「バカ息子!!!」
パンッ
乾いた音が家中に響いた。
「何で万引きなんかしたの?!」
「別に、関係ないだろ」
「はぁ!?わざわざ時間使って来たんだよ?!!」
「あっそ」
「今まで誰がここまで育ててやったと」
「勝ってに産んで勝手に育てただけだろ?俺は望んでなかった」
「なんてこと言うのよ!私だってあんたが産まれたせいでお金と自由時間を失ったわ!望んで出産なんかしてない!!」
「じゃあなんで産んだんだよ」
「あんたの父親が望んだからよ?あんたは所詮私とあの人との架け橋でしかなかった!」
「架け橋?笑わせんなよ、全然架け橋になんかになってねぇじゃん」
「ええそうね!架け橋のはずのあんたの所為で離婚することになった!」
「俺の所為じゃないだろ?現実見ろよ」
「あんたの所為よ!!あの人は寂しくなってあの女と不倫したのよ!」
「俺の所為じゃ無い、結局、子育ても支えてくれなかった金持ちの息子に騙されただけだろ?」
「違う!!!あの人は優しいし格好いいし仕事も出来る理想の人よ?!」
「そんなわけ無いだろ、俺はアイツの事を調べまくったんだよ。証拠だって」
「もういいわ!!!!心配した私が馬鹿だった!もう、話しかけないで!!」
「………」
母親はまた出かけていった。
仕事に戻りに行ったのだろう。
俺は一人で深く反省した。
「はぁ、何やってんだよ」
母親は未だに父親を想っている事はとっくに分かっていた。
父親も母親の事を考えていることも。
浮気で気を引こうだなんて最低だけど。
まぁ、俺もこうして万引きしたんだし変わらない。
普通に話しかけたくらいじゃ俺と話すらしてくれない母親。
話す機会がほしかった。
ただ、こういうときに限って俺の悪い癖がでる。
関係のない話題で相手を怒らせてそのまんま。
これがいつものよくあるパターン。
まさか、こんな場面まで…。
俺は気づいてほしいのだ。
父親もまだ自分の事を想っていることを。
寄りを戻せる事を。
それに俺も普通に両親と話がしたい。
笑い合いたい。
あと、父親について行った兄に合いたい。
最初は兄についていくつもりだったけど、どっちか一人みたいな感じだった。
兄に会いたい。
俺はブラコンだ。
気づいたのは友達や親に言われ続けたから。
早く両親に和解してほしい。
そしたら俺もハッピーエンド。
…けど、兄がどう思うか…。
はぁ、別れるときには完全に拒絶されてたし。
あぁ~、もどかしい。
ー届かぬ想いー
4/15/2024, 12:07:01 PM