私があなたの全てを忘れること。
それが、あなたが最後に唯一望んだこと。
私の気持ちも望んでることも、本当は全部分かってる癖に。
あなたに思いを馳せることすら許してくれないのね。
私があなたにあげられるものなんて何一つないと。
私にとって大切だったものは、
あなたには何の価値もないのだと。
最後に知ったのは、そんな悲しい真実だけだった。
ねぇ…もしも私が贈り物だと思っているものが
あなたの足枷になってしまうのなら、
私の存在ごと全部捨ててください。
___あなたへの贈り物
諦めたかったのは君との幸せで、
捨て去りたかったのは君への想いだっだ。
できるのなら君を、心の底から嫌いになりたかった。
それなのに君なしで過ぎ去っていく時間は、
あの夜の悲しみもあの瞬間の苦しみさえ綺麗に彩っていく。
そう、穴だらけで短すぎたあの日々に、
縋らなければ生きていけないほどに。
君があんなにも簡単に忘れてしまえたのは、
私が数いるうちの1人にしかなれなかったから。
でもね…
私はあの日、この世でたったひとり愛せる人を失ったのよ。
___ただひとりの君へ
木々を揺らし通り過ぎていった風が、
もう二度と戻ってこないように、
きっとあなたもいつか、
私の前から消えてしまうのでしょう。
心地よく頬を撫でる風も、
私の体温を奪い荒く吹き付けるあの風も同じなように、
きっとあなたはこれからも、
私に嘘をつき続けるんでしょう。
気分屋でフラフラしてるあなたを留めておくのは大変だわ。
ほんとうに、どうしようもないほどずるい人。
でもそんな風のいたずらがたまらなく愛おしい私は、
きっとどこかおかしいのね。
___風のいたずら
瞳が揺れて、零れ落ちた一粒の雫。
この涙にどんな想いが隠されていて、
どれほどの後悔を含んでいるかなんて、
君にはきっと一生分からないでしょうね。
私も話すつもりはないわ。
好きなだけじゃどうにもならないことだってあるの。
現実なんて、こんなもんでしょう。
だってほら、君は私のために泣けない。
君が私に抱いているのは、言葉にできる感情だけなのよ。
馬鹿みたいだって笑うの?
人のために泣けない君が、1番可哀想よ。
___透明な涙
あなたと目が合う。
ほんの数秒、世界から音が失われる。
束の間の幸福、
それに反してあなたの瞳からは色が消えていく。
あぁよく知ってる。
あなたは嫌いな人を見る時、よくその目をしていたから。
数年振りにあなたに会っても、
その曇った表情だけはあの頃と何も変わらないのね。
ほんとに後悔してるの、あなたを傷つけてしまったこと。
苦しいのよ、あなたにそんな顔をさせてしまうことが。
あなたとすれ違うその瞬間、
行き場のない感情があなたを求めて渦を巻く。
現実は、淡い期待さえ打ち砕いていく。
反射的に振り返った先で、
同じように振り返るあなたと目が合った。
少しだけあなたの瞳が揺れる。
きっとこの痛みは、私たちにしか分からない。
ほんとは、諦めたくなんかなかった。
あなたへの想いも、あなたとの幸せも。
失うことがあなたのためだと、そう言い聞かせてきただけ。
私を見る度、あなたはきっと思い出してしまうのね。
あの時私が味わったのと同じ痛みと虚しさを。
もう戻れないところまですれ違ってしまった、
だけどあなたの憂鬱を晴らすことはできる。
好きだったあなたの笑顔を濁らせていたのは私だもの。
私は、笑顔であなたに手を振る。
"ありがとう"と"さよなら"を込めて、あなたのもとへ。
___あなたのもとへ