う? ねぇ、ねぇ、ねぇ……」

春風とともに、振り下ろす凶器。
冬風とともに、吹き上げる狂気。
大家を携え、警察がドアを開けるまで、三十分以上も掛かってしまった。

「春香さん! 大丈……くっ、遅かったか!」
どうやら二人は天使になったようだ。玄関より吹いた春風とともに神聖なる羽根が生え、尊い宇宙へ羽ばたく。
「春香ぁ! はるかぁぁ!」
異母姉の名前だけを叫ぶ、母親を残して。

3/30/2025, 7:55:03 AM

涙に影は出来るのか。
出来ない。だから、読み取るのは難しい。

人は、涙を通して何かを読み取るのではなく、顔を通して読み解くのだろう。あの、白黒の縞模様の、バーコードから、数字の羅列的な暗号資産を、光を当てて読む。
泣き顔のまま、グミを噛み締めるように。口を上げ、歯を見せ、零れ落ちる動機をみせ、おかしみを見せ。
だから、涙は弱々しい武器になる。
つながりを感じ取る、Communication要素の一つ。

3/28/2025, 9:41:34 AM

春爛漫。

花が咲き乱れる様子の言葉だが、季節柄圧倒的に桜に対して使われるようだ。
「爛」は、爛れると書けるように、湿疹のように赤く、細かい所を表現しているらしい。逆に痛々しいとも読み取れる。

春は、花が咲き乱れて白紙に色を付けるような芸術的タッチ。それが桜並木として敢然と続くのである。風に煽られ、靡き、そしてたなびく。余波の一部が空を舞い、ひらりと剥がれていく桜のトンネル。

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