駄作製造機

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【夢と現実】

今日、憧れの先輩に告白した。
ずっと好きだった。

彼は勉強ができて、体が弱い。
でも、、そんなとこも好きだ。

告白して、OKをもらった時は舞い上がって喜んだ。
先輩からはしゃぎすぎって、笑われたけれど。

明日から、先輩と登校。
四角い縁無しメガネが似合う先輩。

とってもかっこいい私の彼氏。

『楽しみだなぁ。』

ハンガーにかけられた制服を見ながら、先輩の顔を思い浮かべて口角が上がるのを感じた。

ーー

次の日。

ピンポーン、、

『真鶴〜来たよ〜』

このポヤポヤした声は、!

『先輩!』

大慌てで玄関へ向かい、ドアを開ける。

『慌てすぎだよ。ほら、髪ボサボサ。』

くつくつと笑いながら私の絡まった髪を手櫛で直してくれる。

『す、すみません。今準備して来ますね。』

奥の洗面台に引っ込み、もろもろ準備をしてからドアを改めて開けて鍵を閉める。

『はい、お待たせしました。』
『ん、行こうか。』

手を差し出され、恐々と握る。
先輩の手は、とっても温かった。

『んふふ、、夢じゃない。』
『うん、夢じゃないよ。』

夢じゃない。
夢じゃ、、、ない。

ーーーーー

『せ、、んぱい、、』

意識が覚醒して、無機質な白い天井が見える。

『夢、、?』

体を起こせば、自分の部屋。
立てかけてある写真には2人のドレス姿の大人。

『先輩?先輩!』

ベッドから降りて慌てて部屋から出る。

『先輩っ!』

瞬間、香ばしい匂いが鼻をつく。

『ん、もう先輩じゃないよ。今は、君の旦那さん、、でしょ?』

エプロン姿の先輩、、今はもう大人になりきってしまったが。

『ああ先輩、、』

よかった。
そう思いながら料理中の先輩の腰にしがみつく。

『どうしたの?今日は甘えたさんだなぁ。』
『んーん、、変な夢見ただけ。』

『ん、そう。変な夢。もしかしたら、、これも、夢かもね?』

ぐらり。
また視界が反転し、目の前が真っ暗になる。

ーーー

『はっ!!!』

起き上がると、ベンチの上だった。

『ん、起きた。』
『せ、、先輩。』

ベンチから起き上がる。
此処は、、バス停のベンチだ。

朝の時間帯らしく車通りが多い。

『大丈夫?学校お休みする?』
『いえ、、大丈夫です。行きましょう。』

次こそは、、夢じゃない。
暖かい先輩の手をキツいくらいにギュッと握った。

ーーー

『彼女は今、夢と現実がわからなくなっています。』

僕の愛する彼女は、今笑いながら寝ている。
時々僕の名前を呼びながら。

『ねえ、、目を覚ましてよ。真鶴。僕寂しいよ。』

冷たい彼女の手を、僕の温かさで包む。
握り返してくれる彼女はいるけれど、彼女の隣は現実の僕じゃなくて、夢の中の僕だ。

『、、、覚めてくれ、、』

涙がポツリと彼女の頬に落ちた。

12/4/2023, 12:58:56 PM