・青く、深く
毎週金曜日の退勤後、都内を散策路としている。
秋葉原、新御茶ノ水、上野、田端、新橋……
この羅列通り、山手線の東側が選ばれやすい。
先々週は、神田駅で途中下車。ぶらりと歩き、将門塚らへんを通り、気の向くまま。
皇居外苑へたどり着いた。
ここはいつも走っている人を見かける。平日の夜になりゆく時間帯だというのに。志の強いランナーは、どこからどこへと走るのだろう。
僕は、会社員の格好で、カバンを持って、歩いている。夏の気配が近づいている。汗を吸い、汗を拭った。
しかし、昼に比べたらそうでもない。
日没前の、暗くなりつつある都会のビル群。
南下中。小さく見える霞が関のビル群が、煌々と灯っている。横に目を向けると、皇居を囲むお堀の溜め池があって、表面がゆらゆらしていた。ビル群の背丈が上下反対向きになって、労働する意味の含んだ光が、暗い夜の堀の先に溶けていく。
青く、深く、溶けていく。思わず見惚れて、スマホを向ける。撮った写真を眺めた。ロウソクの炎のように、光が滲んで夜の一部を焼いていた。
・カーテン(2回目)
かぶりだこれ。と思って、過去のものを見たら、お説教をしていた。
締め切り近くになるとお題を取っておく人たちが現れる。なんだ君たち、お題だけ書いておいて、全然書いてないじゃないか。「書く習慣」だと銘打っているのに、君たちは書く習慣がなってない!そんなことを書いていた。
それからどうやってカーテンに紐付かせるのか、気になって読んだら、「自分は自分、他人は他人だ。カーテンを見習え。いつもふわりと揺れている」と書いてあった。
最近のカーテンの様子だが、春は花粉、夏は暑い。秋も暑い。冬は締め切っているので、ふわりと揺れているところを目撃していない。
しかしながら、ずっと閉め切ったままだと室内の空気が淀んでしまう感じがするので、換気のためだ、仕方ない。といって、時々窓を開けることにした。
すると、風を感じる。風鈴よりも風鈴に近い、揺れ方をする。音のしない涼風。
風鈴のように、涼しい音を掻き鳴らす――なんて、ぜいたくだ。と氷入りの麦茶を見て思った。
6/30/2025, 10:03:45 AM