22時17分

Open App
10/9/2024, 9:48:15 AM

束の間の休息。
それを手に入れるために階段を下った。
うちの建物の三階は、昼間は社食スペースとして大活躍しているが、午後になると賑やかさは激減。混雑率は1%程度になる。

僕はその1%に混じりに来た。
ここに来る人は、サボりに来てるのか、あるいは食べ損なった昼食(コンビニ弁)を食べている人などだ。
社内ニートの人もいるかも知れないよねー、知らんけど。

三階に到着。
同フロアにあるコンビニに寄ることにした。
およそ230円程度のお買い物をして、のんびりな席を探す。テーブル席がいいなあ……。ソファもふっかふかがいいなあ。

目当ての席があったので、そこにしよう。
腰を下ろそうとする。
ふっかふかに身体を預ける。
温泉に入るときみたい。あー、って言っちゃう。

テーブルの上に、先ほどコンビニで買ってきた戦利品を投げ出して、目の前の大きな窓を眺める。
天井の隅から床にたどり着くまで、全部が窓ガラスだ。
その窓に映っているのは、都内某所のメインストリート。左右に迫ってくる高層ビル群に挟まれた高架橋の首都高速道路。その下には一般道路があるはずだ。見えないけど。
ちらっと、信号機の赤い色が見えた。今は停止信号で、もう少ししたら出発進行!

そんな三階からの景色をみながら、シュークリームを食べちゃうのだ!

10/8/2024, 9:37:45 AM

力を込めて、スロープを登っていた。
この地方に、秋雨と秋風がやって来た。
昨日よりかなり肌寒い。天気アプリを見ると最高気温21℃、最低は……16℃である。
これは結構なものかな。
衣替えなんてしていないものだから、タンスを漁って一枚羽織ってきた。水色の薄いパーカーの下は、灰色の半袖。
急いで電車の中に逃げ込むと、ぬくもりを感じた。

朝の通勤電車の窓を叩く極小の雨粒。
そのひっかき跡を見て、折りたたみ傘を開く準備をした。
改札から出て、通勤の最寄り駅より南口。傘を開く。
雨脚はなんてことはなく、そのまま職場の玄関口へ。
そこで、力を込めてスロープを登っていた人がいた。

あっ、ヤクルトの人だ。
と素直に思った。
両手を前に、拳を出すようにして、ヤクルトカー(?)を押している。たった四段の段差のために設けられた斜面を、一人で頑張っている。
時間にして数秒のキョリ。
登ったあとに、警備員の人に「ここで雨宿りしますね」的なことを言っていた。
いつもは四段の段差を登らず、植木の木陰のところで待っていたような気がした。
しかし、今日は雨模様だから、わざわざスロープを登って雨宿りしにしたのだろうか。

そんな数秒のことを思い出しながら、こんなアプリにネタとして出す。
書いている時の帰りの通勤電車。窓はちょっとばかし曇っていた。そんなに外は寒いのかな。
ヤクルトのように、新鮮な風が打ち付ける。
夜の温度低下の裏付け。

10/7/2024, 9:54:01 AM

過ぎた日を想うためには、現在の時間を消費することになる。ただ、これだとつまんなすぎるなあ、と思ってしまったので、別のことを書くことにする。

例えば「過ぎた日」って何なんだろう。
まるで、過ぎた日は頭のなかにいつまでも記憶として残存しているようだと思ってしまう。
いつでも取り出せるタンス貯金のようなもの。
頭のなかに滞納された記憶をなぞり書きして幻想を生み出す。果たしてそうかな? それこそが幻想なきがした。

過去の時間はおろか、そもそも記憶なんて実はなくて、「過ぎた日を想う」ために、記憶と呼ばれる作り物を直前に生成しているのでは?
なんて思った。短期記憶も長期記憶も実はなくて、生成しているだけ。
本物の時間軸にはタイムマシンが無ければ戻ることができない。そのことを脳は結論付けているから、偽物を作ることにした。現代にパブロ・ピカソを召喚できないように、過去の自分も召喚できやしない。

若い頃は過去の時間を鮮明に覚えているような錯覚を覚え、年を取るごとに色褪せていく。
生成能力と再現能力が低下しているから、記憶は時間とともに劣化していくと思っている。セピア色になっていくと思っている。そのほうが理解しやすいから。

普段から生成に長けている者たちだと、いつも同じ過去の時間を想いたいと思う。
就活失敗や受験失敗した若者、挫折経験の末の引きこもり。
そいつらの目の前は真っ黒に塗りつぶされているからか、同じ時間・同じ量・同じ内容、いつも同じものを生成するので、脳はいずれマニュアル化し、慣れてしまう。
その単純化したものを、人は記憶と呼び、単純を通り過ぎて固着化したものを、人は過ぎた日の思い出と呼ぶのだろう。

10/6/2024, 9:55:33 AM

星座とは、夜空上における星たちを繋げていって形にしたもの。
その見かけ上の配置から連想していって、人、神、動物、それから物語を作り上げていった。
星座は、いわば二次創作と読んでもいいのかもしれない。

神が作ったかは知らないが、元々存在していた謎の浮遊する石ころに、地球上の高次脳たる人間があとから付加価値を付けたものだ。
ただの星はただの星でならず、次第に恒星、衛星、星雲などと星に性格区分も設けていく。
かなり一方的に突きつけたもので、フレーバーテキストを組み込むようなことをして、昔の人は時間をかけて遊んでいたのだ。

時代の流れに従い、ただ星図として夜空を眺めるものから、より現実世界に組み入れられることになっていく。
星座占いから方角的な要素、天文学、恒星の配置と宇宙線の採取……。
宇宙から取り入れられる光について、着実に研究が進んだ。
まずは月面着陸を目指し、着陸船を作っては打ち上げて、ということをして、ついにアメリカの偉い人が月面着陸に成功することができた。
これを足がかりとして、宇宙開発は事業となり、先進国の一部は国主導でそれに取り組むようになるまでとなった。

現在、宇宙について3%くらい分かったようだが、その代わりにスペースデブリ(宇宙ゴミ)が増えて問題となっているようだ。
あと数十年もすれば、粉々になったゴミに対し、点と点をつなげて星座を作るようになるかもしれない。ゴミの処分費用に難癖をつけ始めるように宇宙ゴミに指を指して線つなぎをするのだ。
星座ならぬ「ゴミ座」の観測者は地上ではない人々。
金や権力を手中に収め、今なお宇宙にゴミを作る者たちだ。

星の数ほど増えてしまえば、人間の手に負えない。
おそらく数億年前に誰かが作った数多の星は、そうやって不法投棄されてなお放置され、浮遊する謎の物体となった成れの果てだ。
その過程を知らない、高知能生命体が二次創作を行う。
高知能生命体の作った憲法により、これを放棄する。
放棄して、二次創作に夢中になる。
そうなればますますゴミは増えていくばかりだが、意外と邪魔者扱いされないと思う。
二次創作者は、当事者ではなく、遠くから野次を飛ばしているから。

10/5/2024, 9:54:17 AM

「踊りませんか?」

犯罪者と一般人。そして二人は初対面。
面会室の窓越しに、一般人がこのような言葉を投げかけた。

一般人のほうが、一方的な面会を持ちかけたようだ。
弁護士は何をやっている、こんなよくわからない文言を言って、俺のことを弄ぶのか。
ああ、所詮は国選弁護士。必要最低限のことしかやってくれない。そんなのは当たり前か。

当然、犯罪者には手錠がかけられている。
両手を差し出すようにして、身体の手前にぶら下げている。踊りとは、身体が自由でなければそうなれない。
中世風味の物語で、砂漠のオアシスを転々とする踊り子のようにでなければならない。

「どういうことだ」
「いえ、失礼。こちらの話です」
一般人は奇妙な笑みをしながら座り続けた。
「たしかにあなたは罪を犯しました。妻を殺された腹いせに、復讐心を悪魔に売った。本人のみならず、その妻、子供、夜泣き癖のある赤子さえも手にかけ、一家を惨殺した。無期懲役は免れません」
「……」
「と、世間ではそう思っている。本当は違うのでしょう?」

一般人の正体は、早期退職した警察官だった。
どうやら彼女のことが知りたくてこちらに来たのだ。
犯罪者は無神経に黙秘する。しかし、心のうちはそうではない。つまらない現在から華やかな過去へ。

「協力してくれませんか。冤罪をなくし、真犯人を逮捕するために」
「違う、俺が全部やったんだ。リサは関係ない!」
「あなたは彼女の操り人形だ。自ら糸を切らなければ、自分の人生は取り戻すことなく、踊るように生きることができない」
「それが本望だからここにいる、ということがわからないのか」

Next