いしか

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10/1/2023, 11:17:32 AM

たそがれ、黄昏の空に、たそがれる私。
今日は休日だというのに、一日窓辺でたそがれてしまった。

何かしないとなと思い、私は軽くお化粧をして、服を着替えて出掛けていく。

何処に行くか、あてなんてないけれど、私は歩くことにした。
ずっと歩いていると物静かな大きい公園にたどり着いた。私は少し歩き疲れたので休むことにしようと、近くのベンチへ行こうとした時…………


「美晴?」

誰かに私の名前を呼ばれた。

「えっ………、み、美晴っ、美晴でしょ?」

私は名前を呼ばれた方に顔を向ける。

「……!?!!!」

私の、目の前に居たのは

「み、光俊(みつとし)……………、光俊、なの?」

私の元彼。光俊だった。

「美晴っ、会いたかった…………っ」

そう言うと光俊はいきなり私に抱きついて来た。

「!!!!……………っ」

私と光俊は、大学生の時に付き合っていた。
けれど、卒業後のお互いの進む道が違っていて私達二人はその不安に耐えきれず、なくなく別れたのだ。
光俊と別れてから約6年。私に彼氏が出来た事はない。
いつも思い出すのは、光俊の顔だけだったからだ。我ながら、未練がましいと思いながらも、とても辛かった。

「み、光俊………、何で?」
「たまたま、こっちに仕事で来てて、それでこの静かな公園で休もうって思ったら、見慣れてた顔が、美晴が居たからっ…………」

何だが、二人共涙目になっている気がする。
ここまで感動的な再会だろうか。
でも、私達にとっては、嫌いで別れたやけじゃなかった。

ただ、それだけ。

「………光俊、付き合ってる人、……居るの?」
「いないよ。居るわけ無いじゃんっ。」

信じられないなら大学の友人に聞いてみてと言う光俊。
どうやら本当に居ないらしい。

「美晴は?美晴は………、付き合ってる人、居るの?」
「いるわけないじゃん…………っ
私っ、光俊が、良かったもの………光俊が、いい男過ぎて、忘れられ無かったものっ」

涙がポロポロ溢れてくる。
もう、会えない。そう思っていた人が居る。
大袈裟かもしれないけれど、わたしにはそれ程の恋だった。

「美晴………っ、好きだよ。別れてからも、ずっと美晴だけだったよ」
「私だって、光俊が好きだよ。今でも……っ大好きだよっ」

なんという奇跡だろうか。
私はまた、好きで好きで堪らなかった人と
両思いになった。
なんて、幸せな事なのだろう……。

「…………………っ」

チュッ

重なるのは、二人の唇。

それからの事は、二人だけの秘め事だ。

9/30/2023, 11:37:45 AM

きっと明日も、君は笑顔を向けてくれる。
素直で、屈託のない笑顔を。

俺は、そんな君の笑顔が好きだけれど、
その笑顔は、君の好きな人の前だと、もっと輝いていて、何十倍も可愛くて、俺はそいつが羨ましくて仕方なくなる。

さっさとこの気持ちからサヨナラをすれば
いいのに、俺は出来ないでいる。
君との関係が変わることをとても怖く思っている。

だから、今日も君の笑顔に、俺は笑顔で応える。君に少しでもいい笑顔だと思われたいから。

友達でも、大好きと思って欲しいから。

俺って、気持ち悪い?

それすら客観視出来ない。

駄目だな、俺…。

9/28/2023, 10:11:25 AM

別れ際に、彼はいつも言う。

「またね。さよならは言わないよ。またね!」
彼は決して、さよならとは言わない。

どうしてって?て聞いても、彼は何だが濁す。私には教えたくないのかもしれない。


彼女とデートして、その別れ際、俺はさよならとは言わない。いつも、またねという。
その事を、どうして?って彼女は聞くけれど、俺はまだ教えられずに居る。

これが教えていい事なのかもわからない。
俺は判別出来ずにいる。

俺には、彼女の前に付き合っていた人がいた。俺よりも5つ年上で、何をするにも大人びていて、どうして俺と付き合ってくれているのか不思議に思う程、俺には勿体ない位素敵な人だった。

そんな人との何気ないデートの日。
俺はいつも通り「さよならー、バイバーイ」って、幼気に彼女に言って、彼女も「はーい、バイバイ」といって別れた。

これが、本当のお別れになってしまうなんて


別れた後、彼女は不慮の事故でなくなった。
さよなら。バイバイ。が、本当の別れになってしまった記憶。
俺はそれ以来、誰と別れの時も、さよなら。バイバイ。とは言わなくなった。

それから月日は経ち、今の彼女と付き合うようになってからも、俺は一度もさよならとは言っていない。言えなくなったままだ。
今の彼女も俺には勿体ない位可愛くて、明るい人。俺はそんな彼女がとっても大好きだ。

決して、彼女の代わりではない。

だけど、俺は未だに、さよなら、バイバイを使えずにいる。使わないようにしている。

俺にとって、さよなら、バイバイは呪いの言葉で、本当の別れの言葉になってしまったから。

彼女には、いつかこの事を伝えようと思ってる。彼女の反応が怖いけれど、ちゃんと伝えなければいけない。と思っている。

とっても、大切な事だから。

9/27/2023, 11:12:00 AM

通り雨が降ってきた。
濡れないように近くのバーに入る。
入りづらいやすいより、濡れないほうが最優先だった。

カランカランッ

「いらっしゃいませ」
「すみません。雨宿りさせて頂いても良いですか?あっ!もちろんちゃんとお酒は頂きます!」
「あはは、良いですよ。気にしなくて。今は他にお客様いらっしゃいませんし、
どうぞ、雨宿りしていって下さい」
「ありがとうございます」

マスターさんは、私と殆ど年が変わらなそうに見える。
でも、見た目が若い方なだけかもしれない。

「こちら、どうぞ。ウェルカムドリンクです」
「わー、素敵な色のカクテルですね。
ありがとうございます。」
「それ、アルコールは入って無いんですよ」
「えっ!?そうなんですか?」

ウェルカムドリンクとして提供されたカクテルは、綺麗な青色をしている。
とってもきれいで、透き通って見える。

「お酒が苦手な方にも、雰囲気や味を楽しんで頂きたくて。こちらを提供するようになりました」

「素敵ですね。いただきます」

フルーティーで爽やかな味が口の中に広がる。これは美味しい。

「………とっても美味しいです」
「…ありがとうございます。」

母から聞かされた、昔の古い言葉。3B
美容師。バンドマン。バーテンダー。
女性が、付き合ってはいけない男性の職業。

今でこそ古いなーと思うけれど、けれど、このマスターの接客を見てれば思う。

これは、惚れてしまうと。

「あの、マスター。失礼がなければ、今、おいつく何ですか?」
「私ですか?私は、今年で32歳になります」

やっぱり若かった。
私よりは年上だけど、何処か若くて、でも、とても落ち着いてる人。

「マスターは、ご結婚されてるんですか?」
「いいえ。結婚どころか、お付き合いしてる方もいませんよ」

私は意外だった。
こんな素敵そうな人を世の女性がほっとくだなんて。

「マスター、モテそうなのに………」
「あははは、モテそうですか?私」
「はい。とっても」

そうですか。というマスターの顔は、何だがずっと笑っている。
私、可笑しいこと言ってる?

「マスター、どうして笑っているんです?
私、可笑しいこと言ってます?」
「いいえ。楽しい会話だなと、純粋に思っているだけですよ」

あってたったの数十分間。けれど私は、マスターの事でいっぱいになってしまそうだ。
私、初対面の人の事を気にしてる。

私がこれから先、このバーに通うことになるのは言わずもがなだが、この先どうなるかは、お楽しみということで。


9/26/2023, 11:02:34 AM

秋🍁
君からのライン。
ただそれだけ。

けれど、何だがとても愛おしくて思うのは、
僕がきっと、君の事が好きだからだ。

「昨日の、ライン。何であれだけ?」
「うん?感じたから、教えたの!秋🍁って」
「そんなのいちいち教えなくて良いよ。
ちゃんと分かってるから」
「えー、…………わかった」

君は、僕が君の事を好きだと知らない。
知られないように、僕がしているから。

だけど……………

「いつまでも、友達は、嫌だな………」
「えっ?なあに?」
「うん。何て言ったと思う?」
「良く聞こえなかったから私が聞いてるの!」

「いつまでも、友達は嫌だって言った」
「……………………えっ」

彼女の顔が急激に赤くなったのを、僕は見逃さなかった。

「好きだから。いつまでも友達は嫌だっていってんのっ!」

うわっ、僕も顔が熱くなってきた。

「えっ。う、嘘………」

「好き。
好きだよ。でも、また返事はしなくていい」

本当は今すぐにでも返事が聞きたい。だけど
それは、ずるいような気がした。
なんでか、わからないけれど。

「わ、私、私が教えたいって思ったことを直に教えるのは、私だって、好きだからだよ」

「…!いま、何て?」

「私も、好きだっていったのー!!」

向かい合った、僕と君。きっとお互いの顔は真っ赤だったに違いない。

でも、恋が実った。そんな、秋の訪れだった。

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