ミツ

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カイロへ

要件は後半に書いてあります。

見たくなければ飛ばして下さい。



たった一回だけの海外旅行。

それでも私には大冒険で、刺激がいっぱいだった。

帰ることになった時、私は家を抜け出した。

たった一回だけだけど、私にとっては大事な思い出。

帰るのが嫌だった。

下を向いて泣きながら走っていたら後ろから泣き声が聞こえてきた。

びっくりして思わず後ろを振り返ったら、同い年くらいの男の子がいたんだ。

当時私達は5歳か6歳。

年端の行かない頃だったのに。

やけに君の容姿は道行く人の目を引いていた。

そんな君が私を見て近づいてきたんだったね。

顔が熱くなっていって、それが初めての恋だったのも忘れられない思い出だよ。

私の顔を見つめてきて突然泣き止み自己紹介。

何事?って思ったよ。

でも、慌てて私も自己紹介を返した。

雰囲気ってやつに流されたのか、君の気迫に押されたのか。

自己紹介が終ると急にニコニコしだして、笑い出した。

その時点でヤバイ奴だと思ったよ。

君を眺めていたらつられて笑いが止まらなくなって。

二人で笑いあったよね。

後ろから親が追いかけてきて、娘と美少年が笑い合ってる光景にびっくりしてたよね。

うちの親が困っていたら今度は探しに戻ってきた君の親が来た。

君の親も最初こそは困惑していたがすぐに止めに入ってきたよね。

君が親に気づいて笑い終わったから私もようやく笑うのをやめた。

君は親になにか話していたみたいだけど一体何を話していたの?

私は私で親に怒られて、準備をするように言われたよ。

たった数十分くらいだったけど寂しさが込み上げてきて君と泣きながら別れた。

楽しかったからまたそういう事ができるといいな。

今度また会ってみない?

あれからどんな風になったのかも気になるしね。

会ってくれるんだったら手紙の返事をもらいたいです。

                                                       栞(しおり)より

※カイロは日本語が上手くて読み書きもできるという体(てい)で話しています
書いた手紙をポストに入れに行った。
歩いているといきなり靴が濡れた。

「あ」

家を出る前は雨が降っていた。
家を出た時は天気は晴れで足元も十分注意していたので、大したことはなかったが今は違う。
帰りで油断していたのと、考え事をしていたので、水たまりに足を突っ込んでしまった。
とりあえずあまり考えないようにして、カイロと合う時の笑い話にでもしよう。
そう思い私は天を仰いだのだ。


                             ー遠くの空へー

4/12/2024, 12:36:14 PM