君の背中を追って、何度も春を見送った。
追いつけないことはとっくに分かっていたのに、
それでも私は君が振り向く奇跡を信じていた。
名前を呼ばれなくなっても、
声が冷たくなっても、
優しさの残骸みたいな通話にしがみついていた。
君の言葉に一喜一憂して、
君の沈黙に何度も自分の価値を測った。
“好き”って、どうしてこんなに残酷なんだろう。
選ばれなかった私は、何を信じて、何を望めばよかったの?
でも、もう戻れないから。
君が私の理想でいてくれなくてもいい。
あの儚い美しさを失って、
身体だけ男らしくなってしまった君でもいい。
だって私はもう、君がいなければ生きられないような
弱くて愚かな女の子じゃない。
君のために変わった。
君に恋して、君を信じて、その分だけ深く傷ついた。
君につけられた傷が、私を強くしたんだよ。
だから今だけは、言わせてほしい。
――君の背中を追って、私はここまで来た。
でももうこれからは、自分の足で前を向いて歩く。
君の背中じゃなく、
私の未来を見るために。
___君の背中を追って
6/21/2025, 2:07:43 PM