惟新の角部屋

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「37.0℃ね…どうしようかしら」
そう体温計を見て母は呟いた。
俺は、不満で口をとがらせた。

今日は単元テスト。何としても休みたいものだ。
もし俺が親なら真っ先に止めるものを、この母は逡巡している。微熱だろうが関係ない、母は俺の本心に気付いているはずだ。

「どうする?」母がこちらを見て苦笑いで言う。
私は食いつき気味に「休む。」と返した。
すると、「そう」と母は受け入れた。
普段なら行きなさーい、だのガミガミ言うのに、奇妙なものだ。 

すると、母は額を俺の額に擦り付けてくる。
母の前髪が乱れた。
その時、普段冷え性の母の額が、いつもよりずっと、温かく感じた。
気のせいだろうか。

11/26/2023, 10:48:05 PM