あなたのその生ぬるい優しさ、
全部私のためだったなんていうつもり?
私の思いを試すような都合のいい嘘も、
何度も私の心を殺した中途半端な正義や未練も、
自分のペースを乱さないためにあなたが隠した弱さ。
あなたの正義は、私の悪であるべきだった。
あなたの嘘は、私の真実になんてなっちゃいけなかった。
"忘れた方がいい"そう言って私の手を離した癖に、
その些細な優しさでずっと私を縛りつけてきた。
行動に移さないあなたの優しさなんて意味がない。
どうせあなたは、その倍深く傷をつけるんだから。
あなたの優しさなんて…。
そんな見せかけの優しさなんて、ほしくなかったよ。
___やさしさなんて
君はあの時、"またね'"とは言わなかった。
でも'"さよなら"もくれなかった。
そうやって曖昧に繋ぎ止められた関係は、
きっと君が忘れて静かに消えていくものだと思ってた。
なのに、ねぇ……なんで。
私たちはどうして今だに終われないの?
ちゃんと前に歩いてるはずなの…振り返らないように、
何度も自分に言い聞かせながら。
でも気づけば、君の影を踏んでしまっている。
やめて、やめてほしいの。
私は君に失望した、
自分でも呆れるくらい深い場所で君を憎んだの。
なのに、君の声が泣きたくなるほど嬉しいのはどうして。
あの日…。
あなたが冷めた視線を落とした、何度目かの最後。
そして私がようやく、君に向かって差し出していた手を
自分の意志で引っ込めた時。
そこには"またね"の余韻なんてなかった。
もう今度こそ"次"なんてないんだと思った。
恋焦がれて仕方なかった君の声、大好きだったその温度。
全てがとっくに私の手にはなかったのに。
ねぇ、君は私に何を望んでいたの?
君があの時描いていた未来に、こんな関係は存在してた?
手放してよ、私のこと。
私の手を握り返さないだけじゃダメ。
ただそっと手を離すだけなんて、そんなのずるい。
ちゃんと、振り払って。
私に向けていたあの冷めた瞳と同じように。
生ぬるい優しさ、中途半端な正義、そして自分よがりの嘘。
私たちはどこかで終わらなきゃいけなかった。
誰かを傷つけてしまうくらいなら、
その存在を忘れるべきだった。
"さよなら"って。
今度こそ、そう言ってよ。
___またね
君の背中を追って、何度も春を見送った。
追いつけないことはとっくに分かっていたのに、
それでも私は君が振り向く奇跡を信じていた。
名前を呼ばれなくなっても、
声が冷たくなっても、
優しさの残骸みたいな通話にしがみついていた。
君の言葉に一喜一憂して、
君の沈黙に何度も自分の価値を測った。
“好き”って、どうしてこんなに残酷なんだろう。
選ばれなかった私は、何を信じて、何を望めばよかったの?
でも、もう戻れないから。
君が私の理想でいてくれなくてもいい。
あの儚い美しさを失って、
身体だけ男らしくなってしまった君でもいい。
だって私はもう、君がいなければ生きられないような
弱くて愚かな女の子じゃない。
君のために変わった。
君に恋して、君を信じて、その分だけ深く傷ついた。
君につけられた傷が、私を強くしたんだよ。
だから今だけは、言わせてほしい。
――君の背中を追って、私はここまで来た。
でももうこれからは、自分の足で前を向いて歩く。
君の背中じゃなく、
私の未来を見るために。
___君の背中を追って
幸せな人は言う。
"勝ち負けなんて気にしても意味ないじゃない"
恵まれて生きてきた人は言う。
"勝ち負けなんて重要じゃないでしょ"
勝敗にこだわるのは愚かなことで、
優劣を決めながら生きるのは虚しいことだと。
でも、私はそれでもその人たちに言いたい。
"勝ち負けがこの世の全て"なのだと。
勝者だから富を得て、
勝者だから幸せになれる。
平等は当たり前なんかじゃない。
それを知らないのは、
いつだって明るい世界しか見ていない勝者だけ。
___勝ち負けなんて
君のいない明日など来なければいいと、何度も願った。
君を想って泣いた夜を何度もこえて、
君のいた日々に苦しんだいくつもの朝を迎えて、
気づけばそうやってしか君を思い出せなくなった。
私と違って自信に溢れてて、でも私と同じように愚かで。
弱い、ゆえに私達は卑怯でずるかった。
自分達だけが楽に自由に息ができる場所を好んで、
幾度となく他人を振り回し裏切り背を向けてきた。
芯の部分が似たもの同士、
君の気持ちは痛いほど理解できた。
だからどうしても、嫌いにならなきゃいけなかった。
どうしても、捨てなきゃいけなかった。
どうしたって、側にはいられなかった。
___どうしても、