お金持ちになりたい。
モテまくりたい。
好きなだけ美味しいものが食べたい。
まだまだ沢山ある僕の欲。
小学四年生になった今なりたい職業もできた。
それは医者。
最初は何となく。
ドラマで見て、恰好いい!って思ったから。
稼げるしモテる。
最高の職業だと思った。
それから医者について色々調べた。
でも、調べれば調べる程大変なのが分かってきてなりたくなくなる。
次は声優。
これも何となく。
きっかけはこの声どっかで……ってなったこと。
調べてみたら同じ人が演じていた。
声だけでここまで変えられるのすごっ!みたいな感じになった。
収入は低いしモテるかわかんない。
でも何故かすっごい惹かれた。
頑張る事にした。
親に話すことは少し照れくさいから発声練習や滑舌を良くすることから始めた。
もしかしたら、別のに心変わりするかもしれない。
けどやって損にはならないだろう。
今日も頑張るぞ!
20作品 ー夢見る心ー
「バカ息子!!!」
パンッ
乾いた音が家中に響いた。
「何で万引きなんかしたの?!」
「別に、関係ないだろ」
「はぁ!?わざわざ時間使って来たんだよ?!!」
「あっそ」
「今まで誰がここまで育ててやったと」
「勝ってに産んで勝手に育てただけだろ?俺は望んでなかった」
「なんてこと言うのよ!私だってあんたが産まれたせいでお金と自由時間を失ったわ!望んで出産なんかしてない!!」
「じゃあなんで産んだんだよ」
「あんたの父親が望んだからよ?あんたは所詮私とあの人との架け橋でしかなかった!」
「架け橋?笑わせんなよ、全然架け橋になんかになってねぇじゃん」
「ええそうね!架け橋のはずのあんたの所為で離婚することになった!」
「俺の所為じゃないだろ?現実見ろよ」
「あんたの所為よ!!あの人は寂しくなってあの女と不倫したのよ!」
「俺の所為じゃ無い、結局、子育ても支えてくれなかった金持ちの息子に騙されただけだろ?」
「違う!!!あの人は優しいし格好いいし仕事も出来る理想の人よ?!」
「そんなわけ無いだろ、俺はアイツの事を調べまくったんだよ。証拠だって」
「もういいわ!!!!心配した私が馬鹿だった!もう、話しかけないで!!」
「………」
母親はまた出かけていった。
仕事に戻りに行ったのだろう。
俺は一人で深く反省した。
「はぁ、何やってんだよ」
母親は未だに父親を想っている事はとっくに分かっていた。
父親も母親の事を考えていることも。
浮気で気を引こうだなんて最低だけど。
まぁ、俺もこうして万引きしたんだし変わらない。
普通に話しかけたくらいじゃ俺と話すらしてくれない母親。
話す機会がほしかった。
ただ、こういうときに限って俺の悪い癖がでる。
関係のない話題で相手を怒らせてそのまんま。
これがいつものよくあるパターン。
まさか、こんな場面まで…。
俺は気づいてほしいのだ。
父親もまだ自分の事を想っていることを。
寄りを戻せる事を。
それに俺も普通に両親と話がしたい。
笑い合いたい。
あと、父親について行った兄に合いたい。
最初は兄についていくつもりだったけど、どっちか一人みたいな感じだった。
兄に会いたい。
俺はブラコンだ。
気づいたのは友達や親に言われ続けたから。
早く両親に和解してほしい。
そしたら俺もハッピーエンド。
…けど、兄がどう思うか…。
はぁ、別れるときには完全に拒絶されてたし。
あぁ~、もどかしい。
ー届かぬ想いー
「ママ、かみとえんぴつちょうだい」
そう言うと母親は快く差し出してくれる。
「お手紙でも書くの?」
「なんでわかったの?」
「もうすぐクリスマスだからかな?」
「ぶー、ちがうよ」
「えー?ママ分からないなー、教えてくれる?」
「かみさまにおねがいをするの」
「何をお願いするの?」
「ひみつ」
「そっかー」
「うん」
リビングの椅子に座る。
母親はテレビの前のソファに座っているので見られる心配は無い。
紙を机に置いて鉛筆を握り力強く書き始めた。
かみさまへ
おねがいがあります
パパとママをわかれさせてください
パパはいつもママをたたきます
たまにわたしもたたいてきます
ママはいつもつらそうです
てくびには、いつもきづがついています
ママがロープをもっているところもみました
パパとママにはないしょでとしょかんにしらべにいきました
それで、さいきんわかったのは「じしょうこうい」というものだということです
ロープはわからないけどわたしはママにきづついてほしくないです
パパがいなくなればママはきづつかないとおもいます
パパがいなくなるならわたしはどうなってもかまいません
ママをたすけてください
すずより
書き終わった物を何度も見直して母親に渡しに行った。
「ママ、かきおわった」
「そっかー」
「どうやったらかみさまにとどくかな」
「ママが預かっておくよ」
「とどくの?」
「届くよ」
「なかみはみちゃだめだからね」
「大丈夫、見ないよ」
「やくそくね」
「約束」
その日の夜私は安心して眠った。
これで神様は叶えてくれるはず。
翌朝、目覚めると母親が私に抱きついてきた。
父親はいない。
「どうしたの?」
「ううん、何でもないの」
「なんでないてるの?」
「……ごめんね、ごめんね鈴(すず)」
「なにが?」
「何でもないの、大丈夫、大丈夫だからね」
「てがみとどいた?」
「届いたよ、きっと叶えてくれるから」
さっきより抱きしめる力が強くなった。
「ママ?」
「ごめんね鈴、ママは大丈夫だから」
「ほんと?」
「本当だよ、大丈夫だよ」
「きょうのママへんだね」
「そうかも」
それから私だけ部屋に戻っているように言われた。
その日はずっと部屋にいた。
次の日、知らないスーツ姿の人が立っていて私を捕まえた。
母親に会えずに不安になって待っていると家から母親が出てきた。
私のことを見て母親は言った。
「もう大丈夫だからね、安心してね」
「なにが?」
「ママとパパは離れて暮らす事になったの」
「かみさまのおかげかな?」
「鈴の願い事叶った?」
「うん!…あっ、やっぱいまのなし!」
「どうして?」
「ねがいごとがバレちゃうから」
「そっか」
その時に気づいた。
母親の目元が赤くなっていた。
鼻も赤い。
「ないたの?」
「なんの事?」
「なんでもない」
神様は私の願いを叶えてくれた。
今度は感謝の手紙も送らないといけないな。
ー神様へー
「今日も雨か……」
起きて直ぐに窓の外を確認する。
窓ガラスから見た外の景色は少し歪んでいる。
ここ数日間立て続けに雨が続いているのだ。
少々憂鬱なきぶんになりながら布団から抜け出した。
パンが焼けるのを待ちながらコーヒーを淹れる。
少し待っているといい匂いが部屋に広がった。
パンはいい具合に焼けていた。
気分が良くなる。
パンをかじりながら本を読む。
ピンポーン
いよいよクライマックスと言うところでインターホンがなった。
本に栞を挟んで立ち上がる。
「はーい」
「お荷物です」
「ありがとうございます」
荷物を受け取ると宅配便の人は頭を下げて出ていった。
荷物は机の上に置く。
一息ついてコーヒーを飲んだ。
ぬるくなったコーヒーは時間が経った事を伝えているようだった。
時計を見る。
三十分は経過していた。
コーヒーを飲み干し台所に置きに行った。
読みかけの本をカバンに入れて上着を着る。
傘を持って外に出た。
傘をさすと雨の音がよく聞こえる。
妙に気持ちの良い音は音楽を奏でているようだった。
図書館に向かっている途中に次第に勢いが強くなっていた。
図書館についたときには土砂降りになっていた。
平日だからか、雨だからなのかいつもより人は少なかった。
定位置の場所に腰を下ろす。
カバンから読みかけの本を出してしばらく読んでいた。
一時間か二時間くらい経った後図書館を出ることにした。
新しく本を借りて図書館を後にする。
図書館を出ると空には虹がかかっておりいつの間にか雨は止んでいた。
久々に太陽の光を見た気がする。
眩しく感じた。
折角なので散歩をすることにした。
が、気がついてしまった。
私は仕事をしなければいけないのだ。
渋々家に変えることにした。
行くときとは反対に太陽の光が強くなってきた。
家に変えるときには空は晴れ渡り虹もなくなっている。
涼しい風がふいた。
空気を思いっきり吸い込んで自分の頬を叩く。
やる気を出して家に入った。
何処までも続いているような空は私の背中を押してくれた。
ついでに太陽も。
これから数日間はこの天気が続くことを願った。
ー快晴ー
カイロへ
要件は後半に書いてあります。
見たくなければ飛ばして下さい。
たった一回だけの海外旅行。
それでも私には大冒険で、刺激がいっぱいだった。
帰ることになった時、私は家を抜け出した。
たった一回だけだけど、私にとっては大事な思い出。
帰るのが嫌だった。
下を向いて泣きながら走っていたら後ろから泣き声が聞こえてきた。
びっくりして思わず後ろを振り返ったら、同い年くらいの男の子がいたんだ。
当時私達は5歳か6歳。
年端の行かない頃だったのに。
やけに君の容姿は道行く人の目を引いていた。
そんな君が私を見て近づいてきたんだったね。
顔が熱くなっていって、それが初めての恋だったのも忘れられない思い出だよ。
私の顔を見つめてきて突然泣き止み自己紹介。
何事?って思ったよ。
でも、慌てて私も自己紹介を返した。
雰囲気ってやつに流されたのか、君の気迫に押されたのか。
自己紹介が終ると急にニコニコしだして、笑い出した。
その時点でヤバイ奴だと思ったよ。
君を眺めていたらつられて笑いが止まらなくなって。
二人で笑いあったよね。
後ろから親が追いかけてきて、娘と美少年が笑い合ってる光景にびっくりしてたよね。
うちの親が困っていたら今度は探しに戻ってきた君の親が来た。
君の親も最初こそは困惑していたがすぐに止めに入ってきたよね。
君が親に気づいて笑い終わったから私もようやく笑うのをやめた。
君は親になにか話していたみたいだけど一体何を話していたの?
私は私で親に怒られて、準備をするように言われたよ。
たった数十分くらいだったけど寂しさが込み上げてきて君と泣きながら別れた。
楽しかったからまたそういう事ができるといいな。
今度また会ってみない?
あれからどんな風になったのかも気になるしね。
会ってくれるんだったら手紙の返事をもらいたいです。
栞(しおり)より
※カイロは日本語が上手くて読み書きもできるという体(てい)で話しています
書いた手紙をポストに入れに行った。
歩いているといきなり靴が濡れた。
「あ」
家を出る前は雨が降っていた。
家を出た時は天気は晴れで足元も十分注意していたので、大したことはなかったが今は違う。
帰りで油断していたのと、考え事をしていたので、水たまりに足を突っ込んでしまった。
とりあえずあまり考えないようにして、カイロと合う時の笑い話にでもしよう。
そう思い私は天を仰いだのだ。
ー遠くの空へー