駄作製造機

Open App
12/5/2023, 10:48:02 AM

【眠れないほど】

いつでも君の無事を祈る

ご飯の時も、お風呂の時も、食事の時も。

布団に入ったら、君と過ごした思い出を脳裏に浮かべて。

朝起きたら、今日も君を思うと誓って。

歩いていても、頭の中は君ばかり。

今日は話せるかな。

今日の君の服はなんだろう。

君は今日楽しく過ごすだろうか。

どんなことをしていても、たとえ明日世界が滅んでも。

眠れないほどに君に夢中で、君を愛してる。

12/4/2023, 12:58:56 PM

【夢と現実】

今日、憧れの先輩に告白した。
ずっと好きだった。

彼は勉強ができて、体が弱い。
でも、、そんなとこも好きだ。

告白して、OKをもらった時は舞い上がって喜んだ。
先輩からはしゃぎすぎって、笑われたけれど。

明日から、先輩と登校。
四角い縁無しメガネが似合う先輩。

とってもかっこいい私の彼氏。

『楽しみだなぁ。』

ハンガーにかけられた制服を見ながら、先輩の顔を思い浮かべて口角が上がるのを感じた。

ーー

次の日。

ピンポーン、、

『真鶴〜来たよ〜』

このポヤポヤした声は、!

『先輩!』

大慌てで玄関へ向かい、ドアを開ける。

『慌てすぎだよ。ほら、髪ボサボサ。』

くつくつと笑いながら私の絡まった髪を手櫛で直してくれる。

『す、すみません。今準備して来ますね。』

奥の洗面台に引っ込み、もろもろ準備をしてからドアを改めて開けて鍵を閉める。

『はい、お待たせしました。』
『ん、行こうか。』

手を差し出され、恐々と握る。
先輩の手は、とっても温かった。

『んふふ、、夢じゃない。』
『うん、夢じゃないよ。』

夢じゃない。
夢じゃ、、、ない。

ーーーーー

『せ、、んぱい、、』

意識が覚醒して、無機質な白い天井が見える。

『夢、、?』

体を起こせば、自分の部屋。
立てかけてある写真には2人のドレス姿の大人。

『先輩?先輩!』

ベッドから降りて慌てて部屋から出る。

『先輩っ!』

瞬間、香ばしい匂いが鼻をつく。

『ん、もう先輩じゃないよ。今は、君の旦那さん、、でしょ?』

エプロン姿の先輩、、今はもう大人になりきってしまったが。

『ああ先輩、、』

よかった。
そう思いながら料理中の先輩の腰にしがみつく。

『どうしたの?今日は甘えたさんだなぁ。』
『んーん、、変な夢見ただけ。』

『ん、そう。変な夢。もしかしたら、、これも、夢かもね?』

ぐらり。
また視界が反転し、目の前が真っ暗になる。

ーーー

『はっ!!!』

起き上がると、ベンチの上だった。

『ん、起きた。』
『せ、、先輩。』

ベンチから起き上がる。
此処は、、バス停のベンチだ。

朝の時間帯らしく車通りが多い。

『大丈夫?学校お休みする?』
『いえ、、大丈夫です。行きましょう。』

次こそは、、夢じゃない。
暖かい先輩の手をキツいくらいにギュッと握った。

ーーー

『彼女は今、夢と現実がわからなくなっています。』

僕の愛する彼女は、今笑いながら寝ている。
時々僕の名前を呼びながら。

『ねえ、、目を覚ましてよ。真鶴。僕寂しいよ。』

冷たい彼女の手を、僕の温かさで包む。
握り返してくれる彼女はいるけれど、彼女の隣は現実の僕じゃなくて、夢の中の僕だ。

『、、、覚めてくれ、、』

涙がポツリと彼女の頬に落ちた。

12/3/2023, 11:49:42 AM

【さよならは言わないで】

『ゔえええええん!!うわあああああん!』
『ほらほら、そんなに泣くなよ。目ぇ腫れるぞ?』

神社の境内の近くで泣きじゃくる少年と、それを慰める青年。
心なしか、青年の目にも哀愁が漂っている。

『だっでえええぇ、、もぅ会えないんでしょ?』
『いつか会えるよ。な?だからもう泣くなよ。』

嗚咽を漏らしながらも、涙を拭って何とか止める少年。
青年はニッコリ笑い、少年を抱き上げて背中を規則正しく叩いて落ち着かせる。

『会えるから。』

そう何度も言って。

やがて、純白の着物に包まれた青年は、大人に囲まれながら神社の奥深くに入ったまま、出てこなかった。

ーーー

13年後。

あの時の少年は、今や高校生。
泣かなくなったし、サッカー部のレギュラーを任せられる頼れるハイスペイケメンになっている。

校内にファンも多く、彼を狙う女子も多い。

でも、、

『なー三綱、彼女本当にいねえのかよ〜』
『ああ。俺には、心に誓った人がいるから。』

どんなに可愛い子からの告白でも、彼は受け取ろうとはしなかった。

『またその心に決めた人かよ、、どんな美人なんだろーな。』

友達が茶化す様にいうが、三綱はしばらく考え、

『その人は、女神だ。』

大真面目にそう言った。

『ワハハッマジか!ガチ惚れじゃん!!』

どんなに揶揄われようとも、彼は愛してやまなかった。
その、心に決めた人とやらを。

ーーー

そんな彼にも、遂に時が来てしまった。

『山犬様に選ばれたのよ。三綱。』

彼は喜ぶ母親とは違い、嫌悪の表情を丸出しにして『生贄か、、』と苦々しく呟いた。

『とっても喜ばしいことよ?山の神様に選ばれたのですから!』

彼が住んでいる村は、ある神様を信仰していた。
山を守るとされている、山犬。

神様に生け贄を3年に一度の頻度で捧げないといけないらしく、彼はその生贄に直々に選ばれたのだ。

とはいっても、、決められるのは実際はくじでだが。

『はぁ、、母さん。日時は?』

『1週間後の正午よ。綺麗でいて清楚な白の着物を準備しなきゃ!』

まるで結婚式の準備をする彼女の様に、母親は喜んで着物を選んでいる。
三綱は小さく舌打ちをして、自室に戻った。

ーーー

この村は、俺が生まれる前からずっとおかしかった。
3年に一度の生贄捧げますイベントに、たかが犬を祀るためにある神社。

そして、、、俺の大事な人を奪った儀式。
こんな村、俺は嫌いだ。

そんな俺も、生贄として1週間後出発する。

『はぁ、、、あの時、さよなら言っとけば良かったかもなぁ。』

あの時。そう、智和君が生贄として連れて行かれた時。
本当は、幼心にわかっていたんだ。

もう、智和君は戻ってこないって。

でも、いつか会える。って言ってくれたから、ずっと信じてきた。

もし、智和君が生きてるなら、先に俺が死んじゃうな。

『最後に思いくらい、、伝えてえな。』

無機質な天井を眺めながら、脳裏に思い人の姿を描いた。

ーーー

1週間後。

いろんな人達から祝福を受けながら、俺は神社に向かう。
道中、クラスメイトや学校の先生もいたけれど、気持ち悪いくらいの満面の笑みで見送られた。

やっぱりこの村はおかしい。
そう思いつつも、もう手遅れに等しい。

今日、俺は山犬サマの餌になる。

『いい?三綱、山犬様は、高貴なお方なのよ。決して粗相のないように。』

何百回も聞いた忠告を聞き流し、神主に連れられて社の中へ入る。

『、、、山犬様、、か。』

鏡がポツリと置いてあるだけで、犬なんて何処にもいない。

このまま餓死するんだろうな。
そう思い、何もかも無気力になって寝転がる。

木の匂いを直に感じ、何処か安心する。
だんだん瞼が下がってきた。

嗚呼、俺が寝ている間に、山犬来て食べてくれないかなぁ。
できるだけ痛く死ぬのは嫌だからなぁ。

ーーー

何処か、懐かしい匂いで目が覚めた。
もう、何年も会ってなかった思い人の匂い。

目を開けると、真正面に俺の大好きな人の顔があった。

『え、、』
『あ、起きたか〜。いや〜お前も捧げられちまったなぁ。』

体を起こすと、俺はその人の膝に寝ていた様で。
辺り一帯花畑。

『此処は、、?俺、死んだのか?』
『いーや。此処は山犬様の神域。そして俺がその、山犬様。』
『は?!はあああああああああ?!?!』

ーー

落ち着いて話を聞いてみたら、、
生け贄として捧げられた時、俺と同じ社で寝たら花畑に来ていて、先代の山犬様がいた。

その山犬様は人型で、智和君の生け贄の経緯を聞いてめちゃくちゃに悲しんだらしい。

そして、自分の役目はもう終わりだからと、神の座を智和君に譲って自由に世界を旅している、、と。

『な、なるほど、、』

理解したら、何だか追いついてなかった涙がボロボロと出てきた。

『どうした?!何処か打ったのか?!』

慌てて心配する智和君。

俺は思いっきり抱きついた。
2人一緒に花畑に倒れる。

『よかった、、よかったよ、、生きてた生きてた、智和君、、生きてた!!』

『ああ。、、三綱は、相変わらず泣き虫が治ってないなぁ。』

優しい顔で、俺の頬を伝っている涙を拭ってくれる。

嗚呼、、あの時、さよならって言わなくて良かった。
また、会えたから。

12/2/2023, 11:33:33 AM

【光と闇の狭間で】

『お願いです!通してください!お願い!』
『残念ながら、ここから出すことはできない。』

長い髪を振り乱しながら一心不乱に乞う女と、彼女の前に薙刀を交差させとうせんぼしている門番2人。

『諦めろ。お前らはここから先へは行けない。ここからは神の仰られる域だ。』

厳しい声色で女を押し返す門番。

女は尚も乞いながら縋り付いてくるが、右の門番が薙刀の石突きという刃がついていない方で女を押したため、女は呆気なく下へと落ちていった。

ここは、死後の世界。
天国と地獄の狭間にある、境界門だ。

『、、ここのところ罪人が多いですね。』

落ちていった女を見るために下を覗き込んだ俺は、俺の右に立っている先輩に話しかける。

『ああ。ちょうど、下界は"夏"という季節だ。此処も暑いな。罪人が増えるのも頷ける。』

どうやら、夏は事件が起こりやすく、死亡者も、死刑者も多いらしい。

元々、天界と下界の途中の世界で生まれた俺は、下界は"人間"という人達が住んでいて、そこには心が綺麗な人も、汚い人もいると習った。

人間には寿命があることも。
心が綺麗な人が死んだら天界へ導くことも。
下界で大罪を犯した人間は地獄で捌いてもらうことも。

全てを理解している。

でも、門番という職に就いている俺から見たら、下界の人間も、俺達と変わらないのかなと思う。

ただ、悪いことをした人と、いいことをした人にわけているだけで。

『おい、ボサっとしてんな。這い上がって扉開けられるぞ。』

バシッと柄で頭を軽く叩かれ、我に帰る。

『さ、さーせん、、』

改めて顔をキリッと引き締め、俺は目の前に集中する。

天界と地獄は長い長い階段で繋がっていて、その階段の途中にある浮いた島が、俺達下っ端の奴らが育つ境界と言われる世界。そこからずーっと下は、地獄。

門はその地獄と天界の間にあり、ギリギリ地獄の気候が届かない、本当にギリギリのところにある。

門番は、地獄から来る天界に行きたいと這い上がってくる地獄の住人を突き落とすのが仕事。

かなりエグいことしてるけれど、この人間達も下界で罪を犯して死んだやつらだ。

慈悲はない。なくていい。

でも、、

突き落とした時の、落ちていく罪人の顔が、悲痛に歪んでいて見ていられなくなる。

門番は意外と辛い仕事だ。
先輩はもうベテランだから仕事をしている時は無心だ。

前聞いたら、『こーいうのは、気にしちゃあダメなのよ。』って言われた。

先輩曰く、地獄側に加担してしまうと、魔物に引き摺り込まれてしまうらしい。

だから俺も無心になって仕事をする様に心がけている。
引き摺り込まれたくはないからな。

ーー

ある日。

また、いつもの様に這い上がってくる罪人を突き落としていたら、

『よいしょ、、よいしょ、、』

小さな女の子が来た。
俺は女の子が来た途端に拍子抜けした。

こんな小さな子供が、地獄にいることにも驚いた。
何より、罪を犯して死んだことにも。

『、、、』

先輩は別の人を突き落とすのに夢中でこっちに気付いてない。

ちょっとくらいなら。

『君、ここから先は天界だよ。間違って迷い込んだのなら、天界入場証を見せてくれないかな。』

女の子は戸惑った顔をして、来ていたボロボロの服の裾を手が震えるくらい握りしめていた。

『あの、真夜は悪い子なの。だから、、下でいい。』

、、、自ら地獄に、、

『あっちの世界では、君はどんなことをしたの?』
『真夜、お母さんにいい子しててねって、言われた。けど、、いい子じゃなかったから、、』

女の子の足をよく見てみると、無数のアザがあった。

嗚呼、この子は、、
虐待児だ。下界にいるという、自分の子供に暴力を振るったり、暴言を吐いたりする大罪人の子供だ。

『、、、真夜が、悪いから、、王様に此処にいさせてって言った。』
『っ、、』

俺は声が出なかった。
可哀想。とも思った。だけれど、、

"こーいうのは、気にしちゃあダメなのよ。"

先輩の声が蘇って、、頭がぐちゃぐちゃになる。

『、、真夜、下に戻りたい。』
『ど、どうして、登ってきたの?』

声を振り絞ってできるだけ優しく問う。
女の子は言った。

『王様が、上に登ったら地獄があるからって。』

嗚呼、閻魔大王様。確かに此処は地獄です。
俺は精神的にキツいです。

どっちだろう。

俺は今、どちらを守るべきだろう。
純粋無垢な虐待児か、天界の鉄則か。

"こーいうのは、気にしちゃあダメなのよ。"
"真夜が、悪いの。"
"いいか!門番候補!大罪人に肩入れし者、それ同罪とみなす!それをしっかり覚えておけ!"

いろんな、いろんな人の言葉が頭の中でグルグル周り回って、、

ドンッ

俺は女の子を下へと落とした。
女の子は驚きもしない、普通の顔だった。

でも、押した瞬間、

『ありがとう。真夜、お母さんと一緒にいるんだ。』

と呟いた。

『、、、、、ごめんなぁ、、真夜ちゃん。』

俺は今日も、光と闇の狭間で、揺れる。
門番は、本当にキツイ仕事だ。

11/28/2023, 10:19:24 AM

【終わらせないで】

カツ、カツ、、

スチールの階段を一段一段のぼるたび、ローファーの靴音が宵闇に響く。

『はぁ、、はぁ、、』

一段と踏みしめてのぼるたび、運動不足か、興奮しているのか息が上がる。
暑くなりマスクを取った。マスクは夜風に巻き込まれて吹き飛んでいった。

『ふー、、綺麗。』

階段を登ってビルの屋上に着く。

『今日はオリオン座流星群か、、』

空を見上げれば、綺麗な星々が瞬き刹那に落ちていく。
二つ三つ四つ、、たくさんたくさん綺麗な星が落ちていき、私の瞳に光を映す。

『はあああぁ、、』

大きく息を吐き、屋上の緑芝生の上に思いっきり寝転がる。

背中がチクチクしててくすぐったいけれど、それよりも私は川水の様に流れていく星達に夢中になっていた。

三十分後。
そろそろ寒くなって来たな、、帰らないと。
でも、、もうちょっとだけ。

六十分後。
本格的に寒いなぁ。カーディガンじゃ足りない、、。
でも、、星は降り続けている。

『うぅ、、さむ、、』

嗚呼、、帰りたくないな。

『何で帰りたくないんだい?』

後ろから声が聞こえて、振り返る。

『やぁ。』

シルクハットを被った西洋風の男が私の後ろに三角座りをして空を見ていた。
何かのコスプレだろうか。

『、、誰?』
『ハハハッ、、やっぱりこの星の生物はみんな疑り深いねぇ。』

いや、問題は誰なのかじゃなくって、私の心を読んだことだ。

『僕には昔っから不思議な力があってね。心が読めんるんだよ。』
、、、、、、まぁ、綺麗な星に免じてそう思うことにしよう。

『、、帰りたくないのは、家が苦しいから。』

『難しい表現をするんだね。苦しいって、、どういう意味?』

『苦しいのは、お母さんが原因なんだ。生まれた時から完璧を求められて、テストだって、家事だって、自分のお小遣いだって管理されて、何でも完璧に完璧に、、それがとても苦しい。息ができない。』

一つこぼせば、二つ三つ。
ポロポロ言葉が溢れて、コスプレ男に吐き出していく。

『ふ〜ん、、それは辛いね。どうしたいの?家に帰ってもお母さんに完璧を求められて君は苦しいんでしょ?』
『うん。苦しい。私、、このままずっと、この星を見てたい。』

そう呟くと、体がフワリと浮かぶ。

シルクハットの男がいつのまにか真正面にきており、私の手を取る。
私の体が浮き、空中歩行している様になる。

『私、、浮いてる、、!』
『うん。そうだね。君を永遠の流れ星ショーに招待するよ。どう?』

妖艶に笑うシルクハットの男。
永遠。ずっとこの綺麗な星を見ていいの?
疲れか、星の綺麗さに感動してか、私はその提案がとても魅力的に見えた。

『Posso chiederti un favore?』

意味が通じたのか、シルクハットの男はうやうやしく私の手にキスをした。

『Ho capito.』

そう言いとうとうビルの外に飛び出す。
私は落下しながら美しすぎるオリオン座流星群を目に焼き付ける。

『永遠に、、この星が、、見れる』

グシャリ

ビルの下が騒がしいのを耳に入れながら、シルクハットの男はビルの屋上でタップダンスを優雅に踊る。

『永遠の星。とっても綺麗だねぇ。君の心は真っ黒だったけど、永遠のショーを見ている君の心は明るいね。』

シルクハットの男はくつくつと笑い、背中からはやした翼をはためかせ、上空に飛び上がった。

『アハハッ、、、僕の名前はルシファー。光を掲げる者だよ。』

もう声も聞こえないであろう女の子に向かって自己紹介をするルシファー。
彼女の終わらせたくない願いは、くしくも彼女が死ぬことによって実現した。

Next