幸せな人は言う。
"勝ち負けなんて気にしても意味ないじゃない"
恵まれて生きてきた人は言う。
"勝ち負けなんて重要じゃないでしょ"
勝敗にこだわるのは愚かなことで、
優劣を決めながら生きるのは虚しいことだと。
でも、私はそれでもその人たちに言いたい。
"勝ち負けがこの世の全て"なのだと。
勝者だから富を得て、
勝者だから幸せになれる。
平等は当たり前なんかじゃない。
それを知らないのは、
いつだって明るい世界しか見ていない勝者だけ。
___勝ち負けなんて
君のいない明日など来なければいいと、何度も願った。
君を想って泣いた夜を何度もこえて、
君のいた日々に苦しんだいくつもの朝を迎えて、
気づけばそうやってしか君を思い出せなくなった。
私と違って自信に溢れてて、でも私と同じように愚かで。
弱い、ゆえに私達は卑怯でずるかった。
自分達だけが楽に自由に息ができる場所を好んで、
幾度となく他人を振り回し裏切り背を向けてきた。
芯の部分が似たもの同士、
君の気持ちは痛いほど理解できた。
だからどうしても、嫌いにならなきゃいけなかった。
どうしても、捨てなきゃいけなかった。
どうしたって、側にはいられなかった。
___どうしても、
まって、無視しないで。
まって、いや、捨てないで。
ねぇまって、もう置いていかないで。
呆れるくらい何度も呼び止めた。
おかしくなるくらいその名前を呼んだ。
一度も振り返らない背中に手を伸ばして、
あなたの足跡だけを泣きながら追いかけて、
その冷たい言葉と視線に何度も心を八つ裂きにされた。
そこまで堕ちてもあなただけは失いたくなかった
それなのに、
戻ってきたあなたは声と顔が同じなだけの別人。
あなただけはあの頃のまま、変わってほしくなかった。
ねぇ、私が好きなのは今のあなたじゃないわ。
___まって
ただ君だけを想って、君だけのために生きて、
だから私が望んだ未来には君がいなきゃダメだった。
どれほど哀れで愚かな恋でも、
それが私の世界の全てだったから。
君のためならどんな嘘もつける。
君を手に入れられるならどこまでも最低になれる。
誰かを裏切って傷つけてでも、君だけは失いたくないの。
君だけは、私の理想のままでいてよ。
___ただ君だけ
私の1番の理解者であり、1番の味方だったあなた。
いつだって冷静で理論的で、だから人の感情には鈍感で。
でも、不器用ながら誰より私に優しい人だった。
私はあなたを、好きになりきれなかったの。
あの人を捨てることができるほどの深い愛を持てなかった。
あなたの側で生きるのは心地が良くて楽しくて、
でも安心の奥底にあった迷いをいつも消せなかった。
心のどこかであなたに妥協し続けて、
それは時々不満として降り積もっていった。
あなたと描いた幸せは、私の小さな妥協の上にあった。
私の1番の理想であり、1番輝いていた君。
素っ気なくて自分本位で、だからどこまでもずるくなれて。
でも、今も昔も誰より私を魅了した人だった。
私は君を、嫌いになれなかったの。
他の誰かを不幸にすると分かっていても止められなかった。
君の存在ほど私の心を揺さぶるものはなくて、
何をされても恨むことすらできなかった。
私を泣かすのはいつも君だったのに、
私に前を向かせるのも君だったから。
多才で見た目のいい君は、いつだって私の自慢だった。
君と描いた幸せは、私の小さな欲と我慢の上にあった。
人が持つ最も強くて、最も愚かな感情。
誰かの不幸の上に成り立つ、決して誰も抗えない欲。
私を最低な人間にしたのも、
あなたを泣かせ傷つけたのも、
君を弱くしずるくするのも、
愛なんていう愚かな幻のせい。
___好きになれない、嫌いになれない