ミツ

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4/22/2024, 7:43:36 AM

※意味分かんないかもしれないです

「温かい」

そう言って彼の頬を撫でる。

彼の白くて綺麗な肌は触り心地が良い。

サラサラとした茶色の髪。

ぷっくりしていて真っ赤な色気のある唇。

「目を開けてよ」

しかし彼は一向に目を開けてくれない。

「なんで?嫌なの?はるくんは好きって言ってくれたじゃん、ねぇ、なんでよ」

彼の頬に私の涙が伝う。

「なんで?答えてよ!!………そっか、恥ずかしいんだね。可愛い」

でも、私は彼の澄んだ瞳が見たい。

彼のまぶたを無理やり上げる。

「どうしてこんな………汚いの?」

彼の瞳には私が写っていた。

しかしその瞳は私の好きな瞳じゃない。

「ううっ……」

再び涙が溢れてくる。

涙を拭おうと自分の目を手で擦る。

ピンポーン

インターホンがなった。

急いで涙を拭き取ってドアを開ける。

そこには警察が立っていた。

それからは一瞬だった。

いきなり手錠をかけられて車に押し込まれた。



「はぁ、いつまで立っても絶えねぇな……」

「どういうことですか?」

「ストーカーが勘違いして自分が恋人だと思いこんだりって事が」

「今回はアイドルのファンがストーカ化して自分の家に監禁でしたよね。結局殺してましたけど」

「気持ちわりぃよな」

「はい」

「……お前も、程々にしとけよ」

「はい?」

「とぼけんな。お前がお前の先輩の事付け回してんの知ってるからな」

「嫌だなぁ、してませんよ」

「はぁ、しっかし今回は確信してなかったからな。犯人がミスしてくれていて助かった」

「ミス?」

「聞いてないのか?出てきた時に両目に血がついてたんだよ」

「……へぇー」

「変なためやめろ」

「すいません」

「ガッカリしたか?」

「何にです?」

「あのアイドルの事お前も好きだっただろ?」

「いえ、嫌いでしたよ」

「記憶違いだったか?」

「はい」

彼女はニッコリ笑った。

その瞬間彼女の指先から血が垂れていたことを俺は見逃さなかった。


                               ー雫ー

4/20/2024, 12:13:58 PM

「ありがとう」

口角を上げた。

「全然!」

従兄弟も口角を上げた。

「これ、何?」

「何かわからないで貰ったの!?これは時計」

「そうじゃなくて何の時計とか誰の時計とかそういうの」

「あぁ!それはお前の母親の形見、だった気がする。あんまり覚えてないわ」

少し驚いた。

従兄弟は母に懐いてように思えた。

そんな母の形見を覚えていないのは、どうにもおかしいように感じた。

「俺はそろそろ帰るけど翔(しょう)はどうする?」

「もう少し残ってるよ」

「そうか、また明日来るから、じゃあな」

手を振って見送った。

従兄弟が居なくなると静かになって不気味さを増す。

俺は今家の中。

リビングを見回す。

懐かしい雰囲気。

微かに木の匂いがする。

この家は元々俺と母と父が住んでいた家だ。

しかし、それから母が亡くなり俺も高校生になって一人暮らし。

結局父一人になったのだ。

そんな父も最近施設に入る事になり、それに伴いこの家も取り壊される事になった。

家にあった思い出の数々も大分捨ててしまった。

結果残ったのはさっき貰った母の形見と三人が笑っている写真が一枚。

「!懐かしい…」

床にはクマのぬいぐるみが転がっていた。

母と父がくれた誕生日プレゼント。

クマを床から抱き上げる。

毛は黒ずんでおり、元の茶色は全く分からない。

クマの目を見つめていると、ふとある事を思った。


〜次の日〜

「おはよー!」

従兄弟は元気な挨拶をしながら家に入ってきた。

「今日は四葉のクローバーを見つけたんだ」

「あのさ、その…」

「?どうかした?」

「俺もうそういうの要らない」

はっきりと言い切った。

「………」

従兄弟はしばらく目を見開き口を開けて突っ立ていた。

「…は?今なんて?」

「要らないです」

もうこれ以上要らないものを増やしたくない。

「どうしたの急に、昨日だってニコニコして貰ったじゃないか」

「要らないです」

「……折角お前の為に四葉見つけたのに」

舌打ちをして俺を睨んでくる。

やっぱり帰る、と言って玄関に行ってしまった。

追いかけると既に靴を履き終わっており俺の事を睨んでくる。

そして、去り際に一言。

「明日も来るからちゃんと受け取れよ」

まだ分かっていなさそうな一言に苛ついて俺も一言だけ言った。

「もう何もいらない」


                            ー何もいらないー

4/19/2024, 12:29:32 PM

「私ね、過去に戻れるんだ」

「?」

その日は、友人が亡くなってから四十九日目。

そして、この年一番寒い日だった。

「…知ってるよね。前に三人で話した……」

彼女は笑う。

その表情があまりにも悲しそうで言葉に詰まる。

「………」

「でも、過去を変えることはできない」

声が一段低くなった。

彼女の目元は痛々しく腫れている。

「変えられないんだったらこんな能力要らなかった…」

また一段低くなる。

「……それでも、羨ましいな。僕は君よりもしょぼい能力だから」

笑ってみる。

「全然しょぼくなんかないよ。なんで、羨ましいの?過去に戻ってみたところで何も変わらないのに」

「もう一回…見られるんだろ?生きてる姿が」

「…余計に辛くなる」

そっか、何となく相槌をうってみる。

こんな会話をしているとまた、思い出が溢れ出しそうで、それを抑えるので精一杯だった。

「………未来が、見れたら…良かったのに……なぁ…」

「辛いよ」

「未来が、見えたら…止めることだって出来たでしょ?」

「……無理だよ」

「何でそう言い切れるの?」

彼女の視線が痛い。

「そうだなぁ、ある時僕は、自分が階段から落ちて入院する未来を見た」

「…」

「それからは毎日気を配った。僕の能力じゃ場所や日時が分からないから」

「うん」

「でも、駄目だった」

「……」

「階段を怖がっている僕を見て悪戯好きの同級生がすべてのエレベーターを使えないようにしてしまった」

「…」

「困ってたら、何してんの?って僕を階段まで引っ張っていって、押されたんだ」

「え」

「びっくりしたんだけどホントに一瞬の出来事だった。結局入院」

「……そ…れって」

「未来は変えられない。過去も変えられない」

「……うん」

「でも、それぞれ良いところもある」

「うん」

「…………もしも、この能力が君だったらどうなってたんだろ?」

「……」

言葉を選んでいる彼女を横目に僕は気にせず言葉を続けた。

「あはは、嘘だよ」

「…何処から何処までが?」

「能力が未来ってとこから」

「三人で話した時から嘘を、ついてたの?」

返答に困って髪を搔きむしる。

「だって、未来を見れるのはあいつだったじゃないか」

「それは…」

「能力が被るなんてあり得ない。知ってるだろ?」

「じゃあ!アンタの本当の能力は何なのよ?」

声が裏返っていた。

目には涙が滲んでいる。

「……言わない。言ったら嫌われるかも」

「嫌わない!教えて?」

「寿命が…分かる、能力」

「…今までずっと黙ってたの?」

嘘つき。心の中で悪態をつく。

嫌わないって言ったくせに。

彼女の目には明確な殺意が宿っていた。

「そうだよ」

「なんで?」

「絶対だから。過去を変えれるなら寿命が延びる。未来を変えれるなら寿命が伸びる。困るんだよ」

「こま、る?」

「そう、僕にとっては大問題。僕は」

息を大きく吸い込む。

「僕は、死神だから…。寿命が分かる能力、じゃなくて死神…の能力」

「死神?アンタが殺したの?」

「違うって、死神の役割を果たすんだよ。死んだ人の魂を刈り取って空に飛ばす」

「なんの為に?」

「神様に捧げる為、だと思う」

「それだけ?」

「…これをやらないと僕は死ぬ…し、刈り取られなかった魂はこの世の幽霊とやらになるんだ」

「まに、合わないでしょ?なんで、今生きてるのよ」

「…魂が集められる部屋があるんだ。一ヶ月に一回。空に飛ばしに行く」

「連れてって!」

「無理だよ。君には見えないんだ」

「もしも、もしも私が未来を知ってたら!アンタと友達になんかならなかった!」

そう言うとその場にうずくまって泣き出してしまった。

一つ、ため息をつく。

彼女に近づくと彼女は僕を睨んでこう言った。

「近づかないで!」

化け物を見るような目。

慣れているけど地味にきつい。

友達だった人からの殺気のせいなのかもしれない。

でも、最後に一言だけ言いたかった。

「もしも未来が見れるなら、僕はきっと君とは出会えなかった」


                          ーもしも未来を見れるならー

4/18/2024, 10:38:57 AM

あぁ、こんなにもつまらない



                             ー夢色の世界ー

4/17/2024, 11:56:11 AM

「んっ!この玉子焼き美味し〜」

「あっ、いつの間に!返せ!俺の玉子焼きだぞ!」

「あー、喧嘩しない」

「あはは、なんか寧々(ねね)がお母さんみたい」

「そんな事言ってないで注意したら?」

「桜は厳し〜」

「ふ~ん、なかなか美味いな」

「私の唐揚げが〜!だして!吐き出して!」

「汚くない?」

「いや、今のは多分本気で言ってないと思う」

「!ごめん、また間違えた」

「仕方ないよ、陽菜(ひな)はちょっと抜けてるって言うか天然だし」

「寧々〜!海斗(かいと)が〜!」

「先に玉子焼き取ったのは凛(りん)でしょ?」

「うっ、まぁね?でも唐揚げは私の大好物だし…」

「それは海斗にも言えるでしょ?それに取ったことには取ったんだからちゃんと謝らないと」

「……か、海斗…そのー、たまごや、き、食べちゃって、ご、めん……ね?」

「はぁ~、俺も唐揚げ食べてごめんな」

「…謝ったよ?」

「うん、偉いね〜」

「なぁ、あいつって中学生になっても他人に褒めてもらいたいの?」

「仕方ないよ〜、愛情が足りてないとか褒めてもらえないとかあったんじゃない?」

「おい!桜と優(ゆう)!別に愛情も足りてるし褒めてもらってましたけど?」

「じゃあ何でだよ」

「なんか、寧々の声って聞いてて心地良い声って言うか…」

「まぁな」

「だから、褒めてもらいたくなるの!」

「なんで半分キレ気味なんだよ…」

「くだらない事言ってるからでしょ?」

「三人ともー!集まって〜!」

「「「?」」」


「なに?どうしたの?」

「私達ってもうすぐ卒業して会えなくなるじゃない?」

「あぁ」

「だからこの紙を一枚づつ配るから、それを回して残りの五人に自分に対しての想いを書いてもらってほしいんだけど良いかな?」

「質問!何で今?まだ後一年くらいあるけど…」

「受験とか部活とかで集まれる機会が減るから今が良いと思ったんだ」

「成る程ね〜」

「じゃあ紙配るよ、隣の人に回していって」

「……紙でっか…」

「よし!行き渡ったかな?今から時計周りに紙を回していって紙が戻ってきたら終わり」





「戻ってきた…」

「終わったかな?後もう一つこれは強制じゃないけど、本当に言いたい一言だけ紙に書いてほしい」

「書き終わった紙は誰が持ってるの?」

「それは勿論私、全員が知ってるのは私の家だけだしね」

「いいんじゃない?」

「名前と一言ね、お願い」

石井 寧々

これからも友達同士でいたい

斉藤 海斗

色々頑張ろう!

池田 桜

仲良くしてたい

宮崎 優

名前の通りでいたい

高木 陽菜

もっと集まりたい

中島 凛

同窓会やりたい!!


「海斗?色々ってなんだ?」

「受験とか部活とか…人間関係…とか?」

「それより!同窓会やろうよ!今のクラスで!」

「それは、クラスの皆で相談しないと」

「同窓会やるんだったら少なくとも連絡先くらいは知っておかないと」

「それに関しては大丈夫」

「流石寧々!」

「ま、そんな後の事より今を楽しもうよ」

「確かに、花見に来てて見ないのもな」

「はいはい」


                              ー桜散るー

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