空っ風が強くなびくようになった。
高台から摩天楼たちを眺める。ここからでも、都会の喧騒が想像できるようだ。
行ったことはあるが、ここのような住みやすさはないな。やはり、ここがよい。
柵を隔ててこちらは、長らく冷たい時代が続いてきた。もう何度目の冬だろうか、木々は枯れて、人々は焚き火の前で凍えている。
身内同士で争っている場合ではないのに、その激しさは冬を忘れるようだ。
いつか、私が救世主になってみせる。この冬を終わらせるのは、私だ。
秋の黄昏の、海を見て立っていた。
夕日は刻一刻と沈んでいく。
「秋の日はつるべ落とし」なんて言うけれど、こんなにはやいとは思わなかった。嗚呼、地球よ、まだ終わらせないでほしい。まだやり残したことがいっぱいあるのだから。
今から西に向かって精一杯走ろうか、それとも、相対性理論とやらに頼ってみようか。
それでも得られるアディショナルタイムは、僅かなものなんだな。
激しい波が岩に砕けていく。こんなに儚いのだから、もっと時間を大切にしなければと思った通り今日この頃。
母に頼んで、腕時計を買って貰った。
昔、私が小学生のころ、朝顔が水のあげすぎで根が腐ったことがあった。
思いやって育てたつもりだったのに。積み上げることは大変だが、崩れるときは一瞬だ。
つまり、行き過ぎた愛情は哀情に変わる。
最初は好きだったあの人との電話も、毎日2時間がつもりに積もって、プライベートを蝕む。
均衡の取れた潮の満ち引きは、何時しか負の方向へと流れ出し、心の中にドロドロと溜まっていく。
静電気を帯びだしてふと放電し、我に返ると、自然と袖を濡らしていく。
自分の気持ちに対象があったのに、その第3文型は第1文型に代わって、孤独を覚えてしまった。
本末転倒ではないか。うん、そうだ。
嗚呼、何をしているのか。相手だってそんなつもりはなかったろうに被害妄想が過ぎる。
笑いたくなってきた。
ほら、愛情が根を腐らせたのだ。
「37.0℃ね…どうしようかしら」
そう体温計を見て母は呟いた。
俺は、不満で口をとがらせた。
今日は単元テスト。何としても休みたいものだ。
もし俺が親なら真っ先に止めるものを、この母は逡巡している。微熱だろうが関係ない、母は俺の本心に気付いているはずだ。
「どうする?」母がこちらを見て苦笑いで言う。
私は食いつき気味に「休む。」と返した。
すると、「そう」と母は受け入れた。
普段なら行きなさーい、だのガミガミ言うのに、奇妙なものだ。
すると、母は額を俺の額に擦り付けてくる。
母の前髪が乱れた。
その時、普段冷え性の母の額が、いつもよりずっと、温かく感じた。
気のせいだろうか。
あっ、あの…
太陽の下で日の目を浴びることが全てじゃないと思います!
光とか、日の目とかは、暗いところがあるからあるわけで…光は相対的なものなので…
だから、そんなに落ち込まないで下さい!
陰で支えてくれる人がいるから、他の人が頑張れる訳で…私ですみません!